何故それが分からん
◆
「どういう事かね?シュバルツ殿下」
「だからシャーリーとの婚約解消を無かった事にすると言っているっ!であれば次期国王である俺を援助及をするのがシャーリーの父親でもありダルトワ家のすべき事であろうがっ!?何故それが分からんっ!!」
今俺はタリム領へと向かうついでにシャーリーの家系であり公爵家であるダルトワ家が治めるシスルス領へ行き、そしてそのダルトワ家の一室にて領主件現公爵家当主であるグリム・フェルディナン・ダルトワへシャーリーの婚約破棄を解消する旨、そしてそれに伴いこれから必要となる俺の偉大なる計画の為にも援助をする旨を伝えるのだが、この目の前の老いぼれは首を縦に振るどころか虫けらを見る様な目でこの俺を見つめ、もう一度この俺が何を言ったのか問うてくるではないか。
思わずキレそうになるのをグッと堪え何とかこの俺がわざわざこのシスルス領へ来たのかを今一度話す。
「ほう、よし分かった」
「ふん、分かったのならまずは風呂に入らせろ。それからこの俺が風呂から出る間に食事の準備と手始めに金貨十枚の────」
「おい、この恐れ多くも不敬すぎる薄汚れたドブネズミをさっさとこの家からつまみ出せ。臭くて敵わん」
そういうとグリム・フェルディナン・ダルトワは指で鼻をつまみ、もう片方の手で仰ぐ仕草をするではないか。
「き、貴様ぁあっ!!この俺にたて突いてどうなるか分かっているのかっ!?」
「どうなる?どうもならんよ。そもそも今のお主には何も思わんのだよ、ただのシュバルツ君。ある意味で国王がお怒りになり王位継承権だけではなく王族というお主唯一の価値を奪われる前にシャーリーの事を婚約破棄してくれて助かったと思うくらいだな」
「何故だっ!何故わからんっ!?この俺がシャーリーの婚約破棄を無かったことにすると言っているのだぞっ!?ダルトワ家にとっては悪くない、むしろ好条件の筈であろうっ!?」
何故だっ!?何故行く先行く先この俺をまるで虫けらのように扱うのかっ!?
これも全てあの無能な父のせいかっ!?こういう時だけ知恵が回りやがってっ!!
「好条件?これが?聞いてあきれる。むしろ今回の騒動で出た我が家の不利益を賠償請求したいくらいだ」
「だからそんな物はこの俺が国王にさえなればっ、痛いっ!!おいそこのメイドっ!!この俺を棒で打つのを直ちに止めよっ!!この俺にこんな事をしてっ、痛いっ!痛い痛い痛いっ!!」
「いえ、だって追い出せとの命令を受けたのですが臭いし汚いから触りたくないですもの。それにドブネズミならばどんな病原菌を持っているのか分かった物ではないですけら」
誤字脱字報告ありがとうございますっ!
ブックマークありがとうございますっ!
評価ありがとうございますっ!




