コレは魔物ではないですわよね?
何故嫌だと思うのか?貴族の娘は嫁いだら先ずは後継ぎを作る為に子作りが常識だという事は理解しているつもりであるにも関わらず、何故こんな気持ちになるのか自分のことなのに分からないのが不思議でならない。
「じゃあ、皆が待っているからお昼を食いに行こうか」
そして旦那様はわたくしの頭を撫でるのに満足したのかそのまま歩き出すのでわたくしも髪を手櫛で整えながら旦那様について行く。
「お、お昼なんですよね?何で外に行くんですの?外でおにぎりですの?」
「あぁ、おにぎりでは無い事は確かだな。ま、行けば分かるさ」
「ちょ、ちょっとっ!?旦那様っ!?」
これからお昼ご飯を食べると言うので旦那様について行くのだが何故か外に出て行く旦那様に昨日と同じおにぎりを皆んなで食べるのかと聞いた所手を握られ少し強引に引っ張られる様に歩かされる。
「シャーリーはサクサクかモチモチか、どっちが良い?」
「へっ!?いきなりなんなんですのっ!?そんないきなり聞かれてもっ、サクサクっ!サクサクですわっ!」
「聞いてたか?ローゼン、サクサクだそうだ」
「かしこまりました、旦那様に奥方様」
そして気が付くとわたくしは屋敷の外、玄関前までやって来ると既にそこには王国の使用人達が勢揃いしていた。
そのままジョンが点呼を取り終え全員揃っている事を確認すると近くにある大きな箱の中へと皆入って行くでは無いか。
「こ、コレは魔物ではないですわよね?」
「ああ、コレはただのマイクロバスだ」
「ま、まいくろばす?」
「そうだな、言い換えれば馬無しの小型な馬車だな」
コレで小型であるのならば本来はどれ程の大きさであるのか?そもそも馬なしでどうやって動くのか?ともすれば失われた文明の残したアーティファクト類なのではないのか?であるとするのならばこの『まいくろばす』というのは実はとんでもない代物なのではないのか?等さまざまな事が頭に浮かんではまた新たな驚きがまるで返す波の如く次々とやって来て、最早一周回って呆けてしまっているわたくしを旦那様は掴んでいる手を引っ張って『まいくろばす』の中へとへとそのまま入れるではないか。
「では、親睦会の準備は任せたぞ?そのかわり今度は君達を異世界に連れて行ってやるから」
「絶対ですよっ!あ、出来れば日程は一ヶ月前に言ってくれると大学や家族にそれっぽい言い訳を考えておくので連絡は出来るだけ早めにお願いします」
旦那様は『にほん』の使用人達へそういうとアンナがそれに元気よく答える。
そして『まいくろばす』は『にほん』の使用人達に見送られながら、唸り声を上げて走り出すではないか。
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