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馬車で眠るなどという日

それには彼の悪い噂の数々の他に王国の西の端、辺境の地の貧乏な領主経営しているという事が一番大きな要因でもあろう。


辺境の地でも莫大な資産を持っている、王都に住んでいる、良い噂が絶えない等と言った魅力的な話が彼には何ひとつ耳に入って来ないのが一番の要因であろう。


わざわざ王都から離れ、平民同様の暮らしをしなければならないのにも拘わらず添い遂げる相手は変人で有名。


うまみと言えば現国王の友人であるという一点のみであるのだが、この様な男性と国王がご友人である筈がない上に、本当にご友人であるのならば王都から離れた辺境の地の領主経営を国王が任せる筈がない。


国王本人がそう言っているらしいのだが何処まで本当の事か分かった物ではないある種都市伝説の様な物であろう。


そんな男性に本来であれば公爵家の娘であるわたくしが嫁ぐなどあり得ない話なのだが、万が一でも王族との繋がりを持ちたいという父上の考えが透けて見えるというものである。


むしろ隠そうともしていないあたり、わたくしの存在がお父様にとってどの様な存在であるかという事を改めて言われている気がして悲しさが込み上げてくる。


しかし、ここから逃げ出して暮らしていけるだけのサバイバル術がある訳でも、街に出たとしてもお金の稼ぎ方すら分からないたかが小娘一人ではどうする事も出来ないという事くらいは理解しているつもりである。


それを見込んでお父様は護衛という名の見張りを付けなかったのであろう。


万が一逃げたとしても死ねば上々とでも思っていることだろう。







「起きてください。奥方様、本日の宿につきましたよ」

「うん………ごめんなさい。いつの間にか眠ってしまいましたわ。けれど荷物はこの鞄一つでございますので準備という程の時間はかかりませんもの。直ぐ降りますのでお許しください」


いつの間に眠っていたのか。


急な環境の変化とそれによる心労により自分でも思っていた以上に疲れていたようだ。


まさか揺れが酷い馬車で眠るなどという日がこのわたくしに来ようとは…………。


そこでわたくしは疑問を感じてしまう。


何かがおかしいと。


「ご主人様がご用意してくださったこの馬車は全く揺れませんので思わず眠ってしまうのも仕方のない事でしょう。とはいっても長旅には変わり有りませんので今日の疲れはゆっくりとお取り頂き明日に備えてくださいな」

「そうですわっ!!この馬車は全く揺れを感じませんでしたわっ!!我が実家の馬車よりもお金がかかっていなさそうにも拘わらず、我が実家の馬車とは比べる事が失礼と思える程全く揺れませんでしたわっ!!」


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