今も私を突き動かす原動力
ダグラス一行を全て詰め所にぶち込んだ後、直属の上司であるローゼン様に褒められ思わずにやけそうになる口元を抑える。
それにしてもこの銃という武器や手錠という拘束具は、只のアースバレットを扱える魔道具とただの加工前の魔法石でできた脆い拘束具の様に思えるのだがその実態は旦那様である総一郎様の世界にある金属で作られた銃弾に拘束具である。
旦那様曰く『妖精が金属を嫌う理由は主に、金属は魔力の干渉を受けないという性質があるからである。故に、相手の魔法の効果は受け付けないし、直接肌に触れてさえいればそのものは魔術の行使ができなくなる』とのいうこの世界ではとんでもない代物らしい。
代わりに旦那様の世界には込めた魔力によって炎や水、風などを出せたり、固くしたりと便利な魔法石が無いので不便では無いのか?と尋ねてみたところ『科学が進歩しているので魔法石が必要ないくらいには便利な世界だよ』と返答が返ってくる。
後日社員旅行という体で同僚達と一緒に連れて行って下さった日本という国で見た数々の思い出は一生色あせる事無く私の脳裏に焼きつき忘れる事は無いだろう。
それと同時に旦那様の屋敷で使用されている便利だと思っていた、マジックアイテムだと思っていたそれら全てが科学によって作られた産物であるという事を理解する。
確かに旦那様の言う通り魔法石が無くても、いやそれ以上に快適な生活を過ごす事ができるという事を実感したものである。
「これならば旦那様や奥方様の護衛を任せても大丈夫そうだな。後日旦那様にご報告と部署の移動をさせて頂く様に言っておく」
「あ、ありがとうございますっ!!ただ、今の現状に満足せずより一層精進致しますっ!!」
これで私もついにミヤーコさんやルルゥさん達と同じ護衛も任される花形の部署への配属が決まったといっても過言ではないだろう。
それは即ちお給金が増えるという事で、シャイニーズジュニアのグッズをより買い集める事ができるという事である。
そう、あの時日本という国で見た数々の思い出(テレビの画面越しに微笑みかけてくれるシャイニーズジュニアのアイドル達)は一生色あせる事無く私の脳裏に焼きつき忘れる事は無く、今も私を突き動かす原動力となっているのであった。
◆
待ちに待った昼食。
朝食の衝撃が未だに忘れられず、もっと旦那様の郷土料理を食べてみたいと思っていたわたくしの前に置かれているのは黒い魔法石の様な板に白くどろどろの液体であった。
この、まるで離乳食の様な、炊き過ぎた麦がゆの様などろどろの液体が本日の昼食とでも言うのでしょうか?
しかしなが不安に感じてしまうわたくしとは打って変わって席についている子供たちは皆『早く食べたくて待ちきれない!』という表情をしているではないか。
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