アラーム
それに、とアイリスは続ける。
「元から性格の悪い人なんだから今まで通り悪役として使っていけば良いのよっ!そうすれば私達の正しい行いがより一層際立ってくると思うし、シュバルツ殿下が万が一やってしまったミスとかも全部シャーリーのせいにしちゃえば良いと思うのっ!国庫を勝手に使ったとしても、今回のちよこれぇーとのシェフを雇い入れたとしても全部シャーリーの我儘による行為だったという事にするのっ!これで万事解決ですぅ~」
「さ、流石アイリスだっ!!君は本当に頭が良いなっ!!そうしようっ!!アイリスには俺がシャーリーとの婚約を再度結ぶことは嫌な事かもしれないが、確かに長期的に見たらいい事だらけだなっ!!」
そうなれば善は急げである。
早速俺はシャーリーの居場所を探し出す事にする。
極悪女だったとしても、腐っても公爵家の娘である。
どうせどこぞの良いところの教会かどっかにぶち込まれて修道女として過ごしているのだろうしな。
そう思うとあの常に上から目線でいけ好かないシャーリーの落ちぶれた姿を一目見に行くのもそれはそれで有りかも知れないと、そう思うのであった。
◆
朝日が上り始め、朝露がまだ草木を濡らしている、日本時間で言う六時半を指す時刻、とある一室にこの世界では聴き慣れない電子音が『ピピピッ』っと鳴り出す。
「うーーん…………っ。ほ、本当に決められた時間に鳴りましたわ。一体どうなっているのかしら?そもそも時計が手に持てる程小さいというだけでも驚きだというのに『あらぁーむ』という機能まであるなんて…………えっと、確かこの音を止めるには上のボタンを押せばよろしかったのですわよね………っと、止まりましたわ」
昨日、この時計についている『アラーム』という機能を使ってみたくて、普段はメイドに起こしてもらっているにも拘らず見栄を張って一人でも起きられると言ってみたのは良いのだけれども、本当に一人で起きれるのだろうかという不安と、初めて体験する起こしてくれる時計を体験するという興奮によりなかなか寝付けなかったのだがしっかりと起きられたみたいでホッと胸を撫で下ろす。
「おはよう御座います奥方様。昨夜は良く寝られましたか?」
「ええ、しかしながら実家よりもフワフワのこのベッドの寝心地は大変良かったですわ」
そして、わたくしが起きたのを把握したルルゥがノックをして私の部屋へと入ってくる。
このルルゥなのだが今日から私の側仕えのメイドとして仕えてくれるらしい。
「それではお着替えですけれども、お洋服と和服、どちらになさいますか?」
「わ、わふく……とは何ですの?」
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