殿下みたいなバカ
「お、美味しいぃぃぃぃぃぃいいいいっ!!シュバルツ殿下っ!コレっ!ちよこれぇーとっ!すっごく美味しいですぅ〜っ!!毎日食べたいくらいですぅ〜っ!」
「うまぁぁああああああああいっ!う・ま・い・ぞぉぉぉおおおおっ!!何だこの食べた事のない甘味はっ!?甘いのに後からほのかな苦味を感じる為に甘さが後を引く事もなく、そのまま二粒目が欲しくなってしまうではないかっ!!それに何だっ!?この滑らかな舌触りはっ!!口の中で溶けて行ったぞっ!?」
その一口は正に至高と言わざるを得ない程の美味さであった。
そうなればやる事は一つ、この味を毎日味わえる様にする事である。
「そうだな、アイリスの言う通りだ。この食べ物は毎日食す必要があるなっ!それにこのちよこれぇーととなる甘味は俺こそが毎日食べるに相応しい人物だろう。むしろ今まで俺よりも先に何人もの下民達がこのちよこれぇーとなる食べ物を食べていた事が腹立たしくて仕方ない。今も下民が買って食べていると想像しただけでどうにかなってしまいそうだ。オイッ!!」
「はい、お呼びでしょうか?」
そして俺は側仕えのメイドを呼び寄せる。
すると何処からともなく眼鏡をかけたメイドが現れる。
いつもどういう原理で現れるのか不思議でならないのだが、この俺が何度も聞いてやっているというのに暖簾に腕押しではぐらかされて何も教えてくれない為むしろメイドはこういう生き物であると思う事にしている。
そして、側仕えのメイドを呼んだからには言う事はただ一つ。
「おい、この『ちよこれぇーと』なる甘味を作っているシェフをスカウトして来い。そして毎日俺とアイリスにこの『ちよこれぇーと』なる甘味を作らせろ」
「誠に恐縮ながら、そのご命令はお受け出来ません」
「分かったなら直ちに………は?お前今何と言った?」
聞き間違いであろうか?先程この使えないメイドは俺の命令を拒否した様に聞こえたのだが?
「ですから、出来ません。この『ちよこれぇーと』なる甘味の作るシェフのオーナーと現国王であるラインハルト陛下との取り決めで権力で支配しようとする事を禁じております」
「何をバカな事を言って───」
「更に、シュバルツ殿下の様に権力で支配しようとした者には一生『ちよこれぇーと』は販売しないという取り決めもされております。殿下みたいなバカが集るのは目に見えておりますし、支配されてしまった場合『ちよこれぇーと』を独占する事は目に見えておりましたので現国王の庇護下により保護しているという事です」
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