家格などどうでも良い
シャーリーの戦術にまんまと嵌り、どうすれば回避できるか考えていると、やはり頭を使えば使う程糖分が欲しくなるもので、気がつけば私は無意識の『ちよこれ~と』へと手が伸びており、そのま口へと運んでいた。
この『ちよこれ~と』なる甘味はここ最近貴族界で爆発的に広まっており、入手するのも困難な代物ではある甘味ではあるものの、食べたことはあるので後回しにしていた。
というよりもお茶会が終わった後に人目をきにせずゆっくりと、じっくりと味わうつもりであった。
しかしわたくしはその事も忘れて『ちよこれ~と』を口にした。 いや、口にしてしまった。
「な、ななななっ、何なんですのっ!? こ、この食べ物はっ!?」
「あ、それわたくしお気に入りのチョコレートですわっ!!」
「そんな事知っておりますわっ! そうではなくて、これは、これは、何なんですのぉっ!?」
「ですからわたくしお気に入りのチョコレート、あぁ、商品名ですわね。 商品名は冬季限定くちどけ滑らかしっとりチョコレート『メルティー・ラブ』ですわっ!! メイドさん達が買い貯めしておりますのをこの日の為に少しだけ分けて頂いたんですのっ!! 味は勿論、口の中に入れた瞬間解け始めるその様はまさに雪解けのようですわっ!!」
「め、めめめめめ、メイドさん達はこの『めるち~・らぶ』という『ちよこれ~と』をどこで購入したんですのっ!? そもそもこれを作ったシェフは何処にいるんですのっ!!」
もう、家格などどうでも良い。
私の家格が公爵で、シャーリーの家格が男爵であるとか、そして今日シャーリーが持ってきた甘味の数々が罠であろうとも、そんな事などこの『めるち~・らぶ』なる『ちよこれ~と』の前では些末な問題である。
この『めるち~・らぶ』なる『ちよこれ~と』が入手できるのならば私は男爵家であるシャーリー相手に頭を何度だってさげれますわっ! いや、むしろ今日は入手方法を聞くまで何が何でもシャーリーを帰しませんわっ!!
「それは申し訳ないのだけれども秘密ですわ。 ただ、タリム領へ来て頂ければいつでもおもてなしはさせて頂きますので是非お越しくださいな。 メルティー・ラブというチョコレートは期間限定なのでその時には必ずご用意できるとは言えませんが、ここでは出す事が出来ないお菓子をご用意させて頂きますわっ! プリン、ケーキ、アイスクリームなどなど、どれもとんでもなく美味しいんですのよっ!! 勿論チョコレートがお好きという事であればそれら全てチョコレート味もご用意させて頂きましてよっ」




