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やっぱり噂通りの男性

あまりの恐怖と、わたくしを襲い来る絶望感で私の頭の中は真っ白となり、ただひたすら謝りながら頭を下げる事しかできない。


「まったく、怒ってないから頭を上げなさい。これではまるで端から見れば俺が君を虐めている様にしか見えんだろう」

「も、申し訳ございま────」

「謝るのも禁止」

「もっ、申し訳ござっ………わ、分かりましたわ」


そしてわたくしは旦那様に言われるがまま頭を上げ、今日ここシノミヤ家へと嫁いできて初めて旦那様の顔をちゃんと正面から確認する。


そこには噂通りの黒目黒髪、そしてとても三十五歳には見えない若々しい、二十歳前後の外見をしたわたくしの旦那様、ソウイチロウ様がバスローブの様な紺色の服を着て座っていた。


因みにその特徴的な黒髪は、その事を主張するかのように男性にしては長めで、後ろで縛り前へ垂らしている。


それはまるで黒馬のしっぽの様に輝きを放っていた。


そしてその黒く輝く黒曜石の様な瞳はまるで刃物の様に鋭く、まるで吸い込まれてしまいそうと錯覚しそうな魅力がそこにはあった。


「どうした?何を呆けている。俺の顔に何か変な物が付いているのか?」

「め、めめめめっ、滅相もございませんっ!!失礼致しましたっ!」

「そう怯えるな。単なる自虐ネタだ。笑ってくれるならまだしもそう怯えられると地味に辛いところがある。そしてこの国では黒目黒髪が珍しい為見入ってしまうのも理解できる。まじまじと見られたからと言って失礼とは思ってはいない。まぁ赤の他人にじろじろ見られるのは嫌ではあるのだが君は、俺とは他人では無いのだろう?」

「は………はい」


思わず旦那様に見とれていたとも言えず、そしてわたくしの旦那様となるお方と言えど人を黙って見つめる事は失礼だったと指摘されて気付き、謝罪をするのだが、どうやら旦那様なりにわたくしの緊張を解こうとしてくれただけだったようで少しだけ安心すると同時に、旦那様の『赤の他人ではない』という言葉に何故か心臓がドキンと大きく跳ねた気がした。


「だが………そうだな、確かに君みたいな年端もいかぬ年齢でいきなり結婚だ何だと住み慣れた家を離れて見知らぬ土地、見知らぬ男性の元へと嫁ぎにいくその不安も理解できる。最初は不安かもしれないがゆっくりと慣れて行けば良いさ」

「は、はいっ」


そして旦那様はシュバルツ殿下と違い優しい声音でそう言って下さり、もしかすると噂の様な殿方ではないのでは?と少しだけ安心する。


「では、早速だが奴隷契約と行こうか」


そう微笑む旦那様を見て、やっぱり噂通りの男性であると思い直すのであった。


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