可愛いは正義
そしてわたくしはその決意を更に強く持つこととなる。
動物園。
ただ動物を展示しているだけであると侮っていた。
いつでも見れるではないかと。
パンダでその価値観を粉々にされたのだが、追い打ちをかけるように可愛い動物たちや変わった動物たち等、様々な動物たちがこのわたくしを魅了してくるではないか。
このような事等、自然界でやろうとすればいったいどれ程の時間がかかるのだろうか。
きっと、間違いなく一日では済まないだろう。
一種類だけ見に行くとしても下手をすれば一週間以上かかる場合だってあるだろう。
これだけの種類ともなれば一年で見て周る事が出来るかも怪しい。
それに人里離れた未開拓地を突き進むこともない為虫刺されや食事やトイレに悩む事も無ければ危ない道や獰猛な猛獣や魔獣、山賊や盗賊などもおらず極めて安全に、一日で周る事ができる。
更に旦那様曰く、珍しい動物や数が少ない動物を間近に研究する事ができ、種の存続が危ぶまれた際、絶滅しないように様々な手を先んじて打つ事ができるとのこと。
所詮この世は弱肉強食。
弱い生き物は淘汰されるべきなのだが「それが人間によって絶滅したのならば、寂しいじゃないか」という旦那様の言葉に胸を刺されたかのような衝撃を受ける。
そうだ。
我々人間は生きるために珍しい動物や魔獣を狩っているいるのではない。
ただ生きる為ならばどこでも捕まえる事の出来る野兎や一角猪等を狩れば良いのだ。
そうすれば衣食住に困る事は無い。
ではなぜ珍しい生き物を狩るのか。
それは人間の欲望を満たす為であり、生きる為ではない。
これは果たして弱肉強食と言えるのだろうか?
そして今、討伐報酬が高い生き物や魔獣のその殆どが珍しい生き物であるのは、我々人間が狩り過ぎたからではないのか。
そんな事をわたくしはよちよち歩く黒と白のずんぐりとしたペンギンという名の鳥さんを眺めながら思う。
なんと愛くるしい姿なのだろうか。
このペンギンを討伐してギルドに持って行けば、その愛くるしい姿から剥製にすれば間違いなく貴族の婦人たちに高値で買われる為間違いなく高値で取引されるであろう。
水中であれば捕まえる事は困難であろうが、陸上であれば一網打尽に捕まえる事もできよう。
そしてこの世から一匹もいなくなるのは何というか……悲しい事だと、わたくしは思ってしまう。
それに旦那様曰く、どんな生物にも何かしら役割があって今生き残っているのだから、一つの種が絶滅した時にどのような影響が自然界に現れるのか未知数だと仰っていた。
王国でも過去にブラックウルフを重点的討伐した時はゴブリンやコボルトが爆発的に増えて大変だったという文献を読んだことがある。
わたくしはそんな事を考えながら、王国でも動物園のような施設を作りたいから大義名分を考えているのか、大義名分があるからこそ動物園のような施設を作りたいのか、最早分からないのだが、杏奈が良く言っている「可愛いは正義」という言葉を思い出すと共にこの可愛らしい動物たちを自分の手で写真として残す事が出来ないという状況を、強く強く悔やみ、目に焼き付けるのであった。
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