顔が熱くて仕方が無い
成程………。
「って、騙されませんわ。こないだ食べた『さけ』も骨はございませんでしたもの。もともとこの様な焼き魚の切り身等は予め骨を抜いてから調理しているのではなくって?」
「バレたか。まあでも食べやすいのには変わりないからな」
「そ、そうですけれども………まったくもうっ」
危うく騙される所だったのだが何故か感じる違和感をぬぐい切る事が出来ず何とか思い出してみると、前回食べた『さけ』という魚の切り身を焼いたものも骨が無かった事を思い出し、それを旦那様に告げると、まるで悪戯が成功した様な無邪気な笑顔でわたくしにネタバラしをしてくれる。
卑怯だ。
そんな表情で言われれば怒るに怒れないではないか。
それと、旦那様と少しだけ深い関係になれたのだと、内容に関しては取るに足らないような小さな内容ではあるものの、それでも悪戯をできる位の仲にはなれたという事にわたくしは表情がにやけてしまいそうになるのを必死に耐える事しかできない。
その事を隠そうと、必死になんとか抗議の言葉を言うも「まったくもう」の後半部分は我慢しきれずにやけてしまっていた為旦那様に見られないようにそっぽを向き『さくら』模様の扇子を取り出すと口元を隠す。
「「「「………………………………………」」」」
「なんだお前達?皆一様にこちらを見て」
「いえ、私達に構わず続けてください」
「そうですそうです。尊いなぁと思っているだけでお二人の邪魔をしようなどとは微塵も思っておりませんので」
「そうですそうです」
「私達の事は路傍の石とでも思って頂ければよいのです」
そんな時、周囲がやけに静かだと疑問に思い周りを見渡してみると使用人達が会話を止め、一様にこちらを向いているではないか。
そのある種異様な光景に旦那様も気付いたのか使用人達へ何故わたくし達の方を見るのかと問うと、どうやら先ほどの一連の流れを見られていた様である。
穴があった入りたいとはこの事か。
羞恥心から顔が一気に赤くなるのが自分でも手に取るように分かり、その事がまた一層わたくしの羞恥心が刺激され、遂には頭から湯気が出るのではないかと思える程には顔が熱くて仕方が無い。
だって、間違いなく使用人の皆様には先ほどわたくしが「まったくもう」と言いながら喜びを隠しきれずに口元をニヤつかせてしまった姿を見られたって事ですわよね。
「ほら、バカな事を言ってないでご飯が冷める前に食べるぞ」
「照れなくても良いのに」
「ま、今日の所はこれくらいにしといて上げますか」
「旦那様としては頑張った方でしょう」
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