体力は限界値を迎えている事が容易に想像できる
そしてわたくしは窓から見える建築物や、そこを行きかう人々を眺めなていると、馬無し馬車はとある『びる』の下、地下へと入って行く。
こうして近くでみると、遠くで見るのとでは違いいかにこの建造物が高さもさることながら横幅もかなりのものである事が窺えてくる。
そして、ここ『にほん』に来た当初から思っていた事なのだが、気泡一つないガラスが惜しげもなく使われており、コップ一つとっても王国では貴族が喉から手が出る程の完成度を誇るレベルであるのだが、そのガラスがここ『にほん』では遠くから見ても分かる程に『びる』という「びる」に使われているではいか。
『びる』だけではない。
『にほん』で見る建造物全てにおいて、そう、市民が暮らしている様な建物であろうとその窓は全てガラスが使用されていた。
それこそこれ程の技術のガラスを、これ程まで普及させ安く提供できる職人がいるのであれば王国にいる貴族、特に王族に見つかれば即座に囲いに来ようとするだろう。
ガラス職人だけではない。
ここ『にほん』でみる全ての物を作るのに携わった職人をその職毎に雇入れようとする事が、鮮明に思い浮かべる事ができる。
貴族の中では特にわたくしのお父様ならば金に糸目を付けずに職人を揃えていくであろう。
そう思うと自分が行っている訳ではないにも関わらずなんだかとても恥ずかしく思えて来る。
「さぁ、着いたぞ。ここの最上階にある個室で既に皆揃って待っているとの事だ。少し急ごう」
「わ、分かりましたわ」
そして馬無し馬車が止まると旦那様が扉を開けて手を差し伸べてくれるので、わたくしはその手上にそっとわたくしの手を乗せて答える。
もう驚くこと等無いと思っていたのだが、外の景色を眺めるだけで驚きの連続であった。
外を眺めるだけでこれなのだ。
きっとこれからもっともっと驚くような事がまだまだあるのだろう。
『いーおーん』だけである程度『にほん』の事を知った様な感覚になっていた事に気付き、少し恥ずかしく思うと共に『にほん』の底見えぬ国力に畏怖すると共に、その分だけの好奇心が湧き出て来る。
「しかしながら、この『びる』とやらの最上階ともなると、どれ程の階段を上らなければならないのでしょうか?自慢では無いのですけれどもわたくし体力面では平民以下ですので初めに皆様にご迷惑をおかけしてしまいます事をお詫び申し上げますわ」
しかし今はその好奇心よりもこれから上る最上階までの階段の事である。
外から見た時点で最上階がまるで雲の上にあるかの如く聳え立っていたこの『びる』ともなると、最上階までに着く前にわたくしの体力は限界値を迎えている事が容易に想像できる為、わたくしはこれから迷惑をかけるであろう面々へと先に謝罪をしておく事にする。




