やはり今は無理ですわ
ああ、確かに。と旦那様の説明を聞いて納得する。
実際にわたくしはタバコが苦手なのだがお父様は好きだったのを思いだす。
お父様との記憶を思い出すと少しだけ寂しい気持ちになってしまうのだが、今わたくしの周りには以前以上に仲の良い人たちが多数いるお陰で少しだけで収まってくれる。
もしわたくしが嫁いだ先が今の様な温かな場所でなかったのなら昔の事を思い出した時少しでは収まらなかった事であろう。
そして何より今わたくしのそばには旦那様がいる。
旦那様が傍にいる、ただそれだけでわたくしは強くなれるし寂しさも跳ね飛ばす事ができると、迷子によって痛感させられた。
逆に言えば旦那様が傍に居ない時は物凄く不安になってしまったのだが、それならばわたくしが旦那様の傍を離れなければ良いだけだ。
「奥方様ーーっ!!今晩パジャマパーティーしましょうっ!!」
そう言いながらわたくしの腕に抱き着いてくるのはルルゥの娘であるララである。
ララは買ってきたお菓子の数々をわたくしに見せながら「やりましょうっ!やりましょうっ!」と催促してくるではないか。
「パ、パジャマパーティー………ですの?それがどのようなパーティーかはあまり良く分からないのですけれども、今晩は日本の使用人さん達も交えてパーティーをするのではなくて?一応その為の買い出しも含まれているという風には聞いているのですが………」
「あぁ、パジャマパーティーは夜寝る時にお気に入りのパジャマで集まって女の子同士で就寝まで楽しくおしゃべりした後は同じ部屋で寝るというパーティーなので大丈夫ですよっ!パーティーが終わってお風呂に入った後みんなで奥方様の部屋に集まるのでっ!!」
「や………」
「………や?」
「やりましょうっ!是非っ!やりましょうっ!!」
そしてララによって『パジャマパーティー』について教えて頂いたのだが、そのパジャマパーティーの内容を聞いたわたくしは胸が躍り心がときめくのが分かった。
公爵家の娘として過ごしていた時ですら、当時のお友達(そう思っていたのはわたくしだけだったのだろうが)とですらそのようなパーティーはしたことが無く、想像するだけでワクワクとした感情が津波の様に押し寄せて来るではないか。
ほんの少し前までは今晩は旦那様と一晩過ごすのかもしれないと思っていたわたくしの頭の中はパジャマパーティー一色となってしまうあたりが、旦那様から見れば子供っぽいと思われる要因なのかもしれないと思いつつもこの初めて感じるワクワクを止める術をわたくしは知らない。
公爵家の娘時代に催したお茶会ですらこれ程ワクワクしたお茶会は無かったというのに。
「あ………やはり今は無理ですわ………」
「えーーーっ!?どうしてどうしてっ!?」
「だって、わたくしはまだ皆様と違って可愛らしいパジャマは持っていないんですもの」




