想像するだけで胸躍る気分だ
「コタツ………そ、そんな恐ろしい魔道具がこの日本にはあるのですね。しかし、そんな恐ろしい防寒用魔道具を使用しても大丈夫なのでしょうか?」
「心配しなくても大丈夫ですよ。万が一奥方様がコタツムリになられましても温かくなる季節にはどれだけ依存してしまっていようと暑くてコタツを脱ぎ捨てますから」
わたくしの問いにルルゥはそう返してくれるのだが、言い換えれば一年の半分近くはコタツという魔道具に依存した生活を送ってしまういう事ではないのか?
ルルゥの話を聞けば聞くほど不安になってしまう。
「何を驚かしてんだ」
「あ痛っ!暴力は反対です旦那様っ!!」
「お前もそんなにビビらなくても大丈夫だから心配するな」
「あうあう」
そうは言われてもどういうものか分からないというのはそれはそれで怖いと感じてしまうのは致し方ない事だとわたくしは思う。
けれどもそれと同時にそれほどまで快適な空間を作り出すコタツという魔道具の事が少しだけ興味が湧いているのも事実であり楽しみでもある。
そして旦那様はルルゥへでこピンを、わたくしの頭を乱暴に撫でた後わたくし用の防寒具を何点か見繕ってくれ、購入してくれる。
一点は電気ストーブ、一点はもこもこの可愛らしい猫ちゃん模様のフード付きパジャマ、一点は手袋やマフラーなどなど、気が付けば旦那様が推す購入した物を入れる手押し車の中はわたくしの物で一杯だ。
因みにコタツは既にあるらしく、それを出すらしい。
そしてわたくしはまだ見ぬコタツという魔道具に思いをはせつつ、一度荷物を車へと乗せた後今一度『いーおん』へと入店する旦那様へとついていく。
そして着いた先は、今度は様々な食品が数多く並べられており見た事ないフルーツや野菜、鮮度のいい魚や肉等、どのように鮮度を落とさずにこの大量の食品たちを運んできているのかと驚いてしまう。
それと同時に今までとはまた違った、ワクワクとした衝動が胸の奥から溢れて来るではないか。
これはどんな味なのだろう?あれはどのようにして食べるのだろう。
想像するだけで胸躍る気分だ。
「とりあえず必要な食材は料理長のリンダに任せるとして、シャーリーは何か気になる物や食べてみたい物があれば遠慮なく聞いてくれ。フルーツやお菓子類なら購入しておやつにすれば良いし、その他食べてみたい食材があれば後日リンダに作って貰うようにしてもらおう。流石に全部とはいかないから五個までにしようか」
「………わ、分かりましたわっ!」
そう旦那様は言ってくれるのだが、流石に腐らしてももったいない為個数制限つきである。




