表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル800万越えの35歳童貞と娼婦の恋  作者: アホになろう
9/16

サキュバスクイーンとベットイン

 俺はクークの村へ来ていた。


 タウバッハの街から馬車で3時間ほどの農村だ。正直、空を飛んで行けば目と鼻の先ほどですぐに到着。


 クーク村の村長さんに渡してほしいと言われていたので、まずは村長さんを探す。



「すみません、村長さんにお会いしたいですが、どちらへ行けばよいでしょうか?」



 俺は村の入り口付近にいた中年の恰幅の良い女性に話しかける。



「おや、見ない顔だね。村長かい?この村の村長はあたしスイデンだよ」

「あ、それは失礼しました。クレスと申します。荷物を届けに参りました。」

「荷物?あんたは手ぶらじゃないか、一体どこへ荷物が?」

「それなら、収納魔法で」

「ちょっと待った、あんたまさか商人ギルドの依頼かい?」

「はい」

「もしかして、あの量を全部、収納魔法に入れているのかい?」

「はぁ、まあ、そうですね」



 実際はその数十倍入ってます……とは言えない雰囲気だ。



「ちょいと見せてくれよ」



 俺と村長のスイデンさんに連れられて村にある倉庫へ行き収納魔法に入れてあった穀物を取り出す。



「わお、あんた、すごいじゃない」

「あはは、ありがとうございます」



 村長のスイデンさんは俺の背中を叩く。




(アイギスシステムのレベルがあがりました)


 

 え?なんで上がったの?



「おや、あんた結構いい体してるじゃない」

「そうですか?」

「そうよ、あたしが叩いたら大体の男は吹っ飛んでいくもんさ」

「……えっ?」

「ふむ、気に入った!収納魔法にその体、申し分ないね。あんた独身かい?」

「ええ、まあ」

「ならうちの村の若い子紹介するから婿においで」

「……は?」

「ほらほら、早く早く」

「いえいえいえ、ちょっと待ってください」



 結構強い力で俺を引っ張るクーク村の村長さん


 村長さんと俺は婿がどうのこうのと揉めていると、一人の男性が村長に走って近づいてくる。



「スイデンさん、やべぇのが来た、ワイバーンだ」

「あのね、今、あたしは取り込んでんだよ、ワイバーンごとき」

「うわああ、こっちにきた」



 俺はワイバーンというものを初めて見た。龍王から聞いていたのより少し大きい気がする。体長が5メートルはあるのでは?まあ、あれぐらい余裕だから俺が倒そう、と思ったがなにやら村長さんが男性から槍を借りる。



「はぁ、あんたの槍貸しな」

「はい、わかりました」



 先ほどの男性が持っている槍は村長さんの手に渡る。


 そして、なぜか四股を踏む。次の瞬間……



「どっせい!」



 村長さんの投げた槍はワイバーンをめがけて一直線に飛んで行く。その投げた槍は放物線を描くことなくワイバーンにクリーンヒット!ワイバーンはそのまま地面へと墜落する。……こえぇ、この村長さん。



「さぁ、それじゃあ行こうか」

「はい」



 俺は村長の投げた槍の威力によって逆らう気を奪われしぶしぶと付いていくことにした。


 

 村には民家がぽつぽつとあり、その内の一軒に堂々と入っていく村長のスイデンさん。



「邪魔するよ、サンドリアは居るかい?」

「はい、スイデンさん。どうされました?」



 出てきた子は女子高生ぐらいの年だろうか?かなり若い女の子だった。金髪のツインテールが更に幼さに拍車をかける。ってか美少女である。○○年に一度の美少女と言われても頷けるほど可憐な女の子だった。



「サンドリア丁度良かった、こちらクレスさん。あんたのお婿さん候補だ」

「……ッ」



 サンドリアちゃんはお婿という言葉に反応して顔を真っ赤にして俯いてしまった。って、そうだよね、いきなりお婿の候補だって言われてもね。



「あの村長さん、この子は?」

「この子はサンドリア、村一番の美人になる子さ。あたしの若いころにそっくりだよ」



 え、この子?村長みたいになるの?嘘だー。似ても似つかないでしょ。



「サンドリア、あたしの見立ててで候補として連れてきただけだ。最終的に決めるのはあなただからね」

「あ……はい、スイデンさん」

「あの、スイデンさん。俺は……」

「そうだね、わかったよ。少しばかり席を外すから二人で話をしな」



 なんとも急に話を進める村長。いや、いくら何でも急すぎませんか?



「あの、わたし……」

「自己紹介はするね、俺はクレス。ここへは商人ギルドの依頼で来たんだけど」

「あ、そうなのですね。わたしはサンドリアといいます。えっと、えっと、16歳独身の処女です」

「え?」

「あ、わ、わ、わ、わたし、その、ごめんなさい」



 ん?なぜ、謝る?もしかして、すでにフラれる展開ですか。……まあ、かなりの年の差があるから普通はそうだよな。



「そうだよね、こんな俺なんて」

「あ、いえ、違うんです」

「どういうこと?」

「わたし、実は昨年、結婚が決まっていたんです。ですが、結婚前日に彼は忽然と姿を消しました。わたし、婚約者に逃げられたんです」

「なっ、こんなに可愛い婚約者がいて逃げ出すのか?……あっ失礼」

「いいんです。ただ、村長が気にしていたのでそれで、半ば強引にクレスさんをここへ連れてきたのだと思います」



 なるほど、彼女の傷を癒すために新しい恋をしろっていう村長の願いなのね。



「それにしてもなんで俺なんだろうな?収納魔法が使える程度で……」

「わぁ、クレスさんはすごいんですね。収納魔法が使えるんですか?」

「ええ、ただ、レアな魔法ではありますが、使える人って意外と多いのでは?」

「確かにいるにはいますが、そこまで絶対数は多くないですよ、それにスイデンさんのことなので他にもクレスを気に入ったところがあるのでは?」

「えー、そんな初対面でいきなりだからな」

「スイデンさんの人を見る目は侮れません」



 だんだんと会話が弾んできたので、俺も調子に乗って色々と話し込んでしまった。


 好きな食べ物の話が話題に上がるとコ・メについて熱く語ったりしてしまったが、彼女は楽しそうに話を聞いてくれる。


 それにしてもこんな器量のいい子がなんで逃げられるんだ?



「クレスさん聞いてもいいですか?」

「何を?」

「あの、好きな人っていないんですか?」

「……え?」



 俺はこの質問に答えるのに躓いてしまった。すぐにナーテさんの顔が思い浮かんだからだ。しかし、ナーテさんは俺のことを客としてしか見ていない。その事実がある限り俺のナーテさん好きは虚しくなるので言いたくない。ただ、いないというのも嘘になる。



「あ、すみません。変な質問して」

「いや、いいんだ」



 質問の答えに詰まったものだからサンドリアちゃんは気にしてくれたみたいだ。



「ちょっといいかい?クレスさん、今日は満月が重なる日だから泊まっていきな」

「え?俺は王都へ……」

「いいから、今日は満月が重なる日だから泊まっていってほしいんだよ。サンドリアもいいね」

「でも、スイデンさん」

「気にしない、クレスさんなら大丈夫だよ」

「……はい」



 正直、なぜ満月が重なる日だから泊まっていけと言われたのか分からなかったが、村長が何度も泊まっていけというので厄介になることにした。


 その夜の食事はサンドリアちゃんの手料理で豪華な食事を振る舞ってもらった。


 かなりの量があったが彼女一人で作ったらしい。本当にこの子がなぜ逃げられる?若くて可憐な美少女で料理が出来ると文句の言いようがない。




 その夜のことだった。静かな村で虫の鳴き声が良く聞こえる中、うめき声が聞こえる。



『んーんー』



 一体、どうしたのだろう?それはサンドリアちゃんの部屋から聞こえてくるのだ。



 コンコン



「あの大丈夫ですか?」

「んーんー」



 ガタゴトと何やらただならぬ様子に俺は思い切って部屋に入る。これで何もなかったら俺は犯罪者になりそうだ。


 しかし、そんな心配は一切必要なかった。なんと、サンドリアちゃんが目隠し、猿ぐつわ、亀甲縛りで天井からつるされているのだ。



「くそ、誰がこんなことを」



 俺はすぐさま、サンドリアちゃんの目隠しと猿ぐつわを取る。



「ククク、ワーハッハッハ」

「ん?サンドリアちゃん?」



 あれ?人違い?可憐なサンドリアちゃんがお下品な笑い方をしている!まあ、それでも可愛いけどね。



「あたいをサンドリアちゃんって思ったかい?残念だったね、あたいはサキュバスクイーン、今日は満月だから思いっきり楽もう。ヒャヒャヒャ」

「……」

「どうしたんだ、頭を抱えて?あたいの美貌に酔っちまったかい?」

「いや、もしかして、お前は満月が重なる日の夜になると出てくるのか?」

「そうさ、日頃は魔力が足りなくて表に出てこれない、だから満月が重なる日の光が作り出すマナによってあたいは力を出すのさ」



 なるほど、これが婚約者が逃げ出した原因か!なんとも不憫な子だ。村長はそれで俺を選んだのか……なんだろう、都合のいいのが来たって思ったんだろうな。



「なあ、サキュバスクイーン。おまえはもうこのままサンドリアちゃんと入れ替わったままなのか?」

「あん?さてはお前、サンドリアちゃんに恋してるのか?アハハ、大丈夫さ、朝になったら元に戻してやるさ」

「そうかそれは律儀だな」

「そうさ、まだ魔力の補充が追い付いてないからね。ただ、大勢の精力を吸い取ってあたいが元気になればこの体はあたいのものさ」



 サキュバスクイーンはすぐさま俺に襲い掛かる。素早い動きで俺を羽交い絞めして接吻をするのだ。



「……」



 ど、ど、どうしよう!唇が……柔らかい。


 俺はあまりに嬉しいハプニングに……いや、けしからん行為に驚いた。


 しかし、サキュバスクイーンもかなり驚いている。



「ちょっと、なんであたいのチャームも精吸収も出来ないの?」



 なるほど、何かしていたのね。ちょっとステータスを見てみますか。




---------------------------------------

ステータス


 名前:サンドリア


 年齢:16歳


 Ⅼv:556


 種族:人間(憑依:サキュバスクイーン)


 称号:料理の鉄人、


 魔法:魅了

    精吸収


 技能:なし


 耐性:物理耐性 Lv.2


---------------------------------------




 あー、魔法とかはレジストしてるな、多分。レベル差がありすぎて一切の効果が発揮できないのだろうな。



「くそ、こうなったら……」



 サキュバスクイーンは窓から逃げ出そうとした。


 しかし、俺は逃げられては困ると逃げ出すサキュバスクイーンを後ろから抱き着き一緒に地面に落ちる。


 ただ、落ちたのは地面ではなくベットの上だった。



「きさま、あたいをベットの上に押し倒すとは上等じゃないか」

「な!お、お、おまえに逃げられたら後で村長に殺されそうだから、こうしているんだ」


 

 俺はサキュバスクイーンを元のサンドリアちゃんに戻す方法はないか考える。が、何も思いつかない。



「くそ、離せ!ってか、どういう力をしているんだお前は。あたいはレベル500以上あるんだぞ」



 そうかそうか、こっちはその1000倍以上あるから大人しくしてくれ。



「あ、おまえ、どさくさに紛れておっぱいを触りやがったな」

「ちょっと当たっただけだろうが」

「うるさい、それを触ったというのだ」

「好きでさわっているんじゃない、それにナーテさんのおっぱいのほうが俺は好みだ」

「なんだよ、あたいのおっぱいにケチつけるのか!」



 えーい、やめてくれ。



 俺はお前にどんな攻撃をされようがHPが減ることなんてないんだ。ただ、理性というものがドンドン減っていっているのだ。大人しくしてくれ!!!



「あ、今度は股間をあたいの尻に押し付けてやがる。このセクハラ野郎!」

「誰も押し付けてねえよ」

「……じゃあ、ビルドアップ中か?」

「うるさい!」



 俺は今、犯罪紛いの行為をしているのは重々承知している。可憐な少女をベットの上で後ろから羽交い絞めで動けないようにしているのだ。


 こう考えるだけで、俺は別の何かに目覚めそうで怖った。


 そして、俺は元に戻す方法が思いつかないまま朝を迎えた。



「くーくー」

「こいつ、寝てやがる……」



 サンドリアちゃんは寝息を立てて寝ていた。どのタイミングでサキュバスクイーンと入れ替わるか分からないで俺はそのままサンドリアちゃんをベットの上で抱きしめていた。



 すると



「おはよう、サンドリア。今回は……グッジョブ!よくやった!」



 ちょっと待て、村長。その親指立てるポーズは何?よくやったって……こっちは徹夜だぞ。



「まあ、冗談はさておき、そのまま抑え込んでいたのか?」

「ああ、おかげで寝不足だよ」

「そうか、それは悪かったな。それと、あたしがあんたを婿になんて無茶を言ってすまなかったね」

「ああ、まあそうだな」

「この子のこの現象が始まったのが本当に去年からだ、結婚前日に起きた悲劇なんだ」

「そうか、憑依ってなっていたな」

「なっ、あんた、鑑定眼も持っているのか?益々、婿に来てほしい、いっそのことあたしのところへ」

「絶対に嫌だ」

「冗談さ。まあ、今回はあんたのおかげで助かった。この礼はさせてもらうから安心しな」

「いや、それよりも……眠たいから寝ていいか?」

「ああ、構わないよ」

「ありがてえ」



 俺はそのまま村長の許可を得て寝入ってしまう。起きたのはその日の夕方だった。


 


 起きてすぐに王都へと帰ることを村長に伝えた。



 流石に明日の朝に出発するのを助言されたが、俺はまだ依頼の途中なのを伝えてすぐに王都へと帰ることにした。


 見送りにはサンドリアちゃんが来てくれた。



「あの、今回はありがとうございました」

「いや、それよりも頑張ってね」

「はい」



 何をどう頑張ればいいのか方向性が一切ないのが辛いところだけどね。



「あの、クレスさん」

「なんだい?」

「えっと、ごにょごにょ」



 何やら小声でつぶやくサンドリアちゃん。俺は聞こえないので耳を傾けると




 チュッ




 サンドリアちゃんの柔らかい唇の感触が頬に当たる。



「あの、クレスさん、ありがとうございました。わたしもお礼はしないといけないんですが……」

「ありがとう。これで十分だよ」

「(笑顔)」



 そう、俺にはこのキスと笑顔で十分です。なんせ、もう理性が崩壊しかけているんですから……王都に戻ったら娼館へ行ってみようかな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ