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レベル800万越えの35歳童貞と娼婦の恋  作者: アホになろう
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ナーテさんとデートと指輪

 俺は夢を見ているのだろうか?それとも堅い床で寝たためにどこかで頭打ち朦朧としているのだろう?なんとベットの上には女神ような姿のナーテさんが布一枚を羽織った状態で最高の笑顔を輝かせているのだ。あ、朝から元気です。いろんな意味で!


 

「おはようございます、クレスさん」

「あ、おひゃようございます」



 噛んでしまった。



「すみません、わたしがベットを取ってしまって」

「いえ、全然、気にしません。俺のベットで良ければ好きなだけ使ってください」

「でも、クレスさんは床で寝ることになってしまって……」

「全然、気にしすることありません。あ、着替えますよね、俺飯食いに行きますの部屋自由に使ってください」



 俺は慌てて廊下へ出た。ナーテさんを直視することができなかったことを部屋からでて後悔する。


 食堂で座って料理を注文する。メニューなんて聞いてもさっぱり想像ができないので、リントさんお任せコースだ。



「はい、お待ち」

「あ、ありがとうございます」



 出てきた料理を食べ始めようとしたとき、ナーテさんが食堂へと顔を出し同じ席に座る。リントさんには俺と同じものを注文する。



「あのクレスさん。今日は何か予定がありますか?」

「いや、何もないよ」



 ナーテさんは自然とした態度で俺と話をしてくれる。どうやら俺はまだ嫌われてはないようだ。よかったよ~。



「もしよかったら、私と街で買い物をしませんか?」



 え?それっても、も、も、もしかして、デートのお誘いというものでは?



「あれだけの報酬をやっぱり一人で貰うのは悪いのでお礼をさせてください」

「あ、全然気にしなくていいですよ」



 なんだ、そういうことか。ちょっと期待してしまったのが少し恥ずかしい……。と、俺はうつむいていたら身を乗り出してナーテさんはお礼をするという。



「いえ、是非ともお礼をさせてください」



 彼女の気迫に俺は首を縦に振るしかなかった。



「それでは、支度をしてきますのでまた後で合流しましょう」

「え、ええ、わかりました」



 ナーテさんは食事が終わると大急ぎで宿屋を後にする。ナーテさんがいなくなってすぐにリントさんが含み笑いをしながらやってくる。



「おやおや、デートかい。いいね~」

「いや~そうだといいんですけどね、アハハ」


 

 デートか、やっぱデートだよな……でも、一人で浮かれたりすると裏切られた気分になるのでやめよう。日本で勉強してるじゃないか、ハハハ。


「はぁ、あんたがそれじゃあ、ナーテさんは苦労するだろうね」

「へ?」



 深くため息をつくリントさんの意図が俺には理解出来ないわけではないが、鵜吞みにすることはできなかった。




 俺はもう一泊する予定だとリントさんに伝えてもう一泊分の宿泊費を支払うとナーテさんとの待ち合わせ場所へと行く。


 

 すると、すでにナーテさんが待っていた。ボリュームのある黒髪をしっかりと整えて派手ではないが落ち着いた色の服に着替えていた。



「すみません、お待たせして」

「いえ、私も来たばかりですから」

「そうなんですか?」

「はい!」



 満面の笑みで出迎えてくれるナーテさんは本当に天使に見えてきたよ。



「クレスさんはどこか行きたいところはありますか?」

「え、俺ですか?実はあまり王都の中を歩いたことがなくて何があるのかよく知らないのですよ」

「わかりました。では、私が案内します。いきましょう」



 妙にはしゃいでいるナーテさんが可愛いかった。ただ、流石冒険者だ。買い物といっても日用雑貨ではなく冒険に必要なものを買い揃えれる店をチョイスする。



「ここは冒険者の魔法装飾品を扱っているお店なんです。私のマフラーもここでニーニャと一緒に買いに来たんですよ」



 嬉しそうに説明してくれるナーテさんは中に入ってもはしゃいでいた。



「あ、この指輪、魔法防御が上がるんです。それに、綺麗ですよね~」



 うっとりと潤んだ瞳はとても輝いて見える。ナーテさんの方が綺麗ですと言いたいが恥ずかしいな。


 指輪を見ていたら店員が俺達の傍によってきた。



「よろしかったら実際に指にはめてみてください、効果をすぐに体感することができますから」

「いいんですか?」

「はい、当店自慢のマジックリングになりますので是非ともご試着ください」



 店員さんにお願いして自分の指のサイズに合うものを用意してもらった。と言っても、5つほどしかサイズの種類はなく俺とナーテさんはサイズの合うものを選ぶが二人とも左手の薬指に合うサイズしかなかったのは、偶然だろうか?



「綺麗です~」


 

 指輪をした手をかざしてうっとりと眺めるナーテさん。左手の薬指に俺とおそろいのを嵌めているのに嫌がっていないところを見ると、この世界では俺との認識がずれているのだとわかる。


 俺はわかってやっているから確信犯だけどね!



「あの、これください、ナーテさんここは俺が払いますよ」

「え、いいんですか?」

「はい」

「ありがとうございます」



 俺は代金を払い店の外に出る。ナーテさんはずっと指輪を眺めている。俺はいい買い物が出来たと満足していた。


 しばらく歩いていると冒険者ギルドの近くでニーニャさんが歩いているのを見つけた。



「あ、ニーニャ!こんな時間に外を出歩くなんて?」

「大きな依頼が入ったから私が直接出向いて交渉をしてたの」

「そっか、どんな依頼なの?」

「そうですね……ナーテとそこの……」

「あ、クレスです」

「クレスさん、もしよかったら3日後に物資輸送のお仕事があるの。参加してみませんか?」

「ニーニャ、それ私も受けれるかな?」

「ええ、よかったらギルドでお話ししましょう」




 俺とナーテさんはニーニャに勧められるクエストの説明を受けた。


 なんでも穀倉地帯の中心街タウバッハの街まで荷物を輸送するのだが、馬車が足りなくて困っているらしい。


 そこで、俺の収納魔法で輸送グループに加わり往復する回数を減らしてほしいとのこと。


 物資の量はかなりあるらしく金貨10枚ぐらいの報酬額になるという。


 俺はタウバッハにも行ってみたくなったので快く依頼を引き受けた。なんでも、タウバッハには米料理があるというのだ。異世界の米料理は是非とも食べてみたい。


 それにナーテさんも護衛として一緒に来てくれることを志願してくれているので俺としては顔見知りがいるのは助かる。



「クレスさん、頑張りましょうね」

「もちろんですよ、よろしくお願いします」

「クレスさんと一緒なら私、何があっても大丈夫な気がします」



 ナーテさんは笑顔で話しかけてくれる。日が沈みかけているからなのか彼女が笑顔だからなのか、とても眩しく感じるナーテさん。


 そんな彼女を見ていると日本へ帰ることへの決心が揺らいでいることに気が付いた。





 その日の夜、俺は3日後までの料金をラ・ルゥへ支払い寝床と食い物を確保した。





 次の日、宿屋の食堂で食事をしていると噂話が耳に入る。



「おい、聞いたか?」

「何がだよ」

「勇者だよ、なんでも異世界からスゲー勇者が現れたらしい」

「まじか、でもすごいって言ってもな~」



 おいおい、やっと下準備完了かよ。すでにもう魔王は実家に帰るって約束したぞ。



「なんでも、あの騎士団長のクレスベル隊長以上のレベルらしい」

「なんだよそれは、人類最強じゃん」

「これは俺が仕入れた極秘情報だがレベル100以上はあるらしい」

「レベル100以上って……」

「しかも、こんかいの異世界人は4人いて全員が100を超えているらしい」



 なるほど、俺は数には含まれていないみたいだ。実際に高校生の異世界転移に巻き込まれたようなもんだからな。まあ、レベルが88万を超えているせいか肉体はしっかりと絞り込まれて若く見えるようにはなっているがな!


 まあ、すぐに魔王シルヴァが宣戦布告を取り下げるはずだから、勇者も……ってあー忘れてたよ、あの子たちの存在。


 日本に帰るなら彼らも一緒に連れて帰ってやらんとダメだよな。


 



 噂を聞いた後こっそりと勇者たちがいると言われる宿屋に行って話をした。にしても、ラ・ルゥと違ってかなり高級な宿屋に住んでやがるな……



「おい、元気か?」

「あ、あんたはレベル1の人」

「ああ、そうだよ」

「何しに来たんだ?」

「いや、俺はもうすぐ日本へ帰ることにしたんだが、お前らと一緒に帰ろうかと思ってな」

「「「「断る!」」」」

「……は?」



 俺は高校生勇者達の返答に驚いた。普通は帰りたいけど帰えれないから困るのに帰るのを拒むってどういうこと?



「悪いんだけどあなたみたいに弱い人は信用できない」

「それに僕たちはレベル100を超えた異世界最強なんだ」

「ええ、そうよ。私達はあなたみたいなゴミレベルと違うの」

「僕も帰りたいと思いません……」



 名前は確か、山本くん、山田くん、山下さん、山崎くんの山シリーズは日本へ本当に帰りたくないのだろうか?



「わかった。今日のところは帰るよ。気が変わったら言ってくれ」

「誰が、あんたなんか頼るかよ」



 その日の夜、俺は個別で彼らに会うことにした。もしかしたら、みんなの手前言い出せなかった子がいるかもしれないと思ったからだ。



 まずは帰る気がまったくなさそうな山本くんの部屋



「はぁはぁ」

「……っ」



 俺は山本くんの部屋に窓から入ろうとしたのだがあるものが見えたのでやめておいた。何とベットで二人の女性と交わり合っていたのだ。


 なるほど、女性が寄ってくる今の状況は手放したくないな。それに童貞の俺には刺激が強すぎるのでその場は見なかったことにする。



 次に訪れるのは山下さんという女の子だったのだが、こっちはこっちでなんと超美形の騎士を2人連れ込んで女王様プレイの最中だった。


 うん、俺は見ていないことにする……



 ただ、一番気弱そうな山崎くんならもしかしたら、と思った。



「いけません、山崎様、私には夫が」

「もう僕は我慢できないんです、王妃様」



 ちょっっっっっと待て、なんで王妃様?姫様の方が若くて可愛かったよ!


 俺はそのあとベットで交わる二人を確認した後、気弱そうな山崎くんでもここでならやっていけるかもしれないと心の中でエールを送った。



 最後は人をレベルで判断するような山田くんのところへ行く。


 案の定、彼も楽しんでいるようだ。だた、俺は鳥肌が収まらないのでその場をすぐに去った。



 俺はこの日の夜に決心した。


 一人で帰ろう。それと山田君には絶対に近づかないでおこうと心に決めた。

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