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レベル800万越えの35歳童貞と娼婦の恋  作者: アホになろう
3/16

冒険者ナーテは金貨20枚と素敵な出会いを手にした

ナーテ視点です。

 私は25歳の行き遅れかもしれませんが逃げ足だけは最速の冒険者。今、その力を思う存分発揮しています。


 なぜ?後ろから迫りくる大きな猪、ラージワイルドボアから逃げるためです。


 私の胸は他の子より大きめですが、孤児院の先輩でもあるニーニャにさらしを巻いてもらっているのでいつもより動きやすいので、ニーニャに感謝しなくちゃ。

 


 でも、正直このまま逃げ切れる気がしない……どうしましょう。



「キャァ」



 大きな木の根に足を取られて転んでしまいました。


 ついてない、膝が痛い、ズボンがズレて恥ずかしい。あ、でも今日のパンツはいいパンツだから見られても大丈夫です。


 それに、ここで死んだらもう娼館へ行って気持ち悪い伯爵に抱かれる必要もなくなるのはいいかもしれません。



 孤児院のみんな、ごめんね。


 そんな私の死への覚悟はあっけなく無意味なものになったんですが状況をすぐに飲み込めませんでした。


 どこから来たのか分からない男の人がラージワイルドボアを倒してくれたのです。どんな魔法を使ったのか分からないですががすごい人なのは確かです。



「大丈夫か?」

「あ、ありがとう」



 この人、すごい強い人だけど私のパンツを見てもあまり動揺する感じではないです。もしかして、私が女だってわかってないのかな?



「どうして、一人で狩りをしているんだ?」

「私まだ、冒険者になったばかりなんです」

「そうか、でもパーティを組んだほうが安全じゃないのか?」

「そうなんだけど、時間が合わなくてやむなく一人でやっています」

「なら、俺なんてどうだ?今日はこの後も空いているぜ」

「いいんですか?あ、いや、でも配分が」

「あ、報酬はいらない。それよりも街に入る時に保証人になってくれ、身分証を失くしたこまっていたんだ」

「そんなのでいいのですか?」



 ラージワイルドボアをあっという間に倒す人が無報酬で護衛してくれるなんて……世の中捨てたもんじゃないんです。


 失礼のないように素顔を見せて握手をしましょう。そうすれば、こちらの誠心誠意が伝わるはずです。



「わかりました、それじゃあ、協力を頼みます。私はナーテ」

「あ」

「ん?どうされました?」

「ああ、いや、なんでもない」

「顔が赤いですよ」

「気にするな、街に入れるのがうれしいんだ。俺のことはそうだな、クレスだ」



 あっ!誠心誠意はいいけど、女だってバレちゃったのかな。ニーニャにあれほど気を付けろって言われていたのに……どうしましょう。



「で、ナーテはどんな依頼をやっているんだ?」

「あ、クエスト内容ですか。私は薬草採取をやっていました」

「初級か?」

「はい、Dランクのソロだったもんですから」

「それで、あとどのぐらい必要なんだ?」

「一応、もう数は揃ったからあとは帰るだけだったんですが……」

「そうか、そのタイミングで襲われるとは災難だったな」

「アハハ」



 本当に今日は付いてないです。



「マフラーしといたほうがいいんじゃないか?」

「あ……そうですか……ごめんなさい」



 え?なんで、隠せってことですか。今までの冒険者の人はすぐに私と繋がりを持ちたがるのに。はぁ、ちょっと自信が無くなりそう。



「あと、この猪だがもしかして売れるのか?」

「もちろんですよ、Cランクの魔物になりますので肉も牙も余すことなく売れます」

「それじゃあ、持って帰ろうか」

「はい、全部持って帰れないのがちょっと勿体ないですが」

「え?全部持って帰って売ろうよ」

「いえ、でも二人で持てる量はこの大きな牙だけになるかと」

「あ、大丈夫だよ。収納魔法持っているから」

「す、すごい!クレスさんは収納魔法をお持ちなんですね」



 すごい、すごい人だ!収納魔法なんてレア魔法が使える上にラージワイルドボアを一撃で倒せる人。もしかして、高ランクの魔術師の方かしら?



「それじゃあ、街まで帰りましょう」

「はい」



 先ほどから一切会話がなく歩いています。たぶん、周りを警戒しているのね。流石です、私も見習って今日みたいなことにならないようにしなくちゃ。ただ、手足が揃ったり、速度が一定じゃないのは何か独特の技術なのかしら?



 私はクレスさんの技術を学べるようにしっかりと見ていたらあっという間に王都の入口付近へと到着しました。



「クレスさん、しばらくお待ちください」

「ああ」


 クレスさんは身分証がないということなので私が保証人になるためまずは門番のヒューイに近づき話しかけます。



「おかえり、ナーテ」

「ただいま、ヒューイ。向こうにで待ってくれているのはクレスさん。身分証を失くしたみたいだから私が保証人になるから中に入れてほしいの」

「ああ、構わないぜ、たださ、今度店に行くから安くしてくれよ」

「それはできません、値段を下げるなんて絶対に無理です」

「じゃあ、向こうにいるヤツは通さない、それとお前が男アサリをしているって伯爵様に報告しておくよ」

「そんな、横暴だわ」

「何とでも言ってくれ」

「……わかりました。招待客リストに載せておきます。ただ、一回だけですよ」

「おっけー、じゃあ、ここに保証人として一筆書いて」



 クレスさんの保証人になるために一筆書くだけだと思っていたけど、ヒューイに弱みを握られてしまいました。クレスさんが街に入れないとラージワイルドボアも入れないので仕方ありません。



「それじゃあ、クレスさん。冒険者ギルドに行きましょう」

「ナーテ、お店で会おうね」



 私はクレスさんと一緒に冒険者ギルドに向います。ヒューイの笑顔がとても怖く感じて返事を返すことをしませんでした。



「おかえりなさい、ナーテ」

「ただいまニーニャ、こちらはクレスさん」

「あ、どうも」



 冒険者ギルドではニーニャが出迎えてくれます。ニーニャの顔を見ると安堵する自分に気づかされます。



「何、この変な奴?」

「……」

「ちょっとニーニャ、クレスさんは無償で私を助けてくれたの、命の恩人なのよ」

「無償?ナーテ、あなたマフラー取ったでしょ、あれほど言ったでしょ、冒険者に素顔を見せたらダメ。基本的に冒険者は信用ならないんだから」



 ああ、ニーニャ、その方はとても強いから怒らせないで……それと、クレスさんは私の素顔見ても何もなかったから大丈夫ですよ。あ、思い出しただけで凹みます。



「ナーテさんと一緒に討伐した猪を買い取ってほしいのだがいいかな?」

「え?猪ってもしかして、ワルドボアのこと?」

「ニーニャ、実はワイルドボアよりも大きかったからラージワイルドボアだと思うの」

「……ええええええ」



 ニーニャ、それだけではなく収納魔法なんてレア魔法が使えるのよクレスさんはやはりすごい人だわ。ニーニャがこんなにも驚いているのなんて初めて見ました。



「あの、どこか猪を出す場所ありませんか?収納魔法で持って帰ってきたのですが」

「え、あなた収納魔法なんてレア魔法が使えるの?」

「一応」

「わかったわ、奥に部屋を用意するからそこでお願いするわ」

「了解」


 

 なんだろう、冒険者ギルドに入ってからクレスさんはとってもクール。やっぱり仕事中の男性って雰囲気も違うものなのですね。ちょっと渋くて良い感じです。


 その後は解体場にてクレスさんの収納魔法からラージワイルドボアを取り出します。やっぱりすごい魔法よね収納魔法は。ニーニャも目を丸くして驚いているもの!



「ちょっとナーテ。これラージワイルドボアと違うよ」

「え、そうなの?」

「ええ、これはね、さらに上位種のジャイアントワイルドボアなの。ランクBのかなり凶暴なやつよ。よく生きてたわね」

「そうなんだ、私、Bランクモンスターなんて初めて見るから、クレスさんはすごいのですね」

 


 すごいすごいすごい!Bランクを簡単に倒せるってことはAランク以上の魔術師……どうしよう、この人の力を借りれば借金返済がもっと早くなるのかしら。



「ニーニャ、これって相場はどれぐらいなの?」

「そうね、流石にここまでバラバラになっていると値が下がると思うけど、牙がかなり立派な個体だから金貨20枚ぐらいだと思う」

「き……金貨20枚!」



 き、き、き、金貨……20枚って、孤児院の何年分の食費なの。すぐに計算できないわ。



「あ、あ、あのクレスさん」

「ああ、いいですよ。全部ナーテさんが受け取ってください」

「でも、それでは……」

「そうですね、それじゃあこの後、一緒に食事をしませんか?」

「はい、喜んで!」



 え?え?え?貰っていいの?嘘よ、こんな大金をあっさりと人にあげるなんて考えられません。もしかして、この人も私の体が目当てなのかしら?でも、私の素顔を見ても素っ気ない態度ばかりだし、もっと別の何かがあるのかしら?



「ニーニャさん、このあたりで料理が美味しい店って知ってますか?」

「そうね、美味しい店なら宿屋のラ・ルゥがいい味しているわ、値段も手ごろで最高よ」

「よし、そうしたらナーテさん、ラ・ルゥへ行きましょう」



 ラ・ルゥは確かにおいしいけど、もっと高級なお店も……あ、ニーニャったら私の懐具合を気にしてくれているのね。ありがとう、ニーニャ。



「待ってください、クレスさん」

「はい、どうしま……あっすみません」

「いえ」



 もう、クレスさんったら、よっぽどお腹が空いているのね。ラ・ルゥぐらいのお店ならいくらでも御馳走しますから待っていてください。



「あの、まだ清算が終わってないので少しお待ちください」

「ですよね、アハハ」





私はニーニャから報酬の金貨を受け取りました、袋の重みが……思いです。そして、恐る恐る金貨が入った袋を受け取り中身を確認するとあまりの眩しさに目がくらみます。こんな大金持っていたら襲われるかもしれないとこわくなってきました。でも、大丈夫、クレスさんと一緒にいれば何とかなりそうな気がします。




 冒険者ギルドから直便でお待ちかねの宿屋ラ・ルゥへと到着です。



「ここがニーニャさんが言ってたお店ですか?」

「ええ、とても料理が美味しいお店なんです」

「ナーテさんは来られたことがあるんですか?」

「二度ほど来たことがあります、ニーニャに連れられてですが」

「なるほど」



 宿屋に入り出迎えてくれたのはしっかりと接客してくれるのはリントさんの娘さんであるネアちゃんでした。



「空いてる席へどうぞ」

「ありがとう」



 席に着くとすぐにリントさんが席へ歩み寄り注文を取ってくれます。



「何にする?ってナーテちゃん、いらっしゃい。こちらは……彼氏?」

「ち、ち、ち、違いますよ、リントさん」



 やめてくださいリントさん。確かにクレスさんが恋人だといいなとは思っていますが、今日あったばかりですから、それに……。



「おや、ナーテちゃんの慌てようからすると……」

「絶対にないです。やめてくださいよ、リントさん……そんなんじゃ」



 もう、リントさんは美人でやさしいけどすぐに私をからかうんだから。


 それにしてもラ・ルゥはいつも通り大盛況ね。クレスさんも美味しそうに食事してくれているからよかった。


 私がもっと気の利いた会話なんてできればいいけど、クレスさんが美味しそうに食べてくれるだけでうれしいな。


 

「そういえば、クレスさんどこに泊まるのですか?」

「おや、まだ決まってなかったのかい?」

「あ、リントさん」

「えっと……」

「なんだい、決まってないのかい?ならうちに泊まりなよ。ナーテさんの彼氏なら安くしておくよ」

「だから違いますよリントさん!」

「リントさん上手いですね、そうしたらお願いしますね」

「毎度ありがとうございます」

「ごめんなさい、クレスさん」

「いえ、元々そのつもりなので」

「あの、もしよかったら後で部屋に遊びに行ってもいいですか?」

「え、いいですよ」

「本当ですか!すぐに準備してきます」



 勢い余って言っちゃったけど部屋に行ってもいいってことは、夜伽……準備しなくちゃ!お店では絶対に着ない本当の勝負服で行きます。待っていてくださいクレスさん!


 でも、私は汚れた体……迷惑……かな。


 私は部屋に行きいざクレスさんとお酒を飲みながら話をしていると、更に、自分についている汚れが嫌になってきます。


 そのためにお酒の力を借りようとかなり美味しく飲みました。



 

 私は朝起きるとクレスさんのベットの上で寝ています。肝心のクレスさんは床で寝て……。衣服は脱いでいたがパンツは履いたまま……私は相手にされていないことに気が付きました。


 ただ、昨晩のクレスさんは『いや、自分をもっと大切にされたほうが……』と言っていたような?


 仮に私を大切に思って抱いていないとするなら……。果たして今までそんな人はいたでしょうか?いや、いません。私の体を見るなりすぐに抱き着く人やすぐに入れたがる人はたくさんいました。もしかして、クレスさんは本当に私の体のことを気遣ってくれる人なのでしょうか?何故でしょうか……涙が止まりません。

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