クレスの告白
なんと厄介になっている家の娘、サンはこの国の王女様だった。
訳ありそうな感じはしたがまさかお姫様だったとは……。
目の前では跪いているナーテさんがいる。
俺も膝まづいた方がいいのかな?
「クレス……あのね……」
「すみません、王女様とは知りませんでした」
俺は王女様とは知らずに呼び捨てで呼んでいた。何たる無礼!まあ、だけど本人はあまり気にしてなさそうだからいいかな。ただ、権力者の娘さんであることに変わりはない。それに俺は元サラリーマンだ。権力者の娘さんとなれば、とりあえずは頭を下げる!
「クレス、お願いだからいつも通りにして欲しいな」
「わかった」
にしても、綺麗な子だと思っていたがまさか王女様とは、分からないもんだな。
「それよりも、わたしはさっきの話の続きが聞きたいな?」
「ん?どの話だろうか」
俺は自覚している。自分の目が確実に泳いでいるだろう。
「またまた、とぼけちゃって」
ああ、とぼけるとも。手籠め疑惑なんて……知らぬ存ぜぬで突き通すしかない!
だが、ナーテさんがサンの援護射撃する。
「クレスさん、私も話が聞きたいです」
「……」
どうしよう。言い訳が思いつかない。ナーテさん、どうしました……すごい迫力ですよ。
っといってもな、俺も正直、メロさんが話していた内容を一切覚えていないからわらないんだよね。
「いや~何のことやら俺にもさっぱり……」
「「とぼけないで」」
グイグイと迫る美女と美少女……ああ、全く違うシーンで迫ってもらいたい。たとえば、ベットとか!
ただ、神は俺を見離さなかった。ちょいと太いかもしれないが、俺を助ける女神が現れる。
「あんた、ちょっと手伝っておくれよ」
「はい、何なりとお申し付けくださいませ」
スイデン様が俺を呼びに来てくれたのだ。そりゃあもちろん、現状回避のために喜んで手伝いますよ。
「ついてきな」
「……はい」
何やらすごい緊迫した雰囲気のスイデンさんに俺は気後れしていた。
それに俺の傍にいる美女と美少女もスイデンさんの雰囲気を察してそれ以後、何も言わなかった。
俺はスイデンさんについていき数名が集まっている納屋のような小屋にお邪魔する。
「あんたには色々と手伝ってもらいたいんだが、もちろん無報酬とは言わない。参加で金貨100枚、成功で追加報酬1500枚をだすよ」
「え?そんな大金を?」
「当り前さ、人命が掛かっているからね」
「やっぱりサンは王女様なのですね」
「ああ、隠すつもりなんてないさ。ただ、必要がないだけでね。それで、受けてくれるのかい?」
「ええ、もちろんです!」
「助かるよ。まずは、この魔力紙で魔力を測るから見せておくれよ」
「はい、わかりました」
何かよく分からないがとりあえずやってみよう。
紙の端に手の型が付いているのでそこをつまめばいいのかな?
つまんだら……何すればいいの?
おっ光った!
おっ火が出た!
おおっ……燃え尽きた……?
「あのこれって」
「「「…………」」」
ん?もしかして、燃え尽きたらヤバイのか?
スイデンさんの顔が真っ青になっている。周りの人も一緒だ。
どうしよう。
「えっと、すみませんでした」
俺は反射的にヤバイと思い謝った。腰の角度90度にて頭を下げる。
「いや、いいよ。あんたがフェニックスの羽を持ってくる実力があるのが確信持てたよ」
「あはは、そうですか」
「化け物だね」
「スイデンさん……面と向かってはっきり言いますね……」
「もちろんさ。化け物かもしれないけど、これで姫が助かる可能性がグッと上がったからね」
「そうですか、して、何をすればいいのですか?」
「まずは見守ってほしいのさ」
スイデンさんの作戦は簡単だった。
用はサンにとりついたサキュバスクイーンを薬でまず追い払う。
しかし、サキュバスクイーンが現れた場合、対処することが出来る人間がいない可能性が高い。
そこで俺のような化け物が心強いというわけだ。
「作戦は今夜決行するから、それまでは休憩しておくれ。あと他のものはしっかりと配置についてから夜までその場で待機。わかったかい?」
スイデンさんが指示を出すとその場でいる全員で返事をする。
「「「「「イエス、マム」」」」」
なんだろう、こういうのも良いな。
俺は体育会系のノリで一体感を楽しんだ。
スイデンさんの作戦会議が終わると夜まで戦士の休養を取る。
というか、お昼寝に丁度よさそうな場所があったので村の外れの草むらへと足を運んだ。
草のベットとそよ風が最高に気持ちよくてこのまま夜まで寝ることに何一つのためらいはなかった。
だが、俺に褒美と試練がやってくる。
「クレスさん、ちょっといいですか?先ほどの話の続きですが」
「は、はい」
ナーテさんが覗き込んできた。
ナーテさんのおっぱいは重力に逆らうことなく俺に実ったことを見せつけてくる。
また、男装を解いているので艶っぽい声と表情で俺の股間を刺激する。
だが、内容が内容だった……
「えっと、その、あのですね。俺はですね。何と言いますか……」
「クレスさん」
「はい!」
「正直に答えてください」
「いや、それがなんて答えていいか」
「じゃあ、質問変えますね。ニーニャのことどう思っているんですか?」
「え?ニーニャさん―――ですか?」
「そうです」
グイグイと迫るナーテさん。
ちょっと顔が近いです。
いい匂いです。
興奮してしまいそうです。
でも、なんでニーニャさん?
「えっと、冒険者ギルドの職員で真面目な方ですよ」
「誤魔化さないでください」
「誤魔化してませんよ。……あっもしかして、借金のことですか?」
「借金?」
「ええ、孤児院の借金です」
「どうしてそれをクレスさんが知っているのですか?」
「ニーニャさんが教えてくれました」
「ニーニャが?」
「えっと、話をしていいのか迷いましたが、何か誤解をしている可能性があるのでいいますね」
「はい、お願いします」
ナーテさんがどうやら話を聞く気になってくれたようだ。
さっきまでは少々興奮気味ではあったからな。
いやね、ナーテさんが迫ってくれるおかげで俺も興奮気味ですよ。
「えっと、孤児院の借金をかたにナーテさんが娼婦になったことを聞いたのです」
「……」
「ですから、俺がその借金を用意して返済すればナーテさんが娼館で働く必要がないと思ったのです」
「……」
「ただ、それだけです」
ナーテさんは俯いて俺の言葉聞いていたが、返事はなかった。
しばらくして、俯いたまま俺に疑問を投げかける。
ただ、今にも泣きそうな声で俺に話しかけてくる。
「どうしてですか?」
「どうしてとは?」
「どうして、私なんですか?」
「……」
「どうして、私が娼婦だといけないのですか?」
ん?どういうことだ?もしかして、娼婦という職業に誇りを持っていたのかな?
まあ、故人の自由だから娼婦がいいなら娼婦でいいのだけどね。
でも、ニーニャさんの口ぶりだとナーテさんは娼婦という職業が嫌だと思っていたが、俺の勘違いなのか。
「もう後戻りはできません。こんな汚れた体で出来ることなんて冒険者と娼婦ぐらいなんです」
やっと、顔を上げたナーテさん。しかし、その瞳には涙が溢れんばかりに溜まっている。
俺はナーテさんの訴えかけるような表情に更に返事が出来なくなった。
「私なんて、もう25歳なんです。行き遅れの娼婦なんですよ」
ナーテさんは感情のまま俺をまくし立ててくる。
だが、ナーテさん。日本じゃ25歳が行き遅れなんてことはなくむしろ早いぐらいだよ。
「髪だって他の子と違って真っ黒です。綺麗な金髪でもないんです」
ナーテさん、日本人ならその髪はとても馴染みがあり俺好みなんです。
「それから……」
ナーテさんは相当自分のことを自虐的に考えていた。
まあ、無理もないのかもしれない。
ナーテさんは孤児院で育ち、娼婦になり金を稼ぐ日々だ。
自分のいいところが体ぐらいにしか思っていないのだろう。
そんな人に―――俺はなんて答えたらいいんだ?
ナーテさんを慰める言葉が見つからない。
ならばもう、思ったことを言うしかないのかもしれない。
「……泣いて欲しくないからです」
「え?」
「ニーニャさんに聞きました。誰かに抱かれた後、ナーテさんは泣いているって。だから、俺はナーテさんに泣いて欲しくなったから。ただ、それだけなんです」
思ったことを口にした。
正直、ナーテさんの顔を見るのが怖い。
バカにされるだろうか?納得されないだろうか?
だが、確認せずにはいられない。っとナーテさんの顔を見ると焦点が全くあっていない状態だ。
なぜ、放心状態に?俺はそんなに的外れなことを言ったのだろうか?
どうしたものか、どうすればいい?
この時、俺は妙に安心感があった。
それがなぜか分からない。
言えることは、勢いって大事!
「えっと、俺が言うと変かもしれないですが……ナーテさんが好きだからです」
「……っ」
ナーテさんは俺の言葉を聞き、大粒の涙を流し始める。
泣いて欲しくないくせに泣かせる俺って突っ込みは入れない。
いくら鈍感な俺でも流石にナーテさんがどう思っているかは、分かったからだ。
ただ、カウンターを食らうと言葉を失った。
「私も好きです」
「……っ」
正直、言葉にされると信じられなかった。
なぜなら、目の前には自分が思う最高に理想の美女が俺のことを好きと言っているのだ。
ナーテさんの返事に俺は心臓が落ち着かないことに気が付く。
あまりに早く脈を打つし年も年なので心不全を疑いそうになる。
互いに無言で見つめるだけ、なのに、こんなにも目の前の女性が愛おしく仕方ない。
幸せに包まれるとはこいうことなのか。時が止まればいいのにと本気で思った。
そして俺は異世界に来てあることを理解する。
【なるほど、これがリア充の世界か!】
「クレス、スイデンが呼んでるよ」
「ありがとう、今すぐ行くよサン」
サンの声に呼ばれ我に返る二人。
「行こうか、ナーテさん」
俺はナーテさんとその場を離れようとした。すると、服の裾を引っ張るナーテさん。
なぜかふくれっ面だったが、すぐに理解する。
「私もナーテが……いい」
「じゃあ、俺もクレスね、それじゃあ、行こうかナーテ」
「はい、クレス!」
ナーテは最高の笑顔で答えてくれた。
いかがだったでしょうか?
ここでナーテ編は終了になります。
感想や指摘などあればお気軽に送ってください。
ここまで読んで下さりありがとうございました。




