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レベル800万越えの35歳童貞と娼婦の恋  作者: アホになろう
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フェニックスクエスト

 王都へと帰ってきた俺は真っ先に商人ギルドの依頼を終わらせる。



「これで全部ですね」

「……すごい、収納量ですね」



 収納魔法に入れてあったタウバッハの穀物を倉庫10棟に分けて取り出す。


 俺の収納量はほぼ無限に近いがそれは隠している。だが、今回の依頼分でも驚きが隠せない様子の商人ギルドの方々。口をぽかんと開けて見ているだけだった。



「それでは、俺はこれで失礼します」

「……あっ、はい、依頼料はこちらになります」

「ありがとう」

「あ、それと冒険者ギルドのニーニャさんから伝言で王都に帰ってきたら私、ニーニャのところまで来てくださいと言われました」

「あ、わかりました。この後、冒険者ギルドに行きますね」



 俺は依頼料である金貨を受け取り颯爽とその場を立ち去る。


 どうやらニーニャさんが俺のことを呼んでいるらしい。なんだろう?もしかして、愛の告白だったりして!



「あ、クレスさん」



 冒険者ギルドへ行くとニーニャさんが出迎えてくれた。



「あの、ここでは話しにくいので応談用の部屋を用意していますので一緒に来てください」



 なんだろう、あのニーニャさんがやけに濃い化粧をしている。いつもはほぼノーメイクなのに……まあ、それでも美人であることは間違いない。本当にこの世界の女性のレベルは高いよな。



 こんなレベルの高い女性と純粋なお付き合いで童貞を捨てれたら……どれほど気持ちいいのだろう!



「あの、真面目な話なんですが……」

「ええ、どうぞ」



 少しばかり声が震えているが緊張している?そんなに話づらい事なのか?



「……私と……セッ〇スしませんか?」

「……はぁ」

「えっと、その返事は……どちらなのでしょうか?」



 俺はニーニャさんのあまりに突拍子もない申し出に曖昧な返事しかできなかった。ニーニャさん、俺の思考回路が付いていけないっす!


 よく見たらニーニャさんは耳まで真っ赤にしている。恥ずかしいのだろうが、なぜ急にこんなことを言い出すのだろう?


 本気で俺に惚れたのだろうか?


 いや、流石にそれはないな。



「もう、ニーニャさんは冗談が好きですね。アハハ!」

「じょ、冗談じゃありません。本気なんです」



 どうしてくれようか、この状況……正直、騙されている感じがする。こんな美人が俺みたいなやつに抱いて欲しいなんて有り得ない……。


 

 しかし、ここ最近、何もしていないので想像だけで我が息子はかなり正直に反応してやがる。ニーニャさん、その上目づかいやめてください。



「その、こんなことをお願いするのはクレスさんぐらいしかいなくて」



 そうなんですね。俺なら騙せるって思うのですね。わかります、ナーテさんにも客としか見てもらえなかったですから……泣きたい。



「その、あの……」

「ニーニャさん、一つ聞いていいですが?」

「はい」

「お金が必要なのですか?」

「……はい」



 やっぱりそうですか。世の中、金ですよね~。危うく騙されるところだったよ。



「では、お断りします」

「何故でしょうか?私に魅力がありませんか?」

「そんなことはありません」

「では、どうして……」

「いや、お金のために体を売るなんて、もっとご自分を大切にしてください」

「お金が必要なのです。もし、クレスさんが私を高値で買ってくださるなら性奴隷になっても構いません。クレスさんのどんな性癖でも私は喜んでこの身でお受けします」



 どうしよう……ちょっと揺らいできた……ニーニャさんが変態プレイを許容してくれる……


 いや、待て待て。考えろ。



「あの、なぜそこまでしてお金が必要なのでしょうか?ニーニャさんはそこまでお金に困っている感じがしないのですが」

「理由を話せば私を買ってもらえるのでしょうか?」

「事と次第によります」



 少しばかり考えてからニーニャさんはさんは口を開いた。



「実はナーテなのですが冒険者だけではなく娼婦としても働いているのです」

「はい、実はそれはもう聞きました」

「そうですか……私とナーテは同じ孤児院で育ちました。王都の東の端にある施設では今でも5人ほどの孤児が生活しています。その孤児院には借金があるのです」

「孤児院が借金?」

「ええ、本来ならナーテや子供たちは奴隷として借金のために売られる予定だったのです」

「……」

「ですが、ドルフィロ伯爵が孤児院の借金の肩代わりをしてくれました」

「なら、大丈夫なのでは?」

「いえ、肩代わりには条件があります。それがナーテの娼館で働くこと、そして伯爵を優先して相手することだったのです」

「……え?」

「私もおかしいと思い調べました。借金は本当にドルフィロ伯爵が肩代わりをしてくれていました。ですが条件になぜナーテが娼婦として働く必要があるのかという点です。実はドルフィロ伯爵は宗教により一夫一妻制のため、愛人を作ることすら許されていないのです」

「それって、もしかしてだけど、ナーテさんに惚れたが愛人を作れない。そして、惚れた女を抱いくために借金の肩代わりをしたのか?」

「私が調べる限りではそれが一番妥当かと」

「そんな……それじゃあ、一生娼館で働くことになったということ……」

「いえ、借金返済が終わるまでになります。またナーテは女の私から見ても美人でプロポーションも申し分ないので作法などの訓練なしに高級娼婦なりました。特例なのですが給金が高くこのままでいくと5年ほどで返済は出来そうなのです」

「それでも5年か……」



 俺はニーニャさんと話をしていると頭の中でナーテさんの色んな顔が浮かんでくる。


 ナーテさんの笑顔にどれほどの意味があったのか俺には想像ができなかった。


 俺は……客としてでもナーテさんを抱いてお金を渡しべきだったのではないか?自分を大切にして欲しいなんて俺の勝手な女性の理想論を押し付けているだけだ。


 彼女は自分の体を売ってでも守るものがあるのだ。とても立派な志だ。


 それに、ニーニャさんもナーテさんの借金返済を手助けしようと俺に体を売るつもりなのだろう。相当の覚悟があって俺のところに来たはずだ。これは簡単に断りにくくなった。だが、他にも手がないものだろうか?



「もしかして、ニーニャさんはナーテさんの代わりにお金を稼いで借金返済を考えているのですか?」

「もちろんです。ナーテばかりに辛い思いをさせたくありません」

「そうだったんですね」

「今でもナーテは見ず知らずの男性に抱かれた後に泣いているんです。それを見るたびに私も辛くて……」

「……ッ」



 ここのまでの話で俺はタウバッハの宿でナーテさんの姿が全く別物に見えてきてしまった。それと同時に俺は自分のことしか考えていないとつくづく実感する。


 金のためだけに寄ってくる女に騙されまいと強がる自分がいる。別に悪いことではない。


 だが、騙され許せるだけの器を持っていないのだ。


 この際、乗り掛かった舟だし、女に騙されそれを許せるのも男の甲斐性だ。やってやろうじゃないか!



「あの、ニーニャさん」

「はい」

「ニーニャさんを買う話はお断りします」

「……そうですか」

「ですが、借金の肩代わりを俺にさせてくれませんか」

「え?どうしてですか?」

「俺に借金を簡単に返す考えがあるのです」

「そんなものあるわけ……」



 どうやらニーニャさんには信じれないといった様子だ。



「ニーニャさん、お願いがあります」

「どういったものですか?」

「フェニックスのクエストを俺にやらせてほしいのです」

「……ちょっと待ってください、あれはランク不明のクエストです。それに条件として20人以上のレイドパーティにて参加可能なのです」

「知っています。それに紙が少し古いので誰も手を付けていないことも」

「危険すぎます。死にに行くようなものですよ」

「まずは依頼主の錬金術師に会いたいのです。ですが勝手に個人的に話を進めていいものなのか分からなくて」

「それは構いません。ただ……このクエストは」

「俺なら大丈夫です。お願いします」

「……わかりました。依頼主ですがクーク村の村長スイデンさんが依頼主になります」



 ニーニャさんから思わぬ人物の名前が出てくる。ワイバーンを一撃で屠ることが出来る人がなぜ、依頼を出すのだ?フェニックスってそんなに強いのか?


 だが、知っている人間なら話は早い。すぐにでもクーク村へ行き話を聞いてみよう。



「では、すぐに行ってきます」

「やめてください。クレスさん」



 俺は善は急げと冒険者ギルドからクーク村へ行こうとしたのだが、ニーニャさんに止められる。



「輸送クエストのみでも十分にクレスさんは稼いでいますから、無理はしないでください」

「いえ、本当に大丈夫ですよ。依頼主も実は最近知り合って面識がありますので」

「そうなのですか……でも、本当にクレスさんが私達のせいで重荷になっていませんか?」

「大丈夫ですよ」



 ここで俺のレベルをばらしても信用できませんよね。


 

 だからこそ、ニーニャさんに引き留められようともすぐに出発をする予定だ。





 そして、俺が部屋を出ようとドアを開けると小刻みに震えるナーテさんがドアの前に立っていた。



「ふ、ふ、二人は……そういう関係だったのですね。私達……重荷……」

「あ、ナーテ。どうしましたか?」


 俺はナーテさんの境遇を知り今までのナーテさんへの偏見を謝罪すべく頭を下げる。


「ナーテさん、今まですみませんでした」

「そ、そ、そんな、謝られても……わ、わた、わたし!」



 ナーテさんはダッシュでその場から逃げていった。


 そうか。俺はナーテさんの泣きながらの全力疾走で感じた。


 知らず知らずのうちに娼婦として見てしまっている俺の価値観が表に出てナーテさんを傷つけていたんだな。本当に申し訳ないな。



「あ、そうだニーニャさん」

「はい?」

「借金の金額の詳細は聞きません。ただ、フェニックスのクエストの報酬依頼で足りますか?」

「足りるも何も多すぎです。金貨1000枚なんて普通はそんなクエスト発生しませんから!」

「なら安心です。それじゃあ、行ってきますね」

「いってらっしゃい」



 俺はニーニャさんに見送られ冒険者ギルドを出る。



 今夜は宿やラ・ルゥに泊まる予定だったが変更だ。すぐさま、クーク村へと急ぐ。

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