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レベル800万越えの35歳童貞と娼婦の恋  作者: アホになろう
1/16

魔王に余裕で勝つ

 俺は異世界ティターニアへ転移してきたのは一週間前だった。



 勇者召喚に巻き込まれた俺は現在、一人で魔王城の魔王の玉座がある部屋で魔王と対立している。



 目の前にいる巨乳でスタイル抜群の魔族の長でもある魔王シルヴァが息を切らせていた。



「ちくしょう、化け物め」

「おいおい、魔王に化け物呼ばわりされるのは心外だな」



 先ほどから魔王シルヴァは俺に魔法攻撃を浴びせてくれるのだが俺はすべて受け止めるもノーダメージ。


 攻撃魔法の威力がいまいちなので、威嚇挑発して魔王シルヴァのやる気を出させている。



「おい、魔王シルヴァ。てめぇ、その程度かよ、最大魔法でかかって来いよ。それとも何か?貴様はコスプレしただけの乳だけ姉ちゃんか?」

「ぜぇ……ぜぇ、き、きさまぁ我を愚弄したことを……後悔しろ」



 俺は訳があって魔王シルヴァを威嚇挑発していた。彼女もノリがいいので俺の挑発に乗ってくれる可愛い女の子だ。




「絶対にするさんぞ、大山慶太!」



 魔王シルヴァの魔力が渦を巻いて室内に充満する。魔力が高まるにつれて魔王城が激しく揺さぶられ壁や柱には亀裂が入りその魔力の威力を物語る。



「いくぞ!」

「さぁ、来やがれ。カワイ子ちゃん!」

「孤高のマナ、留めることなき嵐、荒ぶる咆哮!アトミックキャノン!」



 魔王シルヴァが放つ魔法を俺は全身で受け止める。アトミックキャノンの威力は合格点だ。ステータス画面を確認しながら攻撃を受ける。



 なぜ、ステータス画面を確認しているか?それは、被ダメージによるスキルのレベル上げを行っているからだ。



「いいね、いいね!」

「なにぃぃ、まだか、まだ持ち耐えるか!」



 魔王シルヴァは全身全霊で魔力をこの攻撃につぎ込んでいた。おかげで経験値が沢山入ってくるのでそろそろレベルアップしそうだ。



「魔王シルヴァ、おまえは最高だ!さぁ、もうひと踏ん張りだ」

「何が……何が、もうひと踏ん張りだ!このバカ野郎~」




(コングラチュレーション!アイギスシステム ノ レベル ガ 100 達成)



 よし来た!待ちに待ったこの瞬間……。俺はもう攻撃を受ける必要がないので指パッチンで魔王の魔法を掻き消す。



「サンキューな魔王シルヴァ」

「はぁはぁ、キ、キサマ……礼など言いよって、な、何がしたい!」



 俺は弱った魔王シルヴァが反応できないほどのスピードで近づけ凶器よりも危ない自分の拳を彼女の腹に軽く当てる。




「それよりさ、約束通り俺の勝ちでいいか?」

「ああ、我はもう指一本動かすことも出来ん。殺すなら殺せ」

「いや、あんたみたいな美人を殺すのも惜しいなって思ってさ」

「……ふん、笑止」



 糸の切れたように弱った魔王シルヴァはその場に座り込む。弱弱しい彼女は魔王というより美人のコスプレイヤーにしか見えない。



「まあ、種明かしというかアイギスって女神を知っているか?」

「当たり前だ、この世界を作った女神の一人だ」

「あ、そうなんだ」

「お主は知らぬのか?」

「うん、知らなかった」

「どうやってアイギスの名を知った?」

「直接話をしたからだけど……」

「直接?……ふ、ふ、ふふふ」



 あれ、急に笑い出したぞ、も、も、もしかして壊れたのか?あ、パンツ見えてる。黒か……眼福眼福!



「アハハ、まさか女神の眷属だったか、それもかなりの力を持っておる、ならば私では無理なのも頷ける」

「そうか、なら説明が要らないな」

「いる」

「……」

「どれほどの強さか知りたい。貴様のステータスはいくら覗き込んでも最弱レベルにしか思えん」

「んーやっぱりそうなのか」

「レベルはいくつだ?」

「えっと、レベルは確か88……」

「88じゃと?それでは、私の半分もないではないか?」

「ちょっと待って、正確な数字を忘れたから確認する。ステータスオープン」



---------------------------------------


ステータス

 名前:大山 慶太


 年齢:35歳


 Ⅼv:880.118


 種族:人間


 称号:女神アイギスの下僕


 魔法:なし


 技能:アイギスシステム Lv.100


 耐性:なし


---------------------------------------




「えっと、88万118だ」

「……は?」

「あれ、間違えたか?えっと、いち、じゅう、ひゃく、せん……うん、合ってるぞ。88万118レベルだ」

「……」

「どうした?」

「あ、あは……アハハ、愉快愉快、アハハ」



 魔王シルヴァは腹を抱えて涙を出して笑い始めた。俺のレベルがそんなに面白いのか?




「なるほど、お主には叶わぬな。私の負けだ。全軍でお前に挑んでもあっさりと負けていただろう」

「魔王軍か?俺はお前としか会ってないからな」

「そうか、本当に一直線に飛んできたか」

「ああ、早く元の世界へ帰りたいからな」

「なるほど、それで一足飛びに私のところへ来たのだな」

「だってさ、お前ほど強力な魔法攻撃を受けないとレベル100まで上がらないんだ」

「褒められているのか貶されているのかわからんな」

「褒めてるよ」



 いつの間にか、俺と魔王シルヴァは話こんでしまっていた。



「魔王様、大丈夫ですか!」



 そして、やっとのこと、魔王軍の重鎮らしき人物が駆けつけ始めた。正直他の奴らはどこへ行っていたのか気になっていた。



「おっと、来たか。まあ俺の勝ちだからもう侵略をやめろよ、シルヴァ」

「わかっておる。それよりも私のことを信じるのか?」

「アイギスに言われているんだ、止めてやってほしいとな」

「そうか」



ガキン!



 突如、俺の背後から無数の槍が飛んでくる。



「貴様、魔王様に何をした!」



 難なく交わすこともできたが魔王に当たりそうだったのですべて払い落した。



「なんだこのメガネ悪魔は?」

「俺は魔王軍の四天王サリスダリオだ」

「あ、そうか。会って早々悪いんだが、魔王シルヴァのこと後頼んだぞ」

「何を!」



 俺は魔王シルヴァと戦闘前に約束していたことがある。



「あと魔王シルヴァ、俺は王国に……いや、人間に魔王が敗北したこと侵略を中断したことを伝えることはしない。自分でするんだな」

「ふっ、手厳しな」

「頼んだぜ」

「お前ほどの男との約束だ、致し方無い」



 俺が勝てば魔王軍は全軍、魔界へ帰還するというものだ。もし、魔王が勝てば魔王に俺が従うと言っていた。



「未練としてはお前ほどの男が手に入らなかったことか」

「魔王様!」

「冗談だ」


 いや、四天王さんは冗談でも受け入れられないって感じだ。



「そうだ、いっそのこと、私のところへ婿に来ぬか?」

「だから、魔王様!」



 魔王よ、おっさんの俺を同行しようとは頭の打ちどころが悪かったのか?まあ、一時の気の迷いだろう。



「……お前は美人だが、遠慮しておくよ」

「そうか……振られたな」



 内心俺は少しだけ心が揺らいでしまったのは内緒にしておこう。だって童貞にこんな美人は刺激が強すぎる。ああ、ダメだな。男女の関係になるとどうも弱い。



「それじゃあ、俺は帰るわ。達者でな」

「もう……会えぬのか?」

「すまない!」

「そうか……」



 この時の魔王シルヴァの潤んだ瞳を俺は忘れないだろう。



-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

魔王シルヴァ視点


 我は魔王城の主だ。レベルも900を超えており初級魔法で人間など簡単に葬れる……と思っていたのだが、目の前にいる男は中肉中背という見た目に相反してすさまじい力を持っている。


「ちくしょう、化け物め」

「おいおい、魔王に化け物呼ばわりされるのは心外だな」



先ほどから魔法攻撃を行使しているのだがこいつには一切通用しないのだ。



「おい、魔王シルヴァ。てめぇ、その程度かよ、最大魔法でかかって来いよ。それとも何か?貴様はコスプレしただけの乳だけ姉ちゃんか?」

「ぜぇ……ぜぇ、き、きさまぁ我を愚弄したことを……後悔しろ」


 我は決して手を抜ているわけではない。



「絶対にするさんぞ、大山慶太!」



 必ずこの目の前の男を後悔させてやる。天使や女神に負けるならまだしも人間などに負けるわけにはいぬのだ。



「いくぞ!」

「さぁ、来やがれ。カワイ子ちゃん!」

「孤高のマナ、留めることなき嵐、荒ぶる咆哮!アトミックキャノン!」



 我が放つ魔法をヤツは全身で受け止める。アトミックキャノンの威力は正常だ。これなら勝てる!



「いいね、いいね!」

「なにぃぃ、まだか、まだ持ち耐えるか!」



 我は全身全霊で魔力をこの攻撃につぎ込んでいた。おかげでマナポイントが尽きそうで頭が痛い。



「魔王シルヴァ、おまえは最高だ!さぁ、もうひと踏ん張りだ」

「何が……何が、もうひと踏ん張りだ!このバカ野郎~」



 こいつの体はどうなっているのだ?それにしてもヤツの目的はなんだ?



「サンキューな魔王シルヴァ」

「はぁはぁ、キ、キサマ……礼など言いよって、な、何がしたい!」



 刹那の速さで我の懐に入ってくる。くっ早い……。本当にこいつは人間か?



「それよりさ、約束通り俺の勝ちでいいか?」

「ああ、私はもう魔力の一欠けらも残っておらん、殺すなら殺せ」

「いや、あんたみたいな美人を殺すのも惜しいなって思ってさ」

「……ふん、笑止」



 正直もう立つことすらままらない状態だ。そして、この男は我を女としてみているのか?魔王であるこの我を……



「まあ、種明かしというかアイギスって女神を知っているか?」

「当たり前だ、この世界を作った女神の一人だ」

「あ、そうなんだ」

「お主は知らぬのか?」

「うん、知らなかった」

「どうやってアイギスの名を知った?」

「直接話をしたからだけど……」

「直接?……ふ、ふ、ふふふ」



 なるほど、そういうことか。アイギスめ、お節介が過ぎるぞ。



「アハハ、まさか女神の眷属だったか、それもかなりの力を持っておる、ならば私では無理なのも頷ける」

「そうか、なら説明が要らないな」

「いる」

「……」

「どれほどの強さか知りたい。貴様のステータスはいくら覗き込んでも最弱レベルにしか思えん」

「んーやっぱりそうなのか」

「レベルはいくつだ?」

「えっと、レベルは確か88……」

「88じゃと?それでは、私の半分もないではないか?」

「ちょっと待って、正確な数字を忘れたから確認する。ステータスオープン」



 どうやらこいつのステータスは特殊なようだな。ただ、我がどう覗いても118ぐらいだ。しかし、奴の言っている88はまた少し変わってくるがどうなっているのだ?



「えっと、88万118だ」

「……は?」

「あれ、間違えたか?えっと、いち、じゅう、ひゃく、せん……うん、合ってるぞ。88万118レベルだ」

「……」

「どうした?」

「あ、あは……アハハ、愉快愉快、アハハ」



 なんとも滑稽な話だ。我は人間だと思い込んでいたがどうやら魔神皇帝に匹敵するような化け物と戦っていたのか。ただ、妙だなアイギスすら超えた力をどうやって手に入れたのじゃ?



「なるほど、お主には叶わぬな。私の負けだ。全軍でお前に挑んでもあっさりと負けていただろう」

「魔王軍か?俺はお前としか会ってないからな」

「そうか、本当に一直線に飛んできたか」

「ああ、早く元の世界へ帰りたいからな」

「なるほど、それで一足飛びに私のところへ来たのだな」

「だってさ、お前ほど強力な魔法攻撃を受けないとレベル100まで上がらないんだ」

「褒められているのか貶されているのかわからんな」

「褒めてるよ」



 もう、戦う気は失せた。それになぜだ。こうして話をしている自分がとても心地よい。



「魔王様、大丈夫ですか!」



 サリスダリオ……今来てくれたのはうれしいがすでに時遅しなのだ。すまぬな……



「おっと、来たか。まあ俺の勝ちだからもう侵略をやめろよ、シルヴァ」

「わかっておる。それよりも私のことを信じるのか?」

「アイギスに言われているんだ、止めてやってほしいとな」

「そうか」



ガキン!


 サリスダリオは我ともこの男を葬ろうとしたか。全力で攻撃をしておる……だが、良い判断だな。相手を見くびっていない。



 それにしてもこいつは先ほどまで敵対していたというのになぜ助けたりするなど。



「貴様、魔王様に何をした!」



 そのまま交わせば我を始末出来たろうに、ただ、なぜじゃ。胸が苦しいのは。


 サリスダリオとこいつは話をしてくれる。だが、サリスダリオと喋るこいつの横顔をみると我の顔が熱くなってきた。なぜだ?こいつの顔には何か特殊なものがあるか?何の変哲もない人間の顔ではないか。



「あと魔王シルヴァ、俺は王国に……いや、人間に魔王が敗北したこと侵略を中断したことを伝えることはしない。自分でするんだな」

「ふっ、手厳しな」

「頼んだぜ」

「お前ほどの男との約束だ、致し方無い」



 なるほど、あの約束のことか。魔神皇帝との約束のようなものだ、破るわけにもいくまい。だた、そんなことはどうでもよくなってきておる。頼む、もう少しだけ話をさせてくれ。



「未練としてはお前ほどの男が手に入らなかったことか」

「魔王様!」

「冗談だ」



 いや、冗談ではない本気だ。何か良い案はないか?こいつの傍に居れる方法はないものか……いや、あるぞ!つがいになればよい。



「そうだ、いっそのこと、私のところへ婿に来ぬか?」

「だから、魔王様!」



 サリスダリオは少しだけ黙っていてくれぬか。我はこいつの返事が欲しいのだ。



「……お前は美人だが、遠慮しておくよ」

「そうか……振られたな」



 交渉決裂か。難しいものだ、私利私欲によるものだから力でねじ伏せることが必要なのかもしれないが、なぜかそうしたくない。我は認められたいのか?いや、違うな。だが、はっきりと分からないのはもどかしいものだ。



「それじゃあ、俺は帰るわ。達者でな」

「もう……会えぬのか?」

「すまない!」

「そうか……」



 行ってしまったか……ん、涙?久しぶりだな、自分が涙を流すなど。それにしても、なぜこのタイミングで流れるのだ?

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