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その鎧、○○につき 1


 それは歴代最高と呼ばれる神の御業を使うと言われし、聖女がその寿命を削るほどの大規模な儀式を用いて聖別の祝福を与えられたもの。

 

 それは当代随一と言われしドワーフの鍛冶師が一族に伝わる秘術を用いて生み出した唯一無二なるもの。


 それは異端とも言われし天才の錬金術師が古き帝国に隠されし錬金術の知識を持って生み出されしもの。


 それは慈悲深きエルフの王族が世界に存在する精霊たちの愛を込め、世界の力をまとめる世界樹をもって祈りしもの。


 それらをすべて受け継いだのは英雄の鎧。如何なるものの攻撃も防ぎ、如何なる悪意ある魔術も掻き消し、精霊と聖女の祝福により輝く防護の力は攻撃を受けるたびに光の粒の如き輝きで受け流していく。


 その英雄は天の神より邪龍を討伐せよと天命を受けしもの。邪龍は世界のすべてを怨嗟で満たし、悲しみを糧に力を手にしていく。故に神は人族の英雄を天命を与え、すべての種族が協力せよと命じた。


 白銀に輝くその鎧は邪龍の下僕の爪を、牙を、炎を、魔法を、全て防いでいく。


 ついに下僕たちを倒していく英雄も邪龍と相対するときが来た。


 すべてを防ぐ白銀に輝いていたその鎧も精霊と聖女の祝福が幾千もの戦いで邪悪なるものの返り血を浴び、綻びていく。


 邪悪なるものの怨嗟そのものが憎しみであり呪詛。それを受け続けた鎧は祝福が弱まりつつあった。


 邪龍は世界のすべての怨嗟を持って呪詛へと変え、英雄にぶつけていく。


 英雄は世界の願いを持って呪詛を希望へと変え、立ち向かっていく。


 その戦いは大地を砕き、空を震わせ、海を割り、天地創造と同じ日数が掛かった。


 ついに英雄は邪龍の首に巨大な両手剣を持って切り落とした。


 その時、切り口より溢れ出た邪龍の血。激しく吹き出したそれは呪詛を濃縮したるもの。


 英雄のその呪詛を浴び、苦しんでいく。


 戦いは終わり、邪龍の脅威は去った。そして英雄は生き残った。


 後に英雄はその剣技を後世に伝えることに邁進した。再び邪龍が目覚めた時のためにと。


 邪龍の呪詛を受けた英雄は後世に剣技と鎧を残し、武人としては若くして引退し、老衰にて死す。


 「という伝説があるのが、聖遺物と認められし、この英雄、聖ゲルギウスの鎧です。精霊と聖女の祝福によって邪龍の呪詛にすら耐え、英雄を守った鎧で、祝福魔法、精霊魔法、錬金術、鍛造技術、すべてが英雄の時代より発展しているはずの現在の技術ですら今なお完全なる復元ができないというまさに聖遺物。王国軍近衛兵士がこの鎧のレプリカを身に纏い、王城前の国旗掲揚台にて日の出の国旗掲揚、国旗の立番警備、正午の立番交代式、そして日の入の国旗降下のときに閲兵していることでも有名です。聖ゲルギウスの死後、鎧は如何なるものも身につけることが出来ないことから英雄以外が身につけることを拒否するという祝福もあるのではないかとも言われております」


 そう、私は鎧だ。聖人と讃えられた英雄と共にあり、死ぬ寸前まで共にいた。死してもなお、祝福という概念により、朽ちることなく、錆びることなく、しかし祝福を受けた英雄本人以外に着る資格はなく、今はハクブツカンなる場所で英雄の物語を語る生き証人としてハクブツカンの案内人というものに英雄の伝説が語られるのを耳にしていく。


 そう、邪龍は討伐の後、目覚めることなく、英雄の剣技は嗜みや式典のための武芸となり、平和となった。


 むろん、国同士の諍いや部族ごとの争いはある。だが、それは太古の昔からあることで邪龍の脅威に比べれば児戯に等しい。


 血は流れ、死者もでるが、それは仕方なきこと。もはや英雄は生まれることなく、生まれる必要がない平和な時代だ。


 英雄の鎧としての私ももはや骨董品でしかない。役目は果たしたと言い切れるだろうか。


 それでもなお、失われない祝福により、輝きを持って世界の終わりか、私の身が朽ちるまで世界を静かに見ていこう。


 

試しに古い言い回しの感じの文章で書いてみた作品です。いわゆるファンタジー者の定番破壊不能属性持ちのレジェンド武装ですね。少々、表現が所々、古文体にはあっていないと評価されましたのでご意見聞かせていただけると幸いです

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