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ポッキー&プリッツの日SS

11月11日のポッキー&プリッツの日にツイッターに上げたSS。

後半におまけを追加。

「今、帝都で流行ってる遊びがあるんだけど、ユエちゃんやってみない?」


 細長いクラッカー(プリッツみたいなお菓子)を指揮棒みたいにして小さく振りながら代書屋さんはカウンターに座った。


「両端から食べてくんだけど……」

「あ、知ってます」


 ポッキーゲームだよね。


「いいですよ。やりましょう!」

「え? いいの? えーと、じゃあ、はい」


 言い出したくせに、ちょっと焦って辺りを見渡してからクラッカーを咥える。クロウが何を始めるのかと呆れて見ていた。


「いきますよー。せーのっ」


 カウンター越しに反対の端を咥える。

 代書屋さんの期待したような、罪悪感があるような複雑な瞳を見つめながら、私はクラッカーを軽く噛んで、くいと力を入れた。

 パキッと小気味いい音。

 代書屋さんの口元で折れたクラッカーをリスのようにポリポリと食べる。

 唖然とした彼の口からクラッカーがこぼれ落ちた。


「私の勝ち♪」

「え!? 今のは、反則でしょ?!」

「口も離してないし、私の方がいっぱい食べましたよ?」

「……え? ……ん?」

「勝ったから残りは貰いますね〜」


 混乱してる代書屋さんの手からお菓子の袋を取り上げ、にっこりと笑う。

 帰ったらカエルとやろうっと。


 ◇ ◆ ◇


―― おまけ ――


 夕食後、談話室にて代書屋さんから奪い取ったクラッカーをみんなにお裾分けした。


「帝都のお土産なんですってー。これでちょっとしたゲームが流行ってるらしいですよ?」

「これで? 何をするのかしら」


 リエルが小首を傾げたので、私は皆の顔を見渡す。

 見本を見せるなら、ビヒトさんがいいかな。

 代書屋さんの時みたいに折っちゃうつもりで声を掛ける。


「ふたりで端から食べていって、先に口を離した方が負けなんです。ビヒトさん、やってみません?」


 ビヒトさんはちょっと考えて、カエルをちらりと見てから頷いた。


「勝負ですね?」

「お遊びですよ」


 先に咥えてから差し出すと、ちょっと屈んで反対側を咥えてくれた。

 薄茶の瞳が近い。

 少しぽりぽりと齧って、さて折りましょうとクラッカーに力を加えたら、それをすいと逸らされた。

 あれ? と思って今度は反対へ力を加える。それも、絶妙な加減で持ち堪えられた。

 え? なんで? と焦っていたら、いつのまにかビヒトさんの顔が目の前だった。

 いたずらっぽく光る彼の目にどきりとして一瞬動けなくなる。


「ビヒトっ」


 カエルの声と共に目の前を彼の指が通り過ぎ、ぱきりとクラッカーは折れた。


「坊ちゃま、勝負に水を差すなんて、無粋ですよ」

「俺の負けでいいから、ここまでだ!」


 私とビヒトさんの勝負なのに、カエルが負けなの? と見当違いなことを考えている私を小脇に抱えて(!)カエルは部屋まで戻っていった。

 ぽいと投げ出す様に私を解放すると、憮然として詰め寄られる。


「ああ見えて、ビヒトは負けず嫌いだし挑まれると断らない。お前、ジョットともやったな?」


 折れた短いクラッカーをまぬけに咥えたまま、私はこくりと頷いた。


「ビヒトをジョットみたいにあしらえると思うな」


 あしらおうと思ったわけじゃないんだけど……

 折らせてくれないとは確かに思ってなかった。

 ちょっとだけ反省してこくこくと頷いたら、溜息を吐いてから咥えたままだったクラッカーを丁寧に舐めとられた。


「おいし? カエルとやろうと思ってたんだけど……置いてきちゃった」

「勝負にならないし、まだるっこしい」


 不機嫌なカエルのキスは、少し香ばしい味がした。

呟きは多くないですが、たまにこんなものや140字SSも書いてたり。

ながる@なろう @nagal_narou


調べてみたら折ったり、顔を背けた方も負け、とあったのでユエは負けてる訳ですが、初めにルール確認してないですし、押しきったもの勝ちですねw

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本編はこちら→蒼き月夜に来たる
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