光学兵器との融合
「さぁてじゃあ早速始めましょうか。まずここに仰向けになってね。」
すべての衣類を脱がされて少し緊張と恥ずかしさがあったが2人しかいないので我慢をしているキララだった。直ぐに横になり軽い拘束器具で体を固定する。その作業の中で捺姫が興味が湧いたのかキララにあれこれ質問する。
「この体はどうしたの?」
最初の質問からかなり重めだった。しかしキララは「わからない」と答えた。それだけでも十分だったのか次の質問に変わる。
「褌とはいつごろ知り合ったの?」
これはただの出会い話なのでキララも気持ちよく答える。
「私があの兵器から隠れるときに使った洞窟の中にあの人がいたんです。軍服みたいな服着てて銃も持ってました。他にも人らしい気配はしたんですけどみなさん死んでしまったみたいで、それでも死のうとは思わなかったそうです。」
「・・・・・」
「それから一緒にここまで逃げ込んできました。そのときからあの人は私のことを妹といって私の身分を隠してくれました。そこから私はあの人のことをお兄ちゃんと呼ぶようになったんです。」
ここまで捺姫が笑い顔を一切見せずにまじめに話を聞いていてくれたことを終わったあと知った。
「いい話だ。」
その一言で質問は終わった。
「じゃあ本番行くよ。まずあなたの核がどこにあるのか教えてほしいなぁ。」
キララは何の言葉も発しず指だけで指した場所はちょうど心臓と反対側。本人から見て右側の胸を指差した。
半分確信していた捺姫は「よし。すこし寝ててもらうね」といっただけ後は何も言わなかった。
そこから目が重くなり始めた。全身麻酔を投与したのだ。そのままキララは眠った。捺姫は眠ったことを確認してから本題の作業に入った。まず、右腕の表面から電極盤を貼っていく。それと同時進行でさっきの光学兵器『アルテミス』とその核を持ってきて同じく電極盤を貼る。最初は互いが入れ違いのようにバラバラな波だったが時間が経つにつれて同じ周波でお互いの核が共鳴するかの如く一緒になっていく。完全に周波が一致したことを確認してから光学兵器の核を『アルテミス』の中に入れる。
その後、2つを近づけさせキララの右手にアルテミスの取っ手を握らせる。反応は一瞬だった。麻酔を入れたはずのキララの体が。正確にはキララの右側、つまり機械側が勝手に動き出したのだ。
「コード確認。ID『∑477』。固有名称『ファング』。データ参照。個体名称『キララ』。照合確認。適正確認。適正数値90%。エネルギー残量50%。データ上書き。固有名称を『アルテミス』に変更。身体への影響無し。データ更新完了。セーフティモード開始。データオフ。シャットダウン。」
なにもなかったかのように機械の動作が停止して、静かになった。これでいいのかどうか少し迷ったが多分大丈夫だろう。また動くのではないかとドキドキしながらキララに毛布をかける。
「まずは第一段階は終わりかな。」
寝ているキララしかいない病室の中で独り言とともに溜め息を入れる。
さすがに右側だけが動いたので驚きはした。捺姫はそのまま病室を出て行った。