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小さな選択肢
『アルテミス』を台車に乗せ終わって訓練場の入り口で待っていたキララはお腹に両手を当てていた。少し離れたところでグゥーという音が聞こえた。お腹がすいているキララからだった。
「遅いよ~。早く行こうよ。」
小走りで歩み寄ってきて俺の袖をつかむ。
「わかったよ。」
後ろからついてきた捺姫に視線を向ける。
「何よ。別にこっちを見ても何も出ないわよ。」
ハァとため息を漏らしながら答える。
「別に今日はやることないんだろ。だったら一緒に飯でもどうかと思ったんだが。」
キララに引っ張られながらそう答える。今にでも敵の軍勢が攻めてくることもない。かといって研究室を離れるわけにもいかない。複雑な思いから導き出した答えは当たり前だった。
「私はまだ研究したいことがあるから遠慮しとく。」
キララはそんなことお構いなしに袖を引っ張りまくる。エレベーターに乗り途中で捺姫が『アルテミス』の台車と一緒に降りて行った。そのまま乗り地上まで上がってきた。