俺たちの時代
「みつ・・・・褌ってば・・・おきろ・・・」
耳元でなにやら大きい声が聞こえる。俺は重いまぶたを持ち上げ声のするほうに顔を向けた。目が向いた先に声の主がいた。簡素な診察用の服を着ているキララだった。
「キララ、おはよう。もう体のほうは大丈夫なのか。」
まだ目がぼやけているようで目をこすりながら言った。
「もう平気だけど、右側がすごく軽く感じるんだ。」
右腕をぐるぐる回しながらアピールする。
「それはなによりだ」軽々と鋼鉄をまわしているキララを見てから右腕に見入った。
昨日よりかなんだかほのかに赤く光ってる感じがする。これが核との融合なのか。
ガチャっと扉が外から開いた。
「おはようお二人さん。よく眠れたかい。」
陽気に扉を開けて入ってきたのは陽気な捺姫だった。
「で、なんでそんなに陽気なんだよ。」
あきれたように立ち上がり腰に手をあてながら言った。
「そりゃまぁ。妹ちゃんが核との融合に成功したからよ。」
そういってキララに思いっきり抱きついた。
「ぶっ!!」抱きつかれた勢いで少し吐きそうになっているが我慢している。
「もう可愛いんだから。」さらに強く抱きしめる。
「ちょっと待て人の妹を窒息死させるなよ。」
あわてて止めに入ったので死ぬことは無かったが呼吸が危なかった。
「他になんか言いに来たんだろ。」話の流れを戻そうと問いかける。
「今からちょっと訓練場に行くよ。試し打ちしないとね。」
そういうとキララが寝ていたベッドの横にある『アルテミス』にみんなの目が集まる。褌の手が強く握られる。それはキララの手だった。怖くないと言えば嘘になる。だがここでやらなければ誰がやるのか。
「私やるよ。お兄ちゃんと一緒に暮らすんだもん。」
さらに褌の手を強く握り締める。しかしそこにあるのは恐怖ではなく執念だとおれは思う。
「じゃあ早速行きますか。」
そういうと『アルテミス』が乗っている台車を重そうに押して部屋を出て行く。
「本当にいいのか。今ならまだ・・・」
妹の手を握りなおし心配そうに呟くが
「本当に大丈夫。未来は私が作るんだもん。」
不安を一気に払いのけるように強くたくましい声で返事を返す。
「・・・」褌は何も言わずそのまま手を握ったまま部屋を後にする。もう後戻りは出来ない。これからは俺たちの時代だ。
久しぶりの投稿。遅くなってごめんなさい。次回は1週間ごくらいに投稿しようと思います。
次話あたりから武器を使う戦闘を書いていくので最後までよろしくお願いします。