真実は無言
「明日楽しみね。」
「…。」
カナエは私の一番の友だちです。
一番の友だちは、あと二人もいますけれど。
三人とも真っ直ぐで温かく、努力を惜しまない、とても素晴らしい親友たちです。
そんなカナエは私の問いかけに対して首をゆっくり横に振りました。
私は驚いた。
カナエなら、縦に振るだろうと思っていたからです。
「行けない。」
「え!なんで?!」
「…行けないんだ。」
「ふえ~…じゃあ明日は私一人であの二人のお守りかぁ…。」
「お守り…。」
「だってお守りじゃない!」
「…まあ、…そうか。」
「ハーディーンがもう少~しナサエルに厳しかったら、お守りなんて言わないんだけどね。」
明日は私たちの住む国の大きなお祭りが行われます。
大陸中で普段私たちをお守り下さっている神様のご生誕を祝うのです。
その神様とご一緒に王様が毎年都市を回られますが、そう、今年は私たちの国にみえられるんだって街はどこに行っても大賑わい!
私たちの話題も、それで持ちきりです。
カナエは王様が大好き。
もちろん私たちも好きだけれど、カナエはもっともっと好き。
崇拝しているのです。
それなのに、なぜでしょうか?
「そうだな」なんて、今は優しく微笑んでいるけれど、
さっきは本当に消えてしまいそうな表情をしていた。
「マリー…ごめん。」
「え?なんで謝るの?」
「…。」
「いいって!とっことんナサエルに振り回されてやろうじゃないの。
さ~あ、気合い入れるわよ!明日はこんな黒服着なくていいし、目一杯おしゃれしちゃうんだから!」
「…マリー、ありがとう。ハーディーンとナサエルにも伝えておいて。」
私は得意のウインクで返事をした。
カナエも、伏し目がちに微笑む。
次の日。
真っ青な空にやや乾いた空気。
文句のつけようがない快晴です。
…カナエには、絶対に触れてはいけない部分がある。
私は彼が守っているその領域を、決して侵しません。
例え真実が見えていても。
ああ神様。
あなたがお生まれになったこのすばらしい日に、私の願いを聞いてくださいませんか。
彼にとって私たちが、本当に一番の友だちになれますように。
私たちは待っています。
いつか彼の心に触れられることを。
20080519




