ホワイト・ルシアン
「キースってさ」
「はい。」
「…よくいなくなるんだよね。」
「は…はあ、そうなんですか…?」
ルマティーグは緑が豊かな大陸。
都国・ルシウスとはいっても、首都・オークから一歩外に出ればたちまち緑に囲まれる。
オークの隣国、マイトでは鳥のさえずりが閑静な林に響き、風に踊る花畑が視界いっぱいに広がっていた。
「うん。それで、空ばっかり見てるんだよ。」
「空?」
「そう。俺の苦労も知らないでね。」
「え!?」
「毎っ回毎回…変なところでッボ~っと…」
「あ…の…」
「何時間も何時間も、迷惑だって言うのに」
「て…ティル…さ…」
「あー、ホンット!俺の話は全然聞いてくれてねぇのな!」
「うう…キースさんどこですか…!ティルさんが…。」
「どこ行ったんだよ!あのバカは!!キース!!」
不規則に並ぶ木々。
手入れはされていないようだが、大樹の陰に位置する木は細く、ある程度の感覚が空いていた。
その合間を埋め尽くすように生えた草花をかき分けていく。
そんなティルとセイリアの丁度真上に枝を広げる大樹の上。
ずっと高い位置でも太めの枝が伸びている。
…そこにキースはいた。
距離があるだけではなく、キース自身も集中しているようで、真下の喧噪に気づくことはないようだ。
地上だけではない。
日の当たる位置では木々も花を咲かせているらしい。
花びらがまるで雪のように舞っていた。
時々キースの頬も撫でていく。
それからしばらくしても、ただ一人延々と空を見上げていた。
20080322




