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ナディアの羊
「ママー…」
「ん…、…どうしたの、ナディア。」
「…んー…。」
「…いらっしゃい。」
「うう…ママぁ…」
ナディアはこうしてよく夜中にやってくる。
戸を叩き、返事をしていなくても入ってきて泣いたような声で呼ぶのだ。
扉の前で立ち尽くす彼女に問いかけても特には何も言わず、とにかく甘えたいのか、呼べばすぐに寄ってくる。
アンナは浅く薄いベッドから出ることはなく、寄ってきたナディアの頭を撫でた。
…目の下が赤い。
普段はこれでもかというくらい笑顔で明るいナディアだったが、今は少しの笑みさえない。
「一緒に羊を数えましょうか。」
この言葉を聞くとナディアは無言で頷いてアンナの肩に顔を伏せる。
アンナはそっと背中を撫でると、昼間より小さくなった身体を抱き上げて布団に招き入れた。
20080317




