表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/147

サイドA 第1話 『リトル・モーニング』 Part1 今井かなえの場合

第2章表のストーリー、第1話のはじめは一人の少女についてです。


サイドA 第1話 『リトル・モーニング』 Part1 今井かなえの場合

スタートです。

本作品『特攻装警グラウザー』の著作権は美風慶伍にあります。著作者本人以外による転載の全てを禁じます

這部作品“特攻装警グラウザー”的版權在『美風慶伍』。我們禁止除作者本人之外的所有重印

The copyright of this work "Tokkou Soukei Growser" is in Misaze Keigo. We prohibit all reprints other than the author himself / herself

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 東京の品川と大崎と五反田とに挟まれたエリアは、古くは明治初期に外国大使館が建てられたり、日本を代表する家電・AV機器メーカーの本社があったりと、なかなかに個性的な歴史が刻まれたエリアである。近隣に品川や大崎や五反田、あるいは高輪と言った有名エリアが近いこともあり都心でありながらも新興の住宅や高層マンションが立ち並び、住人の姿が絶えると言うことは無かった。

 そして、その大崎駅と品川駅よりも南の山手線より内側のエリアの高台には、昔からの高級住宅街と新興の市街地とが入り混じった御殿山と呼ばれる街区がある。

 都道317号線を境として、まず南側が、一戸建ての多い住宅街で古い町並みの中に美術館や個性的なショップや小規模な国々の大使館が立ち並ぶ個性的なエリアだ。それに対して都道315号線の北側が高級マンションやデザイナーハウスが立ち並ぶエリアである。

 その御殿山の北側エリアに、地上11階建ての新興マンション『御殿山スカイパレスハイツ』がある。建てられてから3年ほどのマンションで最新鋭のネット対応ホームオートメーションが最大の売りであった。

 

 建築業者いわく――

 

『たとえお子様を一人で留守番させていても、高度なAIを完備したホームオートメーションが、メイド付きの屋敷のように完璧にお子様をお世話いたします』


――と高度な安全性とより人間的なインタフェースを最大の売りとしていたのだ。


 くわえて警備会社との連携も行われていており、比較的裕福な若い夫婦やシングルマザーが好んで購入し入居することが多かった。そして、そこには『品川駅から比較的近い』と言う理由でそこへの入居を決めた人物が居た。品川駅付近、第1方面所属の涙路署に勤務する捜査課課長の今井槙子である。

 今井には娘が居る。大学生の頃に独り身で産んだ娘である。その後、警察職員として勤務する傍ら、娘を実家に預けてのシングルマザーとしての二重生活を長い間続けていた過去がある。警察の社宅生活を抜けて中古マンションながら個人所有の家を持てたのが2年前、そこで初めて娘を引き取り親子水入らずの暮らしを始めることができたのだ。

 今井課長のシングルマザーとしての事情を知る者は声を潜めてこう言う。

 

『今井さんが本庁勤務に戻れないのは、娘さんについての事情が絡んでいる』


 今井はキャリアだが、やはり未婚で出産したと言う事情がマイナスとなり、出世レースからは早々に落とされてしまったのだ。だが、それが彼女個人の人物評にマイナスとなることは無かった。

 

『子持ちの女性らしい、細やかな配慮の出来る優秀な上司』


 今井を知る者は口をそろえてこう言う。事実、彼女が管理監督する涙路署の捜査課は、若手の躍進と活躍が目覚ましいとの評価を受けている。体育会系的な発想で抑えこむのではなく、個人の才覚と伸びしろを重視する教育方針が時代の人材にマッチしていたのだ。そして、その実績は思わぬところで評価された。

 おりしも、特攻装警の最新鋭機である第7号機グラウザーの成長遅延が問題となっていた。第2科警研内部でのシミュレーショントレーニングだけでは解決できないと意見が出る中で、精神発達面で未熟だったグラウザーを捜査現場に研修員名目で実戦配備し刺激を与え、ショック療法的に成長を促すと言うプランが浮上してきたのだ。

 議論とシミュレーションが重ねられ最終的にグラウザーを預かる責任者として3名ほど候補にあげられる。そして、まるで子供のような状態の未成長のグラウザーと実際に面談が行われて、問題なくグラウザーを指導し行動をコントロールできたのが今井だったのである。

 当時、グラウザーと面談を終えた今井はこう言ったという。

 

「職場に子供がひとり増えるようなものでしょ? 問題無いわ」


 そして、グラウザーを管理監督するパートナーとして朝刑事をあてがうと、文字通り、子供に仕事を教えるような雰囲気で、失敗とつまづきを何度も重ねながら着実にグラウザーの成長をものにしてきたのだ。

 それから後に、グラウザーは有明事件で劇的な成長を果たし、ディンキー一味の撃破と捕獲と言う大成功を収めることとなる。今井は、その実績を評価されて本庁への帰還を内々に打診されたという。だが、今井はこう答えた。

 

「大きな子供がやっとオムツが取れたところです。これから彼を大人になるまで見守らないといけません」


 この言葉に、彼女のグラウザー育成への覚悟を感じ取った上層部は、今井の意思を尊重したと言われている。今井の行動の原点にあるもの――それは『母親』と言う明確なヴィジョンであるのだ。

 

 

 @     @     @

 

 

 その日、今井は朝早くから出勤していた。

 課長職であると同時に機動捜査係の係長を兼任していると言うこともあり、重要な案件があるときは日が昇る前から署に到着していなければならない事も珍しくない。また、彼女が統括している捜査課は、広域管轄署の捜査課であるため、取り扱う事件の規模や難易度が一般の所轄に比べて段違いである。そのため彼女の毎日は多忙を極めることとなる。

 その日も複数の案件を抱えており、本庁と合同の捜査会議を控えていることもあって、娘の顔を見る前に家を出なければならなかったのだ。

 いつもの事とは言え、愛娘に寂しい思いをさせている現実にどうしても心が痛む。だが、それと同時に自分で選んだ道である。両肩にのしかかってくる責任と役割をしっかりとこなす覚悟はとうの昔にできていた。

 出立前、娘の朝の支度と朝食を準備すると、自宅のホームオートメーションのAIと対話して、職場の個人用PCとの連絡回線を準備する。

 

「着替えよし、ランドセルよし、学校との連絡物よし、朝食よし――っとこれでOKね」


 そして、自分の出発準備を終えると、自室で寝息を立てている娘の顔をそっと垣間見る。

 

「それじゃ行ってくるね」


 直接に挨拶を交わすことは週に何回あるだろうか? その代わりに数少ない非番の時には娘を学校を休ませてでも二人だけの時間を持つことにしている。そして、そんな多忙な親子関係の間を取り持ってくれるのはこの家の有能なホームオートメーションシステム『マリー』である。

 

「マリー、あとは頼んだわよ」

「了解いたしました。オーナー。オーダー通り、かなえちゃんご起床のあとに職場とのネット回線を接続・コール致します。それ以外はいつも通りでよろしいでしょうか?」

「えぇ。それでけっこうよ」

「かしこまりました。では、行ってらっしゃいませ」


 このマンションのホームオートメーションシステムは音声対応である。煩雑な作業や指示も、居住者との会話から意図を適切に理解することが可能だ。無論、子供が相手でも優れた判断をする事が出来る。娘を一人で在宅させることが多い今井にはこれほどありがたい物はなかったのだ。

 マンションの自宅を出て、地下駐車場から車を走らせる。そして彼女は一路、自らの職場である涙路署へと向かう。今日もまた、彼女の多忙な日々が始まるのである。

 


 @     @     @


 

 今井槙子が出立したのは午前5時半ごろだ。その後、今井の娘である〝かなえ〟が目を覚ましたのは6時半ごろになる。その今井母子が暮らしている家を管理しているホームオートメーションの〝マリー〟は非常に有能なメイドのような存在だった。姿こそ見えないが、母である槙子と娘のかなえの仲を巧みに取り持ち、二人の親子関係を充実させる一助となっていたのである。

 

 その日もかなえを目覚めさせるのはマリーの役目だった。

 まだうす寒い3月初めの早朝の家の中を、快適な室温へと上昇させる。

 

【室内空調管理、室温、22度へ】


 そして、かなえの部屋のカーテンを開け、覚醒を促すメンタル音楽を流す。鳥のさえずりをベースとしたアルファ波ミュージックだ。

 

【起床音楽スタート、お嬢様、コンディションモニタリング開始】


 音楽を流し室温を管理しながら、かなえの体調をチェックしていく。〝顔色〟〝汗〟〝体温〟〝咳〟――、子供の体調は変わりやすい。前日に元気でも夜のうちに容体が代わることは珍しくない。今井親子がこの家に住み始めてから、マリーはかなえの急病をすでに何回も見つけている。そのたびに適切な処置がほどこされるので、症状が軽いうちに回復へと向かわせることができた。それ故に槙子も安心して娘の様子を見守ることができるのである。

 

【かなえお嬢様、コンディション異常なし】


 その日も異変がないことを確かめると次の手順へと映る。マリーはかなえに声をかけた。

 

「お嬢様、朝ですよ」


 かなえの自室にあるモニタリングシステムから声をかける。一度目の声掛けで起きないことはいつものことだ。覚醒音楽のボリュームを少し大きめに上げる。そして、体温が僅かに上昇しているのを確かめながらベッドの上半身側をゆっくりと起こしていく。

 

「ん――」


 ベッドを少し起こされた事が刺激になったのか、かなえは一度寝返りを打ちながら声を出している。反応を確かめながら、マリーは再度声をかけた。

 

「かなえお嬢様、ご起床の時間ですよ。起きてください」


 だが、かなえもなれたものだ。ブランケットを引っ張り上げ潜ろうとしながら訴える。

 

「あと、5分――」

「だめですよ。起きてください」

「やだ」


 マリーの訴えを拒否してベッドの下半分へとさらに潜っていく。今日はいつになく抵抗が激しい。

 

「起きていただけないのでしたら、強硬手段を採ります」


 マリーは宣言すると空調をコントロールする。

 

【エアコン冷房作動開始、強風、温度18度】


 途端に部屋の中が真冬並みに冷え始まる。

 

「お嬢様、最後通告です。起きてください」


 語り口は優しかったが、手段は強引だった。それも当然、寝起きの悪いかなえに対する対処法を決定しているのは母親の槙子なのだ。マリーからのレポートを見てどの程度までならやっていいのかはとうの昔に指定済みなのだ。

 初めは毛布の中でこらえていたが、それもムダな抵抗である。

 

「きゃー! わかったー! 起きる! 起きるからエアコンストップ!」

「本当に起床なさいますか?」


 以前にも起きると言って出てこなかったことあるのだろう。マリーもなかなかに意地悪だ。

 

「起きる! 起きるってば! ちょっとたんまー! かぜひくー!」

「了解しました。冷房を停止し、室温を回復します」

「もう! だんだんやり方が過激になる!」

「お嬢様が素直に起きてくださればいいのです」

「そりゃそうだけど……」


 かなえはブツクサと文句を言いながらも、室温が回復し始めたのを確かめてベッドから這い出してきた。そして、眠い目をこすりながら告げる。

 

「おはよう、マリー」

「おはようございますお嬢様。ただいまお着替えをご用意いたします、少々お待ちを」

「あ、先にトイレに入る」

「了解です。ではその間にご用意いたします」

「うん、お願いー」


 かなえは女児用のピンクのネグリジェのままベッドから降りると自室から出て行く。それと入れ替わりに彼女の部屋に入ってきたのは、小型のワゴン型の宅内用のセグメントロボットだ。大きさは高さが80センチ程、長さが60センチ、幅が40センチほどだ。内部の上半分が荷物運搬用のカーゴスペースで、機体の左右に合計4本のマニピュレーターアームがある。機体上面には視聴覚カメラが2機備わっていて、それが愛嬌のある顔の役目をしている。

 ワゴン型のセグメントロボットはホームオートメーションシステムと連動しながら宅内を動きまわり、文字通りマリーの手足となって実作業を行う役目を担っている。機体の隅っこに花柄のパステルタッチのシールが何枚も貼られているのはかなえの仕業である。

 セグメントロボットはかなえの自室内を動き回るとクローゼットや引き出しから、かなえの着替えを一通り準備し始める。コーディネートに関してもこれも槙子が指定した基準に基づきマリーが判断したものである。

 一通り準備できると、セグメントロボットは上面の蓋を開けて中のカーゴスペースにそれらを仕舞っていく。そして、トイレの前に移動して中のかなえへと告げる。

 

「お嬢様、お着替えがご用意できました。一階のリビングでお待ちしております」


 だが、マリーはこの間にもかなえのコンディションのチェックを行っている。トイレでの排泄行為のモニタリングをする事でそこから病気の予兆を読み取ることが出来るためだ。特にかなえには軽いアレルギーがあり毎日のコンディションチェックは欠かせない。かなえを一人にしておいても大丈夫だと判断したのはこのマンションに装備されているホームオートメーションの優秀さがあればこそである。

 

【排泄物チェックOK、形態、色、臭気、潜血、その他、異変なし】


 異常が無いことをチェックしていればトイレの中から声がする。


「わかったー」

「それではお先に失礼いたします」


 そもそも、このマンションは一つ一つのコパートメントが2階建て仕様になっている。1階がリビング/キッチン/バスルーム/洗面があり、2階が今井親子のそれぞれの寝室が二部屋にゲストルームが一つある。

 マリーはかなえの返事をたしかめると、セグメントロボットを小型エレベーターへと誘導する。そして、先回りセグメントロボットを1階フロアへと移動させた。着替えを準備し終えれば次は朝食、そして学校の準備だ。

 やることは沢山ある。AIであるマリーは特攻装警たちほどの高い自我やメンタルを持っているとは言いがたいが、それでも自分なりの価値観や自我を持ち合わせていた。そして、家主である槙子から託されている一人の少女の世話をすることに、マリーがやりがいを感じている可能性は誰にも否定出来ないのだ。そんなマリーはかなえにとって、もう一人の家族なのである。

 

 そして、トイレを終えたかなえは階下へと降りていく。広いリビングのキッチンの近くにはテーブルセットがあり、テレビセットと向かい合うように、二人がけのソファーが設置してある。そのソファーの上には、今日の着替えが丁寧に並べられている。マリーが準備したのだ。

 

「お着替えが用意出来ています。お着替えなさっている間に朝食をご用意しますね。お飲み物はなにかリクエストはございますか?」

「あ、コーヒー牛乳がいい」

「承知しました」

「おねがいね」


 言葉をかわしてかなえが移動すると、マリーは朝食を作り始めた。定番のトーストとスクランブルエッグをメインにした物だ。その調理の音を耳にしながらかなえは洗面所へと向かった。洗顔、歯ブラシと身だしなみを整えていく。そして髪の毛の手入れへと映る。かなえは髪が長いのだが、それをいつもポニーテールに纏めている。洗面台の片隅にはお気に入りのシュシュがいくつかしまってあり、ブラシで髪を整えると手慣れた手つきでポニーテールに仕上げていく。

 そして身だしなみを整え終えるとリビングへともどりソファーへと向かって着替えを始めた。

 丸首の長袖シャツにジーンズ地のオーバーオール。それにピンク系の柄物のソックスを合わせてある。かなえはそれを誰の手も借りずに自ら着替えている。それは母親たる槙子の方針であり、全てをホームオートメーションに任せるのではなく、かなえ自身の手で出来ることは自らやらせようとしている為である。かなえが自らの身だしなみを全て整え終える頃にはマリーは朝食を一通り作り終えていたのだ。

 

「お嬢様、できましたよ」

「うん、今行くー」


 明るい弾むようなやり取りの中で、かなえはテーブルへと向かった。


 そして、リビングの上には食事の用意がしてあった。トーストとハムエッグ、サラダに、それとオーダー通りのコーヒー牛乳とスタンダードなメニューが並んでいる。

 決められた席に腰をおちつけかなえは朝食を始める。


「いただきまーす」


 まずはトーストに手を出す。バターもマーガリンもつけない主義でプレーンなままのトーストが彼女のお気に入りだ。そして、トーストを噛りながらマリーに問いかける。


「マリー、テレビ!」

「はい」


 マリーはかなえに求められてリビングの大型の液晶テレビを作動させた。すると、たまたま放送中のCMが画面に流れだしてくる。


『ハイパー・イリュージョン ジャスト カミングナウ! 多彩なアンドロイドたちが織り成す驚異のハイテクファンタジーワールド! 横浜、MM21特設ドームにて、来週よりプレイベントスタート!』


 そこに映しだされたのは世界的にも珍しいアンドロイドにより全てのパフォーマンスが行われるサーカスチームの公演予告のCMであった。

 

「ねぇ、これなに?」


 かなえは思わずマリーに問いかけていた。

 

「〝プレヤデス・クラスターズ〟と言って世界的に有名な全メンバーがロボットやアンドロイドで構成されたサーカスパフォーマンスチームです。世界中をサーキットしておりまして、日本には初上陸とあります」

「全メンバー――って全部アンドロイドなの?」

「そのようです」

「へぇ――」


 かなえは少なからず驚いていた。この時代、ロボットやアンドロイドの普及が進んで芸能ジャンルでの活躍も珍しくはない。だが、全てがアンドロイドなどの人工物で構成されたパフォーマンスチームとなれば早々あるものではないのだ。

 

「ね、これもっと調べられない?」

「了解しました。ご帰宅までにデータ収集しておきます。チケット関連もお調べしておきますね」

「うん、お願いね」

「かしこまりました」


 マリーはいつも気配りが行き届いている。先走りすぎずに、それでいてこちらが望むことの一歩先を動いてくれる。それ故に母親が不在の時が多くても、不便や寂しさを感じたことは殆ど無かった。かなえにとってマリーは家族の一員のようなものであるのだ。


「あ、そうだ。マリー」

「なんでしょうか?」

「昨日の学校からの話、ママに言ってくれた?」

「はい、お伝えしました。特別招待のお知らせの件ですね?」

「うん」

「お母様からその事でお話したいことがあるそうです」

「お話?」

「はい、そのためにホットラインをご用意しております。少々お待ちください」

「え? なんだろ?」


 かなえがつぶやく間に、マリーは槙子のもとへとテレビ電話回線を繋いでいく。

 

【発信元、今井家本宅            】

【発信先、今井槙子モバイル端末       】

【発信プロトコルスタート          】

【接続完了                 】


 接続の手順は素早く行われた。そして、リビングの端に設置されている大型の液晶テレビが対面式のテレビ電話装置として機能を始めた。画面の右上に――

 

【デジタル回線、映像・音声通話中      】


――と表記されている。

 そして、画面の向こう側に現れたのは、小型のタブレット端末のカメラ越しに微笑む母・槙子の顔である。背景は涙路署の捜査課オフィスではなく、同フロア内にあるレストルームだ。そこにある丸テーブルの上にタブレット端末を斜めに立てて設置して、簡易的なテレビ電話端末として使っているのだ。

 

「ママ!?」

「おはよう、かなえ。だいたい時間通りね。きちんと起きれたみたいね」

「うん、マリーが丁寧――と言うか遠慮しないというか、しっかり起こしてくれるから。なんか起こし方がだんだん手荒くなってくるけどね」


 苦笑いで答えるかなえに、槙子は笑いかける。

 

「とうぜんでしょ? かなえったら最近夜がかなり遅くなってるし。朝はなかなか起きないでぐずるでしょ? ちょっと乱暴にしてもいいってマリーに言っといたのよ。だいたい昨日は何時まで起きてたの?」

「あーえっとね。午前二時――」


 さすがに子供の身の上で起きていい時間ではなかった。話しづらそうにしている娘に槙子は笑いながら注意する。


「ちょっと遅すぎよ? 何してたのそんな時間まで?」

「いつものだよ。ホビーロボットのコンテストマシンのプログラム造り。このあいだ話した春の地方大会だよ」

「あの、ゴールデン・ウィークにやるトーナメントでしょ?」

「うん。ミニマムクラスのバトル部門、去年は準優勝だったから今度こそ優勝したいし」

「優勝出来たら全国大会ね」

「うん。いつもソフトウェアが詰めが甘くて負けるから今年こそはしっかりとやりたいし」

「頑張ってね。でも、無理のしすぎはダメよ? 学校で寝てたりしてたら本末転倒だから」

「わかってる。学校ではちゃんとやってるから安心して」


 娘を励ましつつも体を案じる母親の言葉に、かなえは静かに微笑みながら母を心配をさせないように丁寧に答えを返していた。そのかなえの趣味は意外にもホビーロボットづくりである。バトルからレース、果てはダンスパフォーマンスなど多種多様な小型ロボットを手がけており、多彩なロボットを作っては様々なコンテストに出場している。大人に混じっての意外な活躍に天才少女と噂する人も居るが、本人はただひたすら純粋に〝好きだから〟こそ打ち込んでいるだけであり、周囲になんと言われようとも一向に気にしていなかった。

 そもそも、かなえのロボット趣味は一人遊びから始まったもので、その事を思えば槙子は心苦しい物がある。だが今では、それが娘が外の世界に積極的に出て行くきっかけになっているのは思わぬ収穫であった。


「それより、お話って何?」


 かなえは話題を切り替えた。それに朝の登校前だ。時間的な余裕はあまり無い。

 

「そのことだけど、あなた学校から通知来ていたでしょ?」

「うん、こんど開通するリニア鉄道の試乗会の特別招待の話。マリーにママに話してくれるように言っておいたよ」

「うん、昨日聞いたわ。でもママのところにも一週間くらい前に学校から父兄あてに連絡が来ていたのよ。選ばれる可能性があるから参加可能かお返事くださいって」

「え? そうなの?」


 かなえにして見れば、とっておきの秘密だったが先回りに情報が流れていたことを知って少々拍子抜けだった。だが、かなえが驚くのはその先である。

 

「だからママも、なんとか都合つけられないか色々と聞いてみたのよ。そうしたらなんとかなりそうなの」

「ほんと?!!」

「本当よ。本庁の偉い人がいろいろと助けてくれて、その日に特別招待のある横浜に行けることになったの。その日、一日はずっと一緒よ」

「ウソじゃないよね?」

「ウソのはずないでしょ? こんな大切なことなのに」

「やった!」

 

 かなえは思わず両手を叩きながら小声で喜んだ。

 

「よかったー、ママいつも忙しいから多分ダメだと思ってた」

「そうね。いつもかなえの事を残念がらせてたから今度だけは絶対に連れて行ってあげたかったのよ

「でも、ほんとに大丈夫? ママ、無理してない?」

「無理はしてないわよ。でも、いろんな人の手助けが無かったらちょっと難しかったかもね」

「じゃ、その偉い人にありがとうだね!」

「ふふ、そうね」


 かなえも十分に分かっていた。母の仕事はとにかく多忙であり休みも一般の人とは全く異なっている。学校行事に顔を出すことは稀であり、大抵は母の実家の祖母や祖父が代わりに顔を出してくれるのが常であった。ありえないと思って端から諦めかけていた事が現実になる。かなえが外聞もなく興奮するには十分である。

 

「予定日時は4月の1日だったわよね?」

「うん、春休み。前日にオリエンテーションがあって、そのままホテルに泊まって当日参加」

「それだけど、オリエンテーションは同行するのはちょっと難しいけど前日泊は大丈夫だし、終わったあとはそのままどこかで一泊しましょ。たまにはかなえと一緒に出かけたいし」

「それじゃあたし見たいのがあるんだ」

「あら、何かしら?」

「えへへ、それはあとでマリーに伝えておく。今日も遅いんでしょ?」

「そうねぇ。今夜は会議予定もないし少し早めに帰れるかもしれないわね。晩ごはん少し我慢できるなら外で一緒に食べれるわよ?」

「ほんと? じゃぁママからの連絡、待ってるね」

「できるだけ早く帰るからちょっとまっててね」

「うん!」


 画面の向こうで母・槙子は手を振っている。

 

「それじゃ、いってらっしゃい。気をつけてね」

「うん、行ってきます!」

 

 かなえも喜んで手を振り返す。そうする間にも通信は終了した。画面を挾んで互いに手を振りながら。


【現在、7時12分。通信終了しました    】


 通信終了後に現われたメッセージを見てかなえはあわてた。

 

「いけない! 時間!」


 時間に追われて現実に戻ると、急いで食事を終えてランドセルを取りに行く。するとマリーがセグメントロボットを使って、先回りランドセルを準備してくれていた。


「よかったですね。お母様とご一緒になれて」

「うん!」


 かなえは喜びを素直に顔に現しながら、マリーが渡してくれたランドセルを手にする。そして、それを背負い準備を終えると慌ただしく玄関へと向かう。足音が元気に騒々しく鳴り響く。マリーはセグメントロボットを使って玄関までかなえを追いかけていく。そして、本当の母親がするように片手を振ってかなえを送り出した。


「お気をつけて」

「うん、行ってきます!」


 元気に、賑やかに、かなえは自宅を飛び出していった。後に残されたマリーは有能なメイドのように後片付けを始めた。それは今井家にとっていつもの見慣れた光景であるのだ。

 

 

 @     @     @

 

 

 かたや、こちらは涙路署の捜査課フロアのレストルームだ。そこでは今井が娘との会話を終えて、タブレットを片付けている。そんな今井に声をかけてくる人物が居る。

 

「課長、娘さんとのお話終わりですか?」


 自販機のコーヒーの紙コップを片手に佇んでいるのは一人の実年男性だった。少し白髪の浮き始めた頭髪を丁寧にオールバックに仕上げた長身の男性。細い目が印象的な彼は、涙路署の捜査課の捜査一係の係長にして、課長補佐の肩書を持つ。階級は警部補、名前を『飛島 崇』と言う。

 今井課長より10以上年上だが、今井の日々の業務を支える名補佐役として厚い信頼を得ている人物だった。今井は飛島を方を向いて答えた。

 

「えぇ。あの子、あたしが例のイベントに同行できるとは思ってなかったみたいで、相当喜んでいたわ」

「 でしょうね。でも、子供の笑顔は何よりですよ」

「そうね。あの子が笑ってくれるとなによりホッとするわ」

「同感です。俺達の商売はどうしても家族のことを置き去りにしますからね。うちの所の高校生の娘なんか俺のことなどアテにもしてませんよ。寂しいもんです」

「警察家業の宿命みたいなものね」

「まったくです」


 二人ともそんな言葉を交わしながら、互いの身の上について苦笑いしている。そして飛島はさらに告げた。


「それにしても、今回は本庁の一課課長の大石さんには頭が上がりませんね。大石課長でしょ? 裏で色々と手を回してくれたのは」

「えぇ。そのとおりよ。まるで自分事みたいに親身になってくれたからホント助かったわ。あたしも、またあの子をがっかりさせるのかと思うと心配だったのよ」

「でも、そうならなくて良かったです。当日のここの留守番は任せてください」

「えぇ、よろしくね」


 飛島の言葉に今井は頷いていた。もうこの部署に互いが配属されてから二年が経つ。今や飛島は今井にとって無くてはならない存在であったのだ。そんな言葉を交わしている二人に声をかけてくる者が居る。朝研一である。レストルームの今井たちに気づくと挨拶がてらに声をかけてくる。

 

「課長、飛島さん、おはようございます!」

「えぇ、おはよう」

「おう」


 簡単に言葉をかわして挨拶にすると、朝は今井に問いかけた。

 

「課長、今日も娘さんとお電話ですか」


 それは今井の普段の姿を朝が見慣れていることの証しでもあった。今井は微笑みながら答えた。

 

「えぇ、どうしても話しておきたいことがあってね。ほら、例の例のリニア鉄道が4月に開通するでしょ? それの試乗会に小学生を特別招待するんだけど、うちの娘の学校から選ばれたのよ」

「へぇ」


 朝が相槌を打てば飛島が話を補足する

 

「本当ならスケジュール的に無理だったんだが、本庁の捜査課長の大石警視が助け舟を出してくれてな。ちょっと条件付きだが行けることになったんだ」

「ホントですか? かなえちゃん、喜んだでしょう」


 朝が驚きつつ問えば、今井は相好を崩して微笑んでいた。

 

「そうね。あの子、なまじ頭がいいからあたしの仕事について理解してくれてる分、めったに不満とか言わないよの。でも、やっぱり親子で居られるってだけでも喜んでたわ」

「そりゃいい。普段の分、めいっぱい相手してあげてください」

「ふふ、ありがとう」


 朝の言葉に素直に喜んで見せれば飛島が苦笑いしつつ告げる。

 

「そのためにはお前がポカを減らさないとな。なあ?」

「あ、えーと――」


 それは朝の普段のケアレスミスの多さを指摘したものであった。流石にそれを言われるとぐうの音も出ない。だが今井はそれを気にするそぶりはなかった。


「それは――、ココでは言わないでおくわ。最近、グラウザーと一緒に実績を上げてきてるし」

「そう言っていだけると、助かります」


 朝の言葉に飛島もアドバイスする。

 

「正直、グラウザーがものになったからな。お互いのミスをフォローし合える状態になったから、これからはもっと成績をあげられるだろう」

「そうね。相乗効果と言ったところね」

「はい、これからもアイツと一緒に頑張ります」

「ほんと期待してるからね」


 今井がかける言葉は飾らない賞賛に満ちていた。イタズラに叱責するのではなく褒めるときは褒め、認めるときは認めて、ヤル気と自尊心を引き出す。それが彼女の教育方針だからだ。

 そして、朝はかねてから疑問に思っていたことを問いかけた。

 

「そう言えば――、課長のところですけど、娘さんの普段の世話ってやっぱりアンドロイドとか入れてるんですか? 娘さん一人じゃ何かと大変でしょう?」

「あら、どうしたの? 急に?」


 部下からの不意の問いかけに今井は訝しげに問い返す。

 

「いえ――、最近、いろいろな事件に目を通していて、子育てをロボットやアンドロイドに任せる世帯が増えてる様に思えたんで。先日の事件でも、共働き世帯だったんですがメイドタイプのアンドロイドを置いといてたんで。もしかしたら課長のところでもそうなのかなって」

「あぁ、そういやメイドロイドとかネニーロイドとか、若い世帯で人気だってニュースでも特集して

たな」


 飛島が補足の言葉を告げる。メイドロイドは家政婦型のアンドロイドで、ネニーロイドは児童介護や乳母役の機能を持った家庭向けアンドロイドの事だ。


「そうですね。すごい勢いで家庭に浸透してるみたいです。買い取りじゃなくてリース形式での運用が定着してるんでなおさら広まってるみたいですね」


 朝は飛島の言葉に答える。その二人の会話を耳にしていて、今井は神妙な表情を浮かべながら静かに告げた。

 

「あぁ、それね? うちはアンドロイドは入れないことにしてるの」

「え? じゃぁ、娘さん一人で?」

「ううん。マンション備え付けのホームオートメーションのAIがとても優秀だからあたしと娘の仲を必要な分だけフォローしてくれてるのよ」

「へぇ――」


 朝は今井の以外な答えに驚きの言葉を漏らした。今井はアンドロイド不在の意外な理由をさらに告げた。

 

「実はね、娘の学校からメイドロイドやネニーロイドをあまり使わないようにって通達が出てるのよ」

「え? なんでですか?」


 便利だから導入する。省力化になるから導入する。それがロボットやアンドロイドの導入の動機の最たるものだ。朝が疑問に思うのは最もだった。

 

「言われてみてなるほどと思ったんだけど――、子育てをアンドロイドに任せすぎたせいで、子供が実の親を拒否して、アンドロイドになついている事例が増えているんですって。娘の学校でも長年一緒に居たネニーロイドを親から取り上げられた子が心的ショックから軽い自閉症になって学校に出てこなくなったケースが出てるのよ。それでなくても最近のアンドロイドは民生用でもコミニュケーション機能が飛躍的に向上してるでしょ? 大人からすれば便利な道具レベルでしか無くても、子供からすれば大切な家族であり、親より長い時間行動をともにしていれば親以上に信頼関係ができてしまうケースもありえるわ。横浜のとある学校ではネニーロイドに嫉妬した親がネニーロイドを子供の目の前で重機で破壊、その子がその日のうちに自殺を図った――なんてシャレにならない話もあるのよ」


 深刻に語る今井の言葉に飛島は思い至るものがあった。


「あぁ、あれか――、そういや俺の姪っ子もあの事件がきっかけでネニーロイドの予約を取り消したって言ってたな」

「そんなことがあったんすか」


 朝の言葉に今井ははっきりとうなうづいていた。


「第2科警研の人たちに話を聞いたんだけど、海外でも同様の事例が問題になってて、アンドロイドの製造メーカーとの間で訴訟になってるケースもあるそうよ。専門家から言わせるとアンドロイドの新種の反乱だ――、なんて言い方もあるみたいだけどね」

「アンドロイドの反乱――」

「〝やさしい反乱〟――なんて言い方もあるみたいね。それに本庁でも捜査課のフィールさんが一部の企業から過剰に気に入られて問題になってたでしょ? 確かにロボットやアンドロイドは人間社会にとって大切なパートナーだけど、そのつきあい方は十分に考える必要があると思うのよ。もし、自分が家に帰っても娘が家政婦アンドロイドにベッタリで親のことを冷ややかに見る――そんなの想像するだけでもゾッとするわ」


 深刻な会話に考えこむ朝に今井はさらに告げた。

 

「それでもグラウザーたちの存在からも分かる通り、私達の生活がアンドロイドやロボットを全て拒否できるような状態でないことは判るでしょ? 大切なのは適切なつきあい方をつくり上げることだと思うの」

「そのつきあい方を見つけるのは――朝、お前の仕事ってわけだな」

「はい。そのとおりですね」


 今井の言葉に飛島がフォローして、朝に言葉を投げかければ、その意味をしっかりと認識ているのか朝ははっきりとうなづきながら同意の言葉を発した。そして、今井は笑いながら告げた。

 

「頼んだわよ。あなたたちに期待しているんだから」

「はい」


 若い世代が次の次代をつくる。それはいつも変わらない普遍の法則だった。朝もその真意を理解したのか満足気に頷いていた。そして今井は朝にさらに告げる。

 

「そうだ。朝君、今日の午後はグラウザーを連れて私と本庁まで同行して」

「え? 俺とグラウザーですか? 構いませんけど」

「本庁で打ち合わせに行くんだけど、その際にあなた達2人を連れるように言われているのよ」

「わかりました。それじゃ俺とグラウザーの予定を変更しておきます」

「頼んだわよ」

「はい」


 今井とそんな会話を交わしていれば、レストルームのドアが開けられたところだ。開けたのは朝のパートナーのグラウザーである。

 

「朝さん、今日の予定のデータ揃いました」

「分かった今行く!」


 振り返ってグラウザーに答えれば、朝は慌ただしく今井へと挨拶する。

 

「それじゃ、そろそろ行きます。例の東京アバディーンでの捜査なんで」

「東京アバディーン――あの、無法地帯か」


 飛島が相槌を打ち、今井が問いかける。


「たしか本庁のセンチュリーさんが協力してくれるんでしょ?」

「えぇ、今日は打ち合わせをしながら下見をします。そののちに具体的な捜査方法を検討します。やはり中に足を踏み入れないとどうにもならないので」

「気をつけろよ。無理して怪我したら元も子もないからな?」

「はい!」


 飛島のアドバイスにはっきりと答えると、朝は今井と飛島に軽く会釈で挨拶する。そして慌ただしくその場から立ち去っていった。そんな朝の後ろ姿を眺めていた飛島が告げた。

 

「アイツもかなり物になってきましたね。グラウザーの兄貴分も板についてきた感じだ」

「アナタがそう言ってくれるなら、あの2人を組ませたのはひとまず成功ってところね」

「ちょっと時間がかかりましたけどね」

「仕方ないわ。生身の若者を育てるのとはわけが違うから」

「でも、それもなんとかうまくいきました。あとは実績を積んでいくだけでしょう」

「実績ね――、彼らなら大丈夫よ。それを見守るのが私達の責務だわ。さ、あたしたちも行きましょう。そろそろ時間だわ」


 そんな風に言葉を交わしていた今井と飛島だったが、壁にかけられた時計を眺めると雑談が許される時間が終わっていることを知る。


「さ、行きましょう」

「えぇ」


 そして互いにそれぞれの持ち場へと速やかに帰っていく。今日も気が抜けない慌ただしい時間が始まるのだ。


表のストーリーの第1話、さらにもう一人の朝のシーンについて描かれます。


次回、サイドA 第1話 『リトル・モーニング』 Part2 竹原ひろきの場合


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ