インターミッション4『これからの特攻装警』
かねてから構想していた、グラウザー以後の特攻装警についてのコラムです。
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序文
特攻装警は第1号機のアトラスから始まり、第7号機のグラウザーで、一つの完成を見るに至った。
各機それぞれ、担当部署にて各々に与えられた性能や特性を遺憾なく発揮し、絶大な成果を上げているのは承知の事実である。
しかしながら、グラウザーでの完成は一つの通過点であり、さらなる発展と改良が望まれているのもまた事実である。
ここに開発と製作が決定している3体の特攻装警について記述しこれを公開するものとする。
記 特攻装警運営委員会
1:特攻装警後継機
先日、警視庁内で話し合われた特攻装警6号機フィールの不適切運用問題の席上で交通部総務課の仁科課長より、交通部への特攻装警後継機の配備に関する意見が出された。
特攻装警運営委員会と国家公安委員会、そして開発元である第2科警研では、この意見について議論し、第7号機の次の開発対象となる特攻装警について、交通部の意見を採択し、交通部配備のための次号機の特攻装警開発を承認するに至った。
これには、以下の事情が絡んでいる。
そもそも特攻装警第3号機センチュリーは、少年犯罪課において、武装暴走族や悪質な青少年犯罪者の取り締まりを目的として配備、運用された経緯がある。しかしながら、専用のオートバイを用いて常時、都内を巡回しての勤務形態であるため、警ら任務や交通取り締まりなどの業務に立ち会う事が多く、現在では交通課との連携が大変多い状況にある。また、交通課においても武装暴走族への対応が求められている事もあり、この点においても交通課より特攻装警への応援要請が頻繁に行われており、昨今の現場情勢から鑑みるに、特攻装警センチュリーへこれ以上の依存をする事は不適切であると考えるものである。
また、第2科警研より、今後の量産型特攻装警の開発のためのケーススタディとして、既に開発されている技術を用いて複数同時に新規機体を開発するプランが提案されている。これは新規開発の技術を用いないことでコストダウンを図るとともに、短期間で効率的な大量生産技術システムを構築することがその目的であるとされている。
特攻装警運営委員会と国家公安委員会はこのプランを了承するとともに、交通課への配備を想定した第8号機・第9号機の建造を承認するに至った。そして、2ヶ月と言う短期間で基本機体が完成し、2ヶ月と言う期間で育成が完了する事となる。そして、第8号機と第9号機は同時に東京都下の交通部に正式配備されることとなるのである。
1-1:特攻装警第8号機『クラウディア』、第9号機『クリスタ』
第8号機
機体名 :クラウディア
形式№ :APO-ZXJβ-C002
機体構造:“高強度単純化内骨格+柔構造外骨格”
基本素材:“6元アルミ合金(Γ128チタン複合)”
“超高張力ナノマテリアル合成レザー”
“超微細ナノセル人造スキン”
“発泡性ダイヤモンドセラミックス”
主動力源:プラズマハートユニットVer3
(出力変動制御型パルス駆動マイクロ核融合炉心+MHD発電ユニット+超大容量超電導バッテリー×2)
駆動源 :“電動性人工筋肉(電圧動力線+制御信号線分離駆動型)+(有機内燃バースト機構)”
中枢部 :“クレア頭脳”
“マインドOS”
“マルチパーパス超高速データベースエンジン〔エンジェルレイヤー〕”
“大規模高速ネットワーク対応情報管制システム”
“人工脊椎システム”
身長高 :156cm
重量 :92kg
所属 :警視庁交通部交通執行課(実働上は、第1方面交通機動隊にて運用)
基本任務:交通取り締まり全般、交通災害対応、暴走族、及び、武装暴走族取り締まり、対機械非常戦闘
責任者 :身柄引受:交通執行課課長・松比良 礼二
指導監督:第1方面交通機動隊隊長・矢継 哲馬
開発責任者:第2科警研・大久保 克巳、布平しのぶ
所有銃 :キンバー 1911 イクリプスカスタムⅡ 10ミリオート
(クラウディアは前線に立ち、攻撃対象の制圧任務を行うことがあるため、攻撃能力の高いこのモデルを採用することとなった。その優秀な性能が評価され、後にセンチュリーにも与えられることとなる)
1)オールレンジアイ → 既存特攻装警と同じ
2)マルチパーパスレーダーブロック → フィールと同じ
・フィールに内蔵されているものとほぼ同等で腕部と両肩のショルダープロテクター部、及び、下腿部に内蔵されている。
3)マイクロアンカー(左腕部) → アトラスと同じ
・右前腕部に内蔵されておりアトラスの物の改良品、ワイヤー径が細くなっているにもかかわらず、強度とワイヤーの射出速度、巻き上げ速度は向上している。
4)有機内燃バースト機構 → センチュリーの応用
センチュリーと同じようにクラウディアは食物としての有機物を摂取することが出来る。
センチュリーの有機物反応タイプの人工筋肉のメカニズムを組み込み、この摂取有機物を電動性人工筋肉内において反応させることで、瞬間的に人工筋肉の出力を倍増させる事が可能である。
5)エアジェットスタビライザー → グラウザーと同等
・エアダクト形状の一種のジェット推進装置、グラウザーの物とほぼ同等。加速移動などの用途が主になる。
6)完全同期型マンマシンインターフェースシステム
・クラウディア専用に作られた人型のパワーローダーロボットに搭乗する際、有線/無線を併用しパワーローダーロボットの中枢とクラウディアの中枢を完全リンクさせることで、自分自身の肉体のようにパワーローダーロボットを制御することが可能。ただし、この機能を用いる際には第9号機のクリスタのバックアップが必須である。
7)タランチュラⅡ → グラウザーの物と同等
第9号機
機体名 :クリスタ
形式№ :APO-ZXJβ-C003
機体構造:“高強度単純化内骨格+柔構造外骨格”
基本素材:“6元アルミ合金(Γ128チタン複合)”
“超高張力ナノマテリアル合成レザー”
“超微細ナノセル人造スキン”
“発泡性ダイヤモンドセラミックス”
主動力源:プラズマハートユニットVer3
(出力変動制御型パルス駆動マイクロ核融合炉心+MHD発電ユニット+超大容量超電導バッテリー×2)
駆動源 :“電動性人工筋肉(電圧動力線+制御信号線分離駆動型)”
中枢部 :“クレア頭脳”
“マインドOS”
“マルチパーパス超高速データベースエンジン〔エンジェルレイヤー〕”
“大規模高速ネットワーク対応情報管制システム”
“多重化人格制御バランサーシステム”
“非接触型・電子回路遠隔制御システム”
“人工脊椎システム”
身長高 :152cm
重量 :78kg
所属 :警視庁交通部交通執行課(実働上は、第1方面交通機動隊にて運用)
基本任務:交通取り締まり全般、交通災害対応、暴走族、及び、武装暴走族取り締まり、対機械非常戦闘
責任者 :身柄引受:交通執行課課長・松比良 礼二
指導監督:第1方面交通機動隊隊長・矢継 哲馬
開発責任者:第2科警研・大久保 克巳、布平しのぶ
所有銃 :FN ファイブセブン (5.7ミリ口径、装弾数20発)
(クリスタは交通管制制御やネットワーク対応が主任務であるため、銃種としてはバックアップとして有効な銃種を選択することとなった。その運用実績が評価され、これものちにセンチュリーへと与えられることとなった)
1)オールレンジアイ → 既存特攻装警と同じ
2)マルチパーパスレーダーブロック → フィールと同じ
3)マイクロアンカー(左右腕部) → アトラスの物の改良品
・クラウディアの物と異なり、射出速度よりアンカー先端部の制御能力が高くなっており、アンカー先端部の飛行軌跡をクリスタが意図したとおりに完璧に制御することが可能。
4)有機内燃バースト機構 → クラウディアと同等
ただし、最大出力値はクラウディアの物の70%程度。
5)エアジェットスタビライザー → グラウザーと同等
・エアダクト形状の一種のジェット推進装置、グラウザーの物とほぼ同等。加速移動などの用途が主になる。
6)多重化人格制御バランサーシステム
・ディアリオのサブ頭脳システムの簡易的な再現を狙ったもので、メイン頭脳部の容量を1.2倍ほどに増強、さらにエンジェルレイヤーの補助制御を加える事で、メイン頭脳の人格を時分割して複数の自我を同時起動を可能としたもの。最大で7つの人格を同時に実行可能。これによりバイク操作をしながら銃撃したり、戦闘行動を行いながら、他の特攻装警の遠隔支援を行ったりなど、ディアリオのサブ頭脳システムに匹敵する多様性をクリスタに与えることに成功した。ただし、実際に複数の頭脳を内蔵しているわけではないので、メイン頭脳がダウンしてしまうと全ての時分割自我が停止してしまう欠点がある。
7)サイバータランチュラ → グラウザーの物をさらに改良
両手の十指の根本に内蔵されており、単分子ワイヤーシステムとしてはグラウザーの物と同等である。しかし、クリスタのタランチュラはこれに加えて、非接触型の電子回路遠隔制御システムが組み込まれており、単分子ワイヤーに付加されたナノマシン体が目標の電子回路システムに遠隔干渉する事でコンピューターシステムへのハッキングから、電子機器の乗っ取り、内部データの抽出。さらには電子制御システムを乗っ取ることで、車両や建設重機、あるいは様々な機械機器を遠隔コントロールする事が可能である。
専用車両:ギガンテス〔クラウディア用:アキレス クリスタ用:ダイダロス〕
クラウディアとクリスタに与えられた可変型電動バイク。高速性能を重視した2輪ロードスポーツモデルのアキレスと、多機能性を重視した3輪多機能モデルのダイダロスがある。クラウディアが搭乗するのがアキレスで、クリスタが搭乗するのがダイダロスである。
主動力は特攻装警の主導力にも採用されているプラズマハートで、安全性を高めた小型化モデルを複数機搭載することで総合出力を向上させることに成功している。それから得られた電力で大出力の超伝導インホイールモーターを駆動させている。
アキレスは非常に軽量かつ、高速性能の優れた未来型シルエットのハイウェイモデルで、高速道路での超高速の取り締まり任務に対応可能。追跡と斥候が主任務となる。アッパーハンドル仕様であり搭乗するクラウディアは仰向けに近い形で操縦することになる。
ダイダロスは、3輪バイク形状であると共に、フロントフォーク~ホイール部周辺に設けられたマニピュレーターを用いて交通災害時の救助任務をこなすことができ、1.5トン積みトラック程度なら運搬可能なハイパワーモデルである。また簡易的な消火活動システムも搭載している。
実はこの2台は合体可能である。合体した後に変形しヒューマノイドモードに移行し、2足歩行型のパワーローダーロボットのギガンテスへと合体変形を可能としている。
ダイダロスが脚部と下部胴体、及び腕部となり、アキレスが頭部と上部胴体を構成する。合体した後にクラウディアがギガンテスの中枢システムと接続され、クリスタがそのバックアップ制御を行い、動作を開始する。合体時の全高は3m程度で格闘戦闘を行えるほどに機敏であり俊敏である。そもそもがマリオネット・ディンキー以後、頻出することとなる機械化テロリズムでの強力なテロロボット・テロアンドロイドへの対抗策として、より効率的な敵制圧を行うために開発されたものである。
また、その開発は第2科警研ではなく、第2科警研の外部協力企業である岸川島重工により開発されたものである。それまで第2科警研のバックアップ的な基礎開発や技術提供などの面で協力関係にあったのだが、岸川島側からの提案という形で、開発がスタート・承認されており、クラウディアとクリスタの開発と平行して造られている。これによりクラウディアのクリスタの現場配備への期間がより短縮されることとなったのである。
能力傾向:
2人の基本構造はフィールとグラウザーをベースとしている。またその内部メカニズムはそれまでの特攻装警の開発にて生み出された既存技術や、それらの改良型のみを用いており、全くの新規の技術開発は行われていない。そのため、開発期間が非常に短い上に、より安定した初期性能を発揮させることに成功することとなったのである。その一方で、量産型の開発技術体系の確立と言う命題をクリアするために、2人の基本構造はほとんど同じであり、グラウザー型の単純化内骨格と柔構造外骨格を併用する形が取られている。2人が双子型アンドロイドと呼ばれる理由はここにある。
また、その人格形成の手法にもさらなる改良が加えられている。
全くのゼロから人格をつくり上げるのではなく、アトラスから始まりグラウザーで完成をみた特攻装警全6体の人格データや性格形成データを雛形として、それらをある程度コピーしたものを人格形成の初期データとして与える試みが行われた。
クラウディアはセンチュリーとグラウザーの人格データが元になっており、クリスタはディアリオとエリオットとフィールの人格データが元になっている。さらにはセンチュリーの格闘戦闘技能や、フィールの対人インタフェース性能、ディアリオの電脳処理能力など、特技能力に関する体内データや記憶情報を人格形成開始時に必要情報として与えることで、個々の専門能力を、より速やかに確実に習得させる事に成功している。
クラウディアとクリスタは常に2人で行動しており、クラウディアが追跡と戦闘行動、クリスタが交通管制と対ネットワーク戦闘を得意としている。二人が綿密に連携しあうことで、より優れた性能が発揮できるように構成されている。通常は交通課の一般任務に従事しているが、必要に応じて対テロ制圧任務や、武装暴走族対策任務、機械化武装凶悪犯の制圧任務になどに従事する形が取られている。
性格傾向としては、クラウディアがセンチュリー似の激情型の性格であり危険な現場に自ら飛び込んでいく積極性を持ち合わせている。クリスタはその逆でありディアリオの器用さとフィールの明るい性格が継承されている。ただしクリスタはやや内向的な性格であり口数はあまり多くない。
外見的特徴としては――
クラウディアは赤いショートヘアが特徴的であり、その近接格闘能力を支えるために人工筋肉が多めに内蔵されているためややガッチリした体型である。目つきが鋭く瞳が大きいため、どことなくセンチュリーに似ている印象を与えると言われることがある。そのため、交通部内ではクラウディアをセンチュリーの妹と呼んでいるそうである。
クリスタは深い青色のロングヘアで肩のあたりまでの長さ。やや細身のシルエットでクラウディアよりも小柄である。
両名とも頭部に専用のヘルメットを装着しており必要に応じて脱着可能。また、センチュリーと異なり体表部がそのままライダースーツ仕様になっているのではなく、フィールのような素体仕様であり、専用のライダースーツ仕様のコスチュームを着用し、そこに“肩”“肘”“胸”“腰”“膝”に特殊機能を内蔵したプロテクターを取り付ける形式となる(プロテクターは内部メカニズムと直接接続され固定される)、それに専用のメカニカル式のグローブを着用する形式である。
クラウディアとクリスタは特攻装警量産化のテストケースであるため、新規開発技術が盛り込まれていない。にも関わらず、それまでの特攻装警たちの能力と比較しても決して見劣りする物ではない。二人が連携することでより強大な力を発揮することが可能なのである。二人の完成はのちに特攻装警の運用を更なる新たな段階へと進ませる一助となったのである。
なお、ふたりとも胸部の乳房部が成人女性のEカップクラスのサイズがある。これは体内メカニズムのレイアウト上、有機物の消化システムが組み込まれているため、その兼ね合いから大容量の超電導バッテリーを収めるスペースが得られないことから、超電導バッテリーを2つに分け胸部の乳房部にレイアウトして対応した結果である。(この手法は後にフィールの改良プランにも盛り込まれる事となる)
二人の胸部をフィールが初めて見た時、少なからぬ抗議があったと言われている。
2:特攻装警応用機
特攻装警第6号機のフィールが完成し数ヶ月経った時のことである。
捜査部内において優秀な活動実績を上げ続けるフィールのことは警察内部はもとより、警察以外の様々な省庁や政府機関などから注目をあびることとなった。特にフィールの飛行性能や高い機動能力、さらには優れた汎用性に注目したのが、消防庁であった。
特に超高層建築物や大深度地下構造物が氾濫する現状にあって、生身の人間による救助活動だけでは限界に達しつつあった。このため、消防庁ではフィールをはじめとする特攻装警のアンドロイド技術を各種災害救助活動に応用できないかとの質問の打診があり、警察庁および第2科警研では対応可能とする回答を行った。
これにより、消防庁の所属する総務省から正式に災害救助活動対応型の特攻装警応用機の開発への協力依頼が、警察庁へと打診されることとなった。これを受けて警察庁と第2科警研では、フィールの開発担当責任者であった布平しのぶ女史を対応窓口として折衝を開始、半年をかけて消防庁からの要求仕様をまとめ上げ、フィールの完成と現場運用の成功を確認した上で、消防庁向けの特攻装警応用機の開発をスタートさせることとなったのである。
このさい、消防庁が要求してきた仕様は以下のとおりである。
1:基本機体構造はフィールをベースとすること。
2:災害現場対応の必要から機体強度を強化すること。
3:災害時の救助活動の性格から重量物の起重や運搬を可能とするだけのパワーを与えること。
4:火災現場・災害現場で必要な耐熱・耐寒・耐爆性能を確保すること。
5:超高層建築物での救助活動を可能とするため飛行能力を付加すること。
6:建築物内での高速な移動を可能とするため、3次元空間でのピンポイント位置制御を備えること。
7:消防庁のネットワークシステムにリンク可能な情報処理機能を付加すること。
フィールは本来、パワーと耐久性を度外視して、高速性能と飛行性能に特化した側面を持つ。
そのため、フィールをベースとして消防庁からの要求に応じることは困難を極めるのが予想された。
しかしながら、第2科警研ではこの要求に応じることを決断。特攻装警応用機の開発に乗り出すこととなる。
おりしも、第7号機グラウザーが完成した時期であり、グラウザーで開発された技術がフィードバック可能となり、フィールの柔構造外骨格の強度面での欠点を克服する事が可能となり、完成に向けて開発研究が加速することとなった。
そして、9ヶ月の開発研究を経て完成したのが、特攻装警応用機第1号機のフローラである。
2-1:特攻装警応用機第1号機『フローラ』
機体名 :フローラ
形式№ :AFW-XJα-F002
機体構造:“高強度単純化内骨格+柔構造外骨格”
基本素材:“6元アルミ合金(Γ128チタン複合)”
“超高張力ナノマテリアル合成レザー”
“超微細ナノセル人造スキン”
“発泡性ダイヤモンドセラミックス”
主動力源:プラズマハートユニットVer3
(出力変動制御型パルス駆動マイクロ核融合炉心+MHD発電ユニット+超大容量超電導バッテリー×2)
駆動源 :“電動性人工筋肉(電圧動力線+制御信号線分離駆動型)”
中枢部 :“クレア頭脳”
“マインドOS”
“マルチパーパス超高速データベースエンジン〔エンジェルレイヤー〕”
“大規模高速ネットワーク対応情報管制システム”
“多重化人格制御バランサーシステム”
“非接触型・電子回路遠隔制御システム”
“人工脊椎システム”
身長高 :151cm
重量 :78kg
所属 :東京消防庁警防部特殊災害課
基本任務:災害救助、消防活動全般、救命救急任務
責任者 :身柄引受・指導監督:警防部特殊災害課課長・四方 敦弘
開発責任者:第2科警研・布平しのぶ
所有銃 :なし(消防庁職員の扱いであるため現時点では不要と判断されている)
1)オールレンジアイ → 既存特攻装警と同じ
2)マルチパーパスレーダーブロック → フィールと同じ
(ただし、災害現場での対象物の探知が主な使用目的である。また、生体センサーが複合しており土砂や瓦礫の中の人体を探知する能力が付与されている)
3)マイクロアンカー(左右腕部) → アトラスの物の改良品
・特攻装警第9号機クリスタの物とほぼ同等。先に開発されたのはこちらで後にクリスタに搭載されることなる。射出速度よりアンカー先端部の制御能力が高くなっており、アンカー先端部の飛行軌跡をフローラが意図したとおりに完璧に制御することが可能。さらに重量物の起重能力も強化されている。
4)特殊防熱システム
・体表部に電子冷却素子が等間隔に設置されて体内に蓄積した熱を積極的に体外へと排出出来る仕組みとなっている他、特殊なマイクロ波を体表から放射して体表部への熱干渉を低減させることで、火災現場での体表温度の上昇を防ぐシステム。
5)エアジェットスタビライザー → グラウザーと同等
・エアダクト形状の一種のジェット推進装置、グラウザーの物とほぼ同等。加速移動などの用途が主になる。
6)アークバーニヤ → センチュリーの物と同じ
7)多重化人格制御バランサーシステム
・後にクリスタにも装備される物であり、こちらのほうが開発が先。ただし、同時実行可能な時分割数は3ないし4が限度であり、大規模な多重化は行われない。
8)サイバータランチュラ → グラウザーの物をさらに改良
・これもクリスタの物と同等で開発はこちらが先。主目的は災害現場での救助活動での補助である。機能停止した機械の再起動や、閉じられた電子ロックシステムを解除するなどの使い方が主になる。両手の十指の根本に内蔵されており、単分子ワイヤーシステムとしてはグラウザーの物と同等である。しかし、クリスタのタランチュラはこれに加えて、非接触型の電子回路遠隔制御システムが組み込まれており、単分子ワイヤーに付加されたナノマシン体が目標の電子回路システムに遠隔干渉する事でコンピューターシステムへのハッキングから、電子機器の乗っ取り、内部データの抽出。さらには電子制御システムを乗っ取ることで、車両や建設重機、あるいは様々な機械機器を遠隔コントロールする事が可能である。
9)2次装着装甲「オプショナルギア」
・これもフィールの物とほぼ同等である。ただし、使用目的は災害時の自己防御であり、耐熱・耐爆などを補助するためである。フィールのような戦闘能力の強化が目的ではない。普段は取り外しておいて、通常の待機業務に従事しているが、災害時に必要におじて2次装甲を適時装着する仕組みとなっている。
オプショナルギアは頭部・肩部・前腕部・胸部・背部・腰側部・腰背部・脚部の計12ヶ所のパーツからなり、防御能力の向上に比重が置かれている。また、腕力面での性能強化お行われており、必要時にリミッターが自動的に解除される事により増強されるシステムとなっている。
電磁気制御式のMHD推進ユニットが背部・腰背部・脚部のギアに内蔵されており、両肩部の電磁フローターと組み合わせることで、精密な飛行能力を発揮することが可能である。
10)電磁フローター
MHD推進ユニットとエアジェット推進装置を組み合わせ、非常に高い比推力を有した推進装置に構成した装備で、フローラの両肩に装備されている。無論、脱着可能。
両肩から背面を通じて、フローラの主骨格に接続可能であり、最大推進速度こそフィールのマグネウィングに及ばないものの、重量物の運搬や、ミリ単位での精密な位置制御などに優れており、建築物内での制限された空間内での精密高速飛行を可能とするものである。
11)ハイプレッシャーウォーターガン
両手持ち式のバズーカータイプのウォータープレッシャーガンで、一度に数リットルの消化液を一斉に拡散発射することで火災の鎮火を図るもの。3回ほどの連射が可能な薬液タンクが備わっている。
12)マルチパーパスフォールディングギア
フローラが現場任務で活動する際に携帯している折りたたみ式の多機能ツールでロッド形状をしている。両方の先端部が折りたたみ式であり展開することにより、以下のツールとして使用が可能。
①スコップ ②ツルハシ ③ドリル ④高速カッター ⑤プライヤー ⑥ニッパー ⑦高周波振動ブレード ⑧ハンマー
この他、マイクロアンカーと接続することでさらに機能を広げることが可能である。
13)簡易メディカルツールキット
フローラが現場任務にて携帯する簡易型の救急救命ツールキット。除細動器、人工呼吸器、酸素供給マスク、動力式注射ツール、薬剤アンプル、止血用フィルム材、などからなっており、災害現場で必要とされる物が選択されている。グラウザーが同様の物を有明1000mビルの事件で使用しているが、キットの充実度はこちらが上。
専用車両:高速オフローダー『グラスホッパー』
第2科警研にて仕様プランが練られ、外部提携企業である岸川島にて実車両の作成が行われたもの。
災害現場での移動手段の確保を目的としている他、非災害地での高速移動と物資運搬も視野に入れた、多目的用途の消防用特殊車両である。
全輪駆動の4WDで、ガスタービン式の多燃料動力装置を主動力に動力伝達と変速機構を全て流体によるハイドロプレッシャー式で行っているのが特徴である。
ピックアップトラックスタイルで原則二人乗り(後部に簡易シートが2名分ある)流体による動力伝達であるため、サスペンションが路面状況に応じてアクティブに上下する。オフロード時はリフトアップし、舗装路や高速道路ではリフトダウンし車高がスポーツカー並みに低くなる。
特に後軸のサスペンションが長いスイングアーム式であり、横からのシルエットがバッタの脚のように見えることからグラスホッパーの名がついた。
フローラの配備に合わせて開発されたものだが、その優れた多機能性から消防庁内でも評価が高く、そのまま災害救助用車両として採用することが決定した。そのため岸川島では急遽数十台を追加製造している。
能力傾向:
そもそも、フローラはフィールの消防用途への転用と言う目的から開発がスタートしている。
そのため、災害救助活動に必要な機能をフィールに上乗せし、不要な機能を削除すると言う形式で機能決定が行われてる。
まず追加されたのがボディ強度の向上と耐熱・耐爆性能の付加である。グラウザーで得られた単純化内骨格のメカニズムを導入する事でフィールに欠如していた頑強さとそれに伴う力強さを得ることに成功した。またさらに体表部である柔構造外骨格の適用素材を見直すことで、外観と体表部の触感を損なうこと無く、必要な耐熱性と耐爆性能を確保することに成功している(ただし重量の増加は避けられなかった)
この他、飛行性能はフィールと異なり速度性能よりも起重性能や空間移動精度が重視されており、災害現場での救助活動に必要とされる重量物運搬や高層ビル内や複雑に入り組んだ構造物内での素早い展開行動を行えるレベルの性能の追求が行われている。
これらは全て、消防庁の意向である『災害現場での人命救助能力の追求』に絞られており、非常に割りきった性能傾向の機体である。
しかしながら、戦闘を度外視し救助活動に専念したことでかえって汎用性は非常に高く、飛行能力を用いない状況下でもその能力を遺憾なく発揮する事が可能である。また、火災から爆発事故、不発弾除去、地下災害、高層ビル災害、海上・海中事故など、人間では到達不可能な極限状況下ではフローラの存在意義は非常に高く、配備当初より目覚ましい活躍をする事となるのである。
その人格形成と育成においてはフィールの人格データをベースとして、転用する方式が採られている。全くのゼロから育成するのではなく雛形となる性格を準備することで人格の育成に必要な時間を大幅に短縮することを目的としたものである。
当初この手法には、形成された人格がコピー人格のように個性が喪失するのでは? と言った懸念が出されていたが、実際の育成結果に於いては多少の類似はあるものの、フィールとは明確に異なる性格や人格が育っている事が確認されている。
明朗で社交的な性格であるのだが、フィールよりも実直で任務に忠実な素直な性格であり、いかなる困難時にも弱音を吐かない非常に芯の強い性格に育っていると言える。
フローラが配備された特殊災害課では、フィールが一時期見舞われた“マスコット化”はされること無く、未来の消防庁を担う逸材として入念な新人教育が行われ、配備から一ヶ月後にはすでに現場へと出動を果たしている。それ以来、様々な災害現場で活躍する事となるのである。
髪型顔つきともフィールと非常によく似ている。しかし顔立ちが微妙に異なるほか、体系がフィールと異なり非常にガッチリとした頑丈さを感じさせる体型をしている。そのため、私服時でもフィールとの見分けはそれほど困難ではない。
彼女の成功は、のちに第8号機や第9号機の建造のヒントを与えることとなり、後の量産型特攻装警の先鞭をつける役割をはたすこととなるのである。
3:特攻装警の形式番号について
アトラスから始まりグラウザーにて一定の完成をみた特攻装警は、フローラの登場や、クラウディアやクリスタが出現するに至り、応用機体の段階へと進むに至った。
それにより、アトラスのAから順番にナンバリングされていた特攻装警の形式番号も以下の通りに意味付けされる事となった。
これ以後、AからGまでのジャンル分けのもとに特攻装警の開発が行われることとなったのである。
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┃ ┃ ┃ 各系列内のナンバリング
┃ ┃ ┃
┃ ┃ AからGまで存在する各系列番号
┃ ┃
┃ 開発時の開発目的コード、XJやXJXなど多数存在
┃
APO:アンドロイドポリスオフィサーの意味で警察向けアンドロイドを表す。
AFW:アンドロイドファイヤーワーカーの意味で消防庁向けアンドロイドを現す
各系統の意味
A系統:対組織犯罪用強攻捜査用途
B系統:研究用試作 用途
C系統:交通課用途、及び、少年犯罪対策用途
D系統:情報犯罪対策、及び、サイバー特化機能用途
E系統:機動隊、及び、特殊部隊用途
F系統:一般犯罪捜査、及び、早期警戒用途
G系統:一般所轄向け総合機能用途

















