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メガロポリス未来警察戦機◆特攻装警グラウザー [GROUZER The Future Android Police SAGA]  作者: 美風慶伍
第2章サイドB『魔窟の洋上楼閣都市』第5部『死闘編』
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特別コラム『特攻装警世界の最新テクノロジー』

今回は諸事情により一週おやすみですが

特攻装警世界の片隅に介在する科学技術設定について公開いたします


特別コラム ~特攻装警世界の科学技術設定~


■特攻装警世界には独自の科学技術設定が多数存在する。今回はそれらをあらためて解説するとしよう。



①クレア頭脳


 『創造する』の意味のラテン語・クレアーレから命名された非結晶金属高分子群塊による『人工頭脳ユニット』

 特定薬液中にて自己成長する金属高分子からなり、外部刺激により成長が誘導でき水流やケース形状により容易に形成できる。人間の正脳とほぼ同等の機能をもつ。人間の正脳の構造の古皮質・新皮質の構造を模しているが、更にその上位の高機能段階皮質『エンジェルレイヤー』を備えていると言われる。しかしその機能については謎が多い。

 いくつかの品質ランクがあり最高級のSSSは世界に数個しか存在しないと言う。

 製造開発はエバーグリーン機関の独占下にある。



②マインドOS


 クレア頭脳とワンセットで運用される非ノイマンデータドリブン型人工自我創出制御オペレーターシステム。

 NPLと呼ばれる心理神経言語から派生した〝CNPL〟と言う非言語知能概念制御ステートメントが構文として用いられる。クレア頭脳の成長育成を飛躍的に早め、短期間での自我形成を可能にする。

 アンドロイドの社会運用を容易にし、その普及の原動力となった。

 基本的にオープンソース化されて広く公開されているが、その中心となる基幹技術は限定公開のため、実質的にはエバーグリーン機関との協力が不可欠の状態である。



③128Γチタン


 特攻装警の外殻構造素材として開発された新合金で、耐摩耗性、耐靭性、耐火性、耐衝撃性などあらゆる面でこれまでのチタン合金の性能を遥かに凌ぐ。しかし、それ故に加工は非常に困難であり、超音波水流や人工ダイヤヘッド切削カッターなどを用いる。それ故に製造コストが高く大量生産に用いる事が困難である。



④超伝導バッテリーユニット


 特攻装警世界では非常にメジャーなエネルギー装置。高温超伝導体の画期的な大量生産技術が編み出された事で短時間急速充電や大電流出力が可能となった。そのため小型の可搬式から施設設置用、さらには大型船舶に至るまで幅広く用いられている。

 世界エネルギー事情の電気化に拍車をかけた存在だが製造と普及に世界的な偏りがある他、超電導の破れによる電流保持の破綻事故が問題となっており、爆発的な反応の漏電事故が世界中で多発している。



⑤マイクロ核融合炉心


 高温超電導体の飛躍的な発達により核融合技術がブレイクスルーし大型の設置型が開発に成功、さらに磁束技術が発達した事で核融合のダウンサイジング化技術が生まれる事となる。本来は軍用ロボットの長期間メンテナンス化のために開発されたが、

公的機関用を対象にして一部の民生用に採用がされている。

 問題は安定運用にヘリウム3が必要な事でその入手は困難、ヘリウム3の同位体を利用した『汚い核融合』での見切り運用が世界的に問題となっている。



⑥高スピンエネルギードライバー


 マイクロ核融合炉心のヘリウム3問題を回避するための模索で開発された格子スピンエネルギー取り出しを目的としたエネルギー装置の一種。爆発的な出力上昇は望めないが非常に安定したエネルギー出力を可能にする。

 マイクロ核融合炉芯と対を成すエネルギー装置技術であり、極めて限定された空間で、大規模な円形加速器に相当する長距離レンジ素粒子加速を可能にする『多重化積層粒子加速スパイラル構造』を有している。

 特攻装警では第6号機のフィールに試験的に採用されている。



⑦ゼロ点真空バッテリー


『完全真空とは何もない状態ではなく、エネルギー値がプラスとマイナスが同数で互いに打ち消し合っている状態である』と言う概念のもとに真空中からのエネルギー取り出しを目的とした動力装置。

 極めて多大なエネルギー取り出しが可能である。だがエネルギー取り出しは非常に不安定であるだけでなく最悪爆発的な事故を引き起こしかねない。そのためその開発と運用に手を出す者は極めて少ない。



⑧ビートジェネレーター


・パルス駆動型マイクロ核融合炉芯

・MHD発電装置

・超電導バッテリー


 この3つをコンパクトに組み合わせアンドロイド/ロボットへの組み込み用として開発されたエネルギー装置。人間の心臓のように脈拍を打つことからビートジェネレーターの名がある。




⑨人工脊椎


 人工頭脳の開発以後、アンドロイドの運動機能の向上研究の過程で、人間の神経系の『反射』に相当する機能を再現する必要に迫られた。そして、超小型の無自我型クレア頭脳ユニットを超光速多重化ネットワークで直列に連結、中枢頭脳を介さずに運動信号を処理する機能を付加した物。

 それまで中枢頭脳での計算ずくでの運動制御に頼っていたアンドロイドの動態制御を自動化・効率向上させる事に成功した。

 日本の特攻装警の開発過程で生まれたものだが学会での発表を期にまたたく間に爆発的に世界中に普及することとなる。



⑩ネクロイド・テクノロジー


 ロシア科学アカデミーの科学者であるユーリ・カザロフ氏によって開発された死者再生思考の技術体系で、死亡者の頭脳の脳髄皮質から記憶物質を精密に抽出。そこから生前の知識・記憶・情動・自我を人工頭脳内に再現することを意図して開発された。

 死者再生と言うよりは死によって失われた知識や経験を復活させる事にウェイトが置かれており必ずしも生前同様の人格が再現されるとは限らない。また再現度合いはベースとなるアンドロイドボディの技術レベルに依拠しており、よりリアルなアンドロイドであればあるほど整然と見分けがつかない。



⑪光圧器官


 光にも圧力は生じる。特に密度非常に極めて高くし熱効率を可能な限りさせることで最終的には光子噴流による推進機関の動力とすることを目的とした装置が作り上げられた。これが【光圧器官】である。本来の使用目的は【光子ロケット】のような宇宙開発であるのだが、その機密情報が流出し一部にて違法サイボーグや違法アンドロイドの主動力や主力武装の一つとして組み込むとする動きが後を絶たない。当然ながら軍事転用されることは非常に危険な結果を招くので国際的にも厳格な運用が求められているが対応の動きが鈍く光圧器官の悪用阻止の問題は未だ解決を見ていない。



⑫5元アルミ合金


 128Γチタンが非常に加工がしにくいため、それに変わる構造材として開発されたアルミ系複合重積合金、添加物質が5種存在することから『5元アルミ』の名が付いた。非常に軽量で加工性が良好。硬さや頑強性においてΓチタンには叶わないものの、対衝撃性、耐荷重性、高展性、などの面で優れており、変形などが生じても高い展性である程度修正可能。

 これ以後、開発現場では用途と適正に応じてΓチタンと5元アルミを使い分ける事となった。



⑬慣性制御ジャイロ


 極めて超高速で加速する重比重ジャイロケーターとスカラ電磁場コイルからなり、装置本体の主部品であるジャイロケーターにかかる慣性モーメントを任意のベクトルへと変更・増加させる事が可能。民生品としては普及しておらず、開発途上の研究段階品として存在する。



⑭ブレインシリンダー


 スピントランジスタと呼ばれる非半導体型の超高速チップのシリコンウェハースを1枚丸ごと巨大なLSIチップとして用い、なおかつ、それを多数積み重ね光素子による縦方向のバイパス回路で3次元の回路構造を構築、高機能な論理推論ユニットに仕上げたもの。

 その形状が円筒形になる事から一般に「ブレインシリンダー」と呼ばれる。アンドロイド用の頭脳ユニットの開発段階で派生した論理推論ユニットの一種。特攻装警ディアリオのサブ頭脳として採用されている。



⑮シンクキューブ


 ナノマシン技術により作り上げられた金属系高分子による3次元神経回路構造のAIユニットの一種。人間の脳神経細胞のもつ「ハイパーコラム」構造を模して作られており、その物理回路そのものが推論や判断を高速で行える仕組みになっている。外見は立方体である。その処理能力特性から特に映像イメージや論理推論作業を処理するのに非常に適している。その形状から「シンクキューブ」と呼ばれる。エリオットに内蔵され戦闘活動の際に補助戦闘マニュアルとして機能する。エリオット本来の人格とはまったく独立して戦術/戦略を組み立てる役割を持っている。



⑯エンジェルレイヤー


 多数の超小型の限定型AIユニット群と、メインのクレア頭脳とで網状のネットワークを形成しながら、メイン頭脳との高度な協調連動を行う高度リレーショナル頭脳機能拡張システム。

 AIユニット体を複数のサブ頭脳として扱うことも可能だがそれだけではなくメイン頭脳の機能と容量を増強する事も可能。多機能性が特徴であり、メイン頭脳の活動目的に応じた汎用性を発揮することが可能。特攻装警フィールとグラウザーに装備されており各種能力の強化に寄与している。

 最上級クレア頭脳にも同様の名称の特殊構造が存在している。しかし、それぞれの類似性や関連性については明確になっていない。



⑰有機物内燃反応ユニット


 人間が食物を消化するのと同じ様に有機物を食し消化し燃焼反応させてエネルギーを引き出すシステム。脂肪物による有酸素反応と、ブドウ糖による無酸素反応からなり、エネルギー補給の途絶えがちな状況でも人間と同じ食物をとる事により、活動を続ける事ができる。

 極端な話、食べるのは燃焼可能な有機物であるなら何でもOK。そこいらへんの雑草でもOKなのである。特攻装警センチュリーに採用され、グラウザー、フローラ、クラウディア、クリスタ、改修後のフィールなどに採用されている。

 これ単独でもアンドロイドの動力源とする事は可能だが、その作業量に応じて摂取する食物量は増大するけっかとなる。そのためセンチュリー以外は、有機物内燃反応ユニット以外にも動力源を併用して対処している。

 センチュリー=悪食の大食いと言うレッテルを貼られる原因にもなった。



⑱柔構造外骨格


 アンドロイドボディの基本構造は外骨格と内骨格の2種に大別できるがそれぞれに一長一短がある。特に外骨格構造はその構造上の強度を保つためには外皮を強固にせざるを得ず、リアルタイプのヒューマノイドには不向きである。逆に内骨格は利点がある様に一見は見えるが、内骨格はその構造上複雑になりがちであり生産コストも上昇する傾向にある。またよりリアル、かつ高機能であろうとすると構成部品の増加による重量増がさけられない。そのため高機能化と軽量化はトレードオフの関係にある。この問題を解決する手段として特攻装警の開発元である第2科警研にて編み出されたのがこの『柔構造外骨格』である。

 5元アルミによるメッシュ構造材を母材として、柔らかさを持った高分子プラスティック素材でパネルを形成、これを用いた外骨格構造としたもので、外骨格でありながら生身の素肌のような〝柔らかさ〟と〝ぬくもり〟があるのが最大の特徴である。

 これにより高機能化と軽量化のトレードオフ問題を解決する事が可能であり、事実、この技術を用いて建造された特攻装警フィールはリアルヒューマノイド化こそ不完全ながら非常に高いコミニュケーション性を有する事に成功。なおかつ極めて高機能である事が高く評価されている。


次回、6月22日は予定通り次話更新です


特攻装警グラウザー

第二章エクスプレスサイドB第一話

魔窟の洋上楼閣都市45

『幕間・ナイトキッズ後編』


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