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第91話 日常に戻った甘さ
宿泊から帰宅した翌日。
駅で別れた瞬間の手の温もりが、まだ心に残る。
仕事の合間にも、昨日の夜の余韻が頭をよぎる。
ランチの時間、ふと彼からLINE。
「昨日は楽しかったね」
「うん、まだ余韻が残ってる」
私はすぐに返信する。
帰宅後、彼と少し散歩に出かける。
肩が触れる距離で歩くと、
胸がじんわり温かくなる。
視線が自然に交わるだけで、
心臓が跳ねる。
「こうして日常に戻ると、昨日の特別感が余計に感じられるね」
小声で彼がつぶやく。
「本当だね」
私も微笑む。
手は絡めず、自然な距離。
でも、触れ合う指先や視線だけで、
甘さの余韻は十分。
日常の中での微妙な距離感。
これが、恋人としての心地よいバランス。




