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第89話 初めての宿泊
週末、温泉旅館。
二人で予約した小さな宿。
街の喧騒から離れ、静かな山間に佇む。
チェックインを済ませ、
部屋に入ると、
木の香りと温かい照明が心地よい。
「落ち着くね」
小声で私がつぶやく。
「うん、二人だけの時間だ」
彼も微笑む。
浴衣に着替え、温泉へ。
湯気の向こうで手を取り合う瞬間、
胸の奥が跳ねる。
温かい湯と、互いの体温。
肩が触れ、肘が軽く絡む。
視線が交わるたびに、緊張と甘さが同時に走る。
夜、部屋に戻ると布団を並べる。
手をつなぐ。
少し触れるだけで心臓が速くなる。
「こうして一緒にいると、落ち着く」
彼が小声でつぶやく。
「私も」
微笑み返す私。
短い触れ合いと視線だけで、
甘さは十分に伝わる。
宿泊の特別感。
日常を離れた二人だけの空間。
緊張と甘さの波が、最高に高まる。




