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第86話 微妙な距離感
平日の夕方。
二人で帰宅途中、街のイベント会場の前を通る。
「ちょっと見てみようか」
彼が提案する。
人混みの中、手をつなぐタイミングを迷う。
触れる距離は近いのに、
手を握るのは少し照れくさい。
「こういうとき、どうするのが自然かな」
小さくつぶやく私。
「任せるよ、君がいいと思う距離で」
彼も微笑む。
互いに距離を測りながら歩く。
肘が軽く触れるだけで、
胸が跳ねる。
会場内で、一緒にゲームや屋台を楽しむ。
笑顔で並ぶけど、手はまだ軽く触れる程度。
視線が交わるたびに、
甘さと緊張が入り混じる。
夜になり、駅に向かう途中。
「今日は楽しかった」
私が言う。
「うん、俺も」
彼の手が自然に私の手に触れる。
握り返すと、心の距離は一瞬で縮まる。
微妙な距離感を試す時間も、
二人の関係を深めるスパイス。




