表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/64

第42話 それぞれの場所で

活動再開の日が、

正式に発表された。


大きなニュース。

祝福の言葉。

待っていた、という声。


私は、

それを静かに眺めていた。


喜びでも、

嫉妬でもない。


ただ、

一区切り、という感覚。


あの人は、

元の場所に戻っていく。


ステージ。

照明。

歓声。


私は、

そこにはいない。


でも、

もう、そこに戻りたいとも思わない。


新しいアカウントには、

相変わらず、日常が流れている。


特別じゃない話。

誰の目も引かない言葉。


それが、

今の私には、

ちょうどいい。


仕事帰り、

駅前の大型ビジョンに、

彼の映像が流れていた。


足を止める。


一瞬だけ。


変わらない笑顔。

完成された姿。


遠い。


でも、

嫌な距離じゃない。


あの夜のホテルも、

電話も、

投稿も。


全部、

確かにあった。


でも、

それが今の私を縛ってはいない。


彼は、

彼の人生を生きている。


私は、

私の人生を生きている。


それだけのこと。


画面から視線を外して、

歩き出す。


もう、

追いかけない。


応援もしない。

拒絶もしない。


ただ、

交わらない。


それが、

私たちにとって、

いちばん安全で、

いちばん誠実な距離だと、

今なら分かる。


夜風が、

少し冷たい。


でも、

心は、静かだった。


そして、

新しい日常が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ