表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/64

第41話 もしも、の分岐点

もしも、あの日。


あの電話に出なかったら。

海外へ行かなかったら。

投稿もしなかったら。


推し活は、

今も、静かに続いていたのかもしれない。


配信を見て、

新曲を聴いて、

距離を守って、応援する。


安全で、

正しくて、

誰にも迷惑をかけない日々。


そう思うと、

少しだけ、胸が疼く。


でも、

その「もしも」の中に、

私は、いなかった。


感情を抑えて、

疑問を飲み込んで、

違和感を見ないふりをする私。


それは、

平和だけど、

透明だった。


今の私は、

透明じゃない。


傷も、

失敗も、

選択も、

全部、持っている。


夜、散歩に出る。


イヤホンをつけない。

音楽も、つけない。


街の音を、

そのまま聞く。


信号の音。

自転車のベル。

誰かの笑い声。


現実は、

案外、うるさい。


それが、

少しだけ、嬉しい。


スマホに、

新しい通知。


例の投稿に、

最後のコメントが付いていた。


「あなたの話で、救われました」

「私も、声を飲み込んでいた」


短い文章。


でも、

胸に、まっすぐ届く。


私は、

初めて思う。


この出来事は、

間違いだけじゃなかった。


誰かを、

特別にしてしまったこと。

選ばせなかったこと。

選んでしまったこと。


全部、

痛かった。


でも、

それでも。


あのまま推し活が続けば、

よかったのか。


今の私は、

はっきり答えられる。


――いいえ。


私は、

ここに立っている。


もしも、の分岐点は、

もう、過去だ。


残っているのは、

これからの選択だけ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ