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第28話 追いかける覚悟

朝が来ても、

迷いは消えなかった。


仕事をしながらも、

頭のどこかで、

ずっと同じことを考えている。


追いかける?

それとも、

ここで終わらせる?


推し活としては、

完全に、線を越えている。


分かっている。

理性は、ずっと警告している。


でも、

感情は、静かじゃない。


活動休止。

海外。

準備。


知らされなかった理由は、

理解できる。


それでも、

あの電話がなければ、

私は、ここまで揺れなかった。


昼休み。

スマホを開く。


海外の空港名を、

検索してしまう。


便数。

時間。

乗り継ぎ。


自分でも、

驚くほど、手が早い。


――行ける。


そう思ってしまった瞬間、

一線を越えた。


これは、

応援じゃない。


選択だ。


私は、

有給の残日数を確認する。


足りる。


心臓が、

速くなる。


もし、会えなかったら?

拒絶されたら?


それでも、

何もしない後悔より、

動いた後悔のほうが、

まだ、耐えられる気がした。


スマホに、

未送信のまま残っている、

あの連絡先。


ここでは、使わない。


私は、

航空券の予約画面を、

開いた。


確認。

確定。


指が、

一瞬、止まる。


――これが、

たったひとつの間違いになるかもしれない。


それでも、

私は、押した。


画面に表示される、

予約完了の文字。


胸が、

妙に、静かになる。


決めてしまえば、

迷いは、消える。


代わりに、

別の不安が、

一気に押し寄せる。


私は、

もう戻れない。


推し活でも、

安全な距離でもない。


選ばれてしまった私が、

自分で選んだ道。


飛行機の時間は、

三日後。


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