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第27話 知らされない決断

活動休止の発表から、

数日が過ぎた。


世界は、

想像以上に、早く切り替わる。


心配の声。

憶測。

そして、次の話題。


私は、

どこにも行けずに、

同じ場所に立ち尽くしていた。


公式からの情報は、

それ以上、増えない。


理由不明。

期間未定。


「回復を優先します」

その一文だけが、

何度も、目に入る。


私は、

連絡を待たなかった。

送ることもしなかった。


約束は、

果たされなかった。


それが、

答えだと思おうとした。


でも、ある夜。


共通の知人から、

短いメッセージが届く。


「知ってた?」


心臓が、

嫌な音を立てる。


「何を?」


しばらくして、

返事が来る。


「事務所、動いてる」

「たぶん、このままじゃない」


このままじゃない。


その言葉が、

重く、落ちる。


続きが来ない。

聞いてはいけない気がして、

聞けない。


でも、

画面は、もう一度光った。


「海外、らしい」


一瞬、

意味が分からなかった。


海外。

活動休止。

準備。


線が、

一本につながる。


私の知らないところで、

決断が進んでいる。


知らされない。

相談されない。


当然だ。

私は、何者でもない。


それでも、

胸が、締めつけられる。


もし、本当に、

遠くへ行ってしまったら。


もう、

会う理由すら、

なくなる。


私は、

スマホを置いて、

目を閉じる。


推し活は、

応援するだけの関係。


分かっていた。

最初から。


それでも、

あの夜の電話が、

すべてを、

中途半端にした。


近づいたのは、

私のほう。


期待したのも、

私。


知らされない決断は、

裏切りじゃない。


でも、

置いていかれる痛みは、

確かに、そこにあった。


私は、

初めて思ってしまう。


――追いかけなければ、

後悔するかもしれない。


それが、

次の間違いになるかもしれないのに。

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