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ごーすと  作者: らゐをふ


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7/7

#僕 2

※残酷な表現が含まれます、閲覧には注意を。

でも、救われるかもしれません。

 どうやらまだ生きている。でもどうせ死ぬ。

「それならせめて 楽しい事をしてから死ねば良いじゃない!」

 目の前に居る謎のオカマに諭される。そうだ、折角アイドルになったのなら精一杯やれることをやってみよう。そう誓った時、ルビーも嬉しそうに抱き付いてくれた。

(柔らかくて良い匂い…)

 一瞬嫌な記憶が蘇る。似た感情を抱いた事があって、その感情に後悔した事。僕がする「恋愛」なんてきっとまた、碌な事が起きない。

 ルビーの顔を見つめる、この愛らしい表情の彼女がそういう事をするだろうか。少なくとも僕が僕である前から長年の絆を育んでいたはず。…どうせ他に道は無いんだ。もしまた「殺されてしまう」のならまたその時考えよう。今はこの体温で少し癒されたい。

「サファイアちょっとくすぐったいよ これからまた頑張ろうね」

 大きい胸の中で顔を縦に振る。

「それにお姉ちゃんも!」

「えっ!私!?」

 ルビーの姉、「エメ」も巻き込まれる。僕はあの人を一番警戒してるんだけど、まぁ愛する妹の前で変な事は起きないよね。

「何度でも再結成するよ!『ラグジュアリー』はまだ輝いてる!」

 こうして、僕とルビー、エメによる三人アイドル「ラグジュアリー」は活動を再開した。

「ワタクシも全力でサポートするわよ!」

 このオカマは何なんだ。


 アイドルとしての生き方は、意外にも大変だった。歌って踊るだけだろうと高を括っていた僕が悪いのだけど、ハードなレッスンに宣伝目的の番組出演。ファンサとしての配信とか握手会とか目紛しい日々だった。

 でもルビーが横に居てくれたから、何でも頑張れるし楽しく感じた。エメとは若干ギクシャクするけど、喧嘩はそんなにしない。偶にするけど。

 エメが僕の知らない所で何をしているか、変に探らない方が長生き出来ると思ってあまり話題に出さないようにしてた。いっそ今までの不幸は忘れてしまおう、それが「幸せ」への近道。今こうしてルビーと一緒に珈琲を飲んでいるのも、僕には勿体無いくらいの「幸せ」なんだ。

「サファイアって結婚とか興味あるの?」

 思わず吹き出す。ルビーの顔に珈琲がかかり慌てる。

「たまに思うんだ…いつまでもアイドルとしては居られない いつかは結婚して愛を育む事が『幸せ』なのかなって」

 僕の吹き出した珈琲で、黒く染まった顔で遠い目をしながら語るルビー。こんなにアイドルして完璧な彼女もそういう事を考えるんだ。僕も…未来なんて不安しか無い。

「…なーんてね 私には贅沢な悩みだよね」

「そんな事ないよ!僕はルビーが幸せでいれるならどんな事でも協力するから!」

「じゃあ私と結婚しよっか」

「っ!?」

「冗談だよ でもこれからもよろしくね」

「…うん!」

 ビックリした、ルビーからの告白なんてそんなの僕には勿体なすぎる。そんな愛らしいルビーは突然顔を近づけてきた。

(何!?キス!?)

 目を瞑って震えていると、耳の方にまで通過して囁かれた。

「気になる人が出来たら密かに教えてね どんな恋愛でもサファイアだったら応援するから」

 そう言うとルビーはウィンクした。あまりに尊くて、僕は危うく死にかけるとこだった。

  



 ハードなスケジュールをこなし、へとへとで寮に戻る。早くルビーに会いたい、その気持ちでいっぱいで、走ったら転んでしまった。痛む膝を抑えていると何やら視線を感じる。

「今だ!」

 知らない男の声。僕は何人かの男に囲まれていた。

「な…何ですか!?」

 男達は僕の足や腕を乱暴に掴み、車に無理やり詰め込まれた。

(嫌だ…なんでこんな事に…)

 思い出してしまう、経験したことのある「不幸」を。

(幸せだったのに…楽しかったのに…!)

 車の中で、泣いている僕に男達は好きなように乱暴を働いてしまう。殺されてしまうよりも酷い苦痛を植え付けられてしまう。そうだった、僕はアイドルである以前に非力な女の子なんだ。抵抗も諦め、意識を殺した。僕はいつの間にか眠っていた。


「…イア!サファイア!!」

 僕を呼ぶ、愛らしい声。僕はルビーの腕の中に居た。ゆっくりと辺りを見渡す。

「サファイア!良かった…!」

 泣きじゃくるルビーと、帽子を被ったエメ。そして僕に乱暴を働いた男達「だったもの」があった。

「…エメがやったの?」

 静かに訊いた。エメはこちらを振り向かずに頷く。そうだ、エメはそういう仕事をしていたんだっけ。まさか、殺されるんじゃなくて「助けられる」なんて。

 ルビーの抱擁を強く抱き返して、まるで子供の様に泣いた。

「…怖かった 嫌だった 何で僕がっ!」

 そんな僕を重い表情で見下ろすエメ。

「なあ…殺してやろうか?」

「ちょっとお姉ちゃん!?」

 流石のルビーもエメを睨みつける。でもエメの意図が、僕には分かってしまった。

「…死んだら 楽になれるかな」

 「死にたい」という感情に支配されていた。男達に色々な物を奪われて、体もボロボロで。もうステージになんて立って居られないのだと思ってしまうと、死んでしまった方がマシだと考えてしまう。

 そうか。僕を殺した皆も、同じような苦しみを抱いていたのかもしれない。安易に「生きろ」なんて言うもんじゃないんだ。

「私なら楽に逝かせられる 辛いなら死ぬのも有りだ」

 泣きそうな顔でエメは告げる。こんなエメ初めて見た。死ぬ事を肯定しようかと首を動かそうとした時、ルビーが強く僕の事を抱きしめる。

「ダメ!サファイアが居ないなんて耐えられない!」

 誰より一番泣いていたのは、ルビーだった。

「たとえサファイアが死にたくなっても…私が守るから!私の『ワガママ』でも生きてもらうんだから!!」

 支離滅裂な事を言うルビー。何でここまで僕に固執するのだろう。ルビーは一度深呼吸を挟み、僕の顔に迫って言った。

「私はルビーの事が好き もし可能なら本当に結婚したいの」

 僕の事をそこまで本気で思っていたの、そう頭の中で言葉を並べる前にルビーに「キス」をされる。愛していた人からの、本気のキスだった。

「だからお姉ちゃん 私のサファイアに酷い事したら怒るよ!」

 異常な事例に頭を掻くエメ。大きく溜め息をつくと自分の頬を強く叩いた。

「ルビーに怒られたくないな!サファイア これからも頑張れそうか?」

 真っ赤に染まった手を差し出される。僕は照れながら、泣きながら、その手を強く握った。

ようやくここまで来ました。次の回で「ごーすと」は終わる…ハズ。

簡単に人が死にまくる癖に生きることを優先する、正に「支離滅裂」な物語ですね。

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