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【プロローグ】
秋田犬のまくは、犬生を最後まで生き抜いた。
優しいあるじに飼われ、毎日公園を散歩し、家では気ままに昼寝をする暮らし。
「それなりに幸せな犬生だったワン」
あるじに看取られながら、まくは静かに息を引き取った。
意識が遠のき、やがて深い闇に包まれ……次の瞬間、再び目が覚めた。
そこは魔王城の最奥。そこが玉座の間ということを即座に理解する。
重厚な玉座の上でモフモフの虎毛の秋田犬がゆっくりと言葉を吐く。
「我が名はマク・・・魔の王なり」
そう、まくは転生して異世界の魔王になっていたのだ。