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運命

私がモグラになってからどのくらい経っただろうか。


楽しくて時が経つのも忘れていた。



地下帝国の入り口には、アダマンタイトも豊富に使用した。半端な魔物ではビクともしない丈夫な設計にすることができたため、より安心して作業に取り組むことができるようになった。


まずは第1層を仮の作業場として全ての資材を運び込んだ。


地下帝国は第10層まで作る想定になっている。そして第6層が本格的な鍛治や研究の場所となる。だからまずは第6層までを軽く仕上げてしまうのが効率がいいだろう。



私は来る日も来る日も作業を続けた。ほんの少し寂しいと感じたこともあったが、毎日一歩ずつ夢に向かって前進していくことが出来ているこの感覚は、その寂しさを埋めるのには充分だった。



そんなある日のこと、久しぶりに仲間たちが戻ってきた。


わたしは嬉しくなって出迎える。





「おかえりー、ねーすっごい楽しいの!見てよこれ。【気術】ランク3になってから自分の体が嘘みたいに軽くてどんな作業も楽々できちゃうの。おかげで張り切っちゃった!そうそう、入り口見てくれた〜?結構考えたんだよ。それでね、ん、、?」


え、ちょっと待って、なにあの子。嘘でしょ、可愛いすぎるんですけど。それにとっても賢そう。それにあの目、私と同じだ。あの子もきっと、、。それよりとにかく可愛い。



かわいいと口に出して言ってしまい、私は気付けばすごい勢いで迫ってしまっていた。


「あなた、名前は?」



「僕の名前はサイエン。研究者だよ。そんなことより僕と結婚しよう。」


返ってきたのは最高の返事だった。なんて理想的なプロポーズだろう。私は間髪を入れずに答えた。


「はい、喜んで。私はクリートっていいます。とりあえず抱きしめてもいいですか?」


「もちろんさ。」


抱擁を交わしながら、わたしは身体が熱くなった。ああ、なんて素晴らしいの、サイエン。。。


「ああ、君はなんて素晴らしいんだ。たくましい筋肉に、聡明さの滲み出る鋭い瞳、それだけじゃない、僕には分かるよ。君は、頂点を目指している。いや、君なら間違いなくそこに至る。僕と同じさ。化学、技術、生命の可能性、その全てを見たい、そして知りたい。そのために毎日毎日頭を捻らせ、新しい発明をして、一歩ずつ未来を見にいくんだ。」



「なんでもお見通しなのね。そう、私はね、限界を超えたその先、究極の鍛治をするの。未来永劫、私にしかできない、最高の作品を作るの。あなたの、未来を切り開く発明、なんて素敵なの。わたし分かったわ。私にはあなたが必要。私とあなたがいなければ本当の唯一無二は作れない。私たちで作りましょう。この地下帝国を。」


「ああ。」


もう私たちにそれ以上の言葉は不要だった。



今日、私は人生のパートナーと、運命の出会いを果たした。



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