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仲間

無事に全員で合格し、しかも全員が好成績を出したことで、そろって同じSクラスとして入学することができた。細かい順位などは発表されなかったが、こんな僕がSクラスに入れるなんて奇跡だ。みんなと出会い、一緒に試験勉強をがんばったおかげに違いない。



こうして【マビナー学園】の1年生として新生活が始まったのだが、相変わらず僕はしばしばトラブルに遭遇する。


上空から魔物が飛来したのだ。警備の厚いこの学園では本当に珍しいことだ。


翼をもち、頭部にはツノが2本生えている。小型ではあるが、流石にこの魔物とこの場で戦うにはスキルを使用するしかなさそうだ。


魔物はこちらにめがけて降り立とうとしてくる。僕は学園に被害が出ないよう、【勇者】ランク2を使用して、ありったけの力を込めてジャンプした。そしてお父さんから受け継いだ光る剣で魔物を切り裂き、空中でそのまま思い切り蹴飛ばした。


狙い通り、魔物は遥か彼方まで吹き飛んでいき、学園の被害を未然に防ぐことができた。


やった!まだまだ弱い僕だけど、ちょっとは役に立てたかもしれないぞ。



「ふう、よかった!」


そういって友達の5人を見渡すが、何やら口をパクパクとさせながら僕のことを凝視している。


「ピヨン君、もともと強いとは思ってたけどまさか、、」

「ピヨン君ならありえなくはないと思っている私がいるわ。」

「かっこいい、、光り輝いてた、、かっこいい」

「歴戦級の魔物を一瞬で、、、。それにあの光、、。ってことはやっぱり」

「ぴーよーん、ちゃんと説明してもらうわよ!」



あれ、、、?いったいどういうことだろうか?


「え、ぼく、なんかやっちゃいました、、?」


「「「「「ピヨン君、それ伝説級のスキルなんだよ!」」」」」


伝説??いやまさかね。

それにまだランク2だ。お父さんやお母さんたちと戦っても足元にも及ばない。

だから大した事は無いよと彼女たちに伝えようとしたのだが。


「「「「「ランク2!?!?」」」」」


「うん、低いでしょ?」


「「「「「すごすぎるよ!?」」」」」



ええ、、。なんで?

あ、そうか分かったぞ!

お父さんが昔言っていた。魔物などを倒し、ピンチを救ったとき、吊り橋効果というのが起こるのだと。「昔は自覚も無かったが、今考えると分かるのだ。ピヨンにもそういう場面が訪れるかもな。」と。


つまり、いまみんなは僕が特別すごい人に思えてしまっているのだ。きっとそうに違いない。


そんなことを思っていると。



「おいおい、1年坊主が随分調子に乗ってるみたいだな。」

「クラキ先輩、おっかなすぎるっすよ、可愛い子ちゃんたちが逃げちゃうっす。」

「それをさっさと捕まえるのがおめーの仕事だろ、なあ?」

「う、うっす、もちろんっす!」


学園の先輩たちだろうか。

いきなり僕たちのところにやってきて、僕の大切な友達を押さえつけた。


「な、なによ、ちょ、触らないで!」

「やめなさい、先生に言いつけるわよ!」


僕は怒った。


「彼女たちを離せ!僕のことが気に入らないなら、僕を攻撃すればいいだろう!」


「「「「「ピヨン君、、。」」」」」


しかし、このクラキ先輩という人たちはとても卑怯者だった。正々堂々と戦えばいいのに!



「おっと、そこを動くんじゃねえぞ1年坊主。癪だがお前は俺たちより強い。だからこうして、人質が必要なんだよ。ちょっとでも動いてみろ、可愛い子ちゃんたちの首の骨がパキッといっちまうぜ」


「く、、。」



ぼくは何て無力なんだろう。

大切な友達がこんなふうに怖い思いをさせられているというのに、颯爽と助け出すこともできない、、。


そんな時、状況が動いた。



見知らぬ男の子が、クロキ先輩に体当たりしたのだ。完全な不意打ちだった。というか僕も、気配さえ感じ取れなかった。

 クロキ先輩は派手に吹き飛んでいき、彼女たちを押さえつけていた人だけをちょうどよく巻き込んで薙ぎ倒していった。



「いまだ!あとは頼んだ!」

飛び込んできた男の子が叫んだ。



「き、君は!?いや、ありがとう。お礼は後でしっかりするよ。行ってくる!」



こうしてぼくはクロキ先輩たちを倒すことができた。そして彼女たちが無事なのは、彼のおかげだ。



ぜひともお礼がいいたかったし、仲良くもなりたかったので、みんなで学食にやってきた。



「あの、本当にありがとうございました!」

「「「「「ありがとうございました!」」」」」



それから、僕は仲間になってほしいと言われた。もちろんだ、僕なんかでいいなら喜んで!


今から早速時間を作れないかと聞かれた。結構長い期間かかるかもしれないとのことだ。


幸いなことに現在は強化月間となっていて、各自自由にやりたいことを伸ばす時間だ。学園の授業は行われない。だからこそこの期間に差がつくわけだが、、。



そして始まったのは厳しい訓練だった。お父さんやお母さんたちの訓練よりも厳しかったことに驚いたが、そんな訓練に彼女たちが全員最後までついて来れたことにも驚いた。


いや、さすがは彼女たちだ。僕は本当に素晴らしい友達を持った。そして、新たな仲間が2人。


そして何と僕たちはこの短期間で【気術】というスキルを習得したのだ。聞いたことのないスキルだ。


彼女たちが騒いでいたので、とてもすごいスキルだということがわかる。たしかに先ほどから、体が軽くて仕方がない。【勇者】スキルとも組み合わせたら面白いことができそうだ。


彼女たちとずっと一緒に、いろんな冒険をしていこうと改めて約束した。


そして新たな仲間と握手を交わしたのだった。

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