ランク祭り
修行が好きだった。どれだけ辛くても、どれだけ苦しくても。
しかし限度というものがある。
俺が全力を持って戦っても勝てないであろう強大な魔物がいとも簡単にルシーによってトドメを刺される。
そしてそこに溢れかえる濃厚な【気】。これをここの仲間たちみんなで取り込んでいるところだった。
今までとは比較にならないほどの尋常じゃないエネルギーが体中を駆け巡り、一瞬我を忘れたほどであった。
しかしこれほど素晴らしい修行も他に無いだろう。俺は喜びの叫びをあげていた。
しかしそんな中、ありえない光景をみて思わず言葉を失うことになった。
「ええなあ、魔境の魔物は効率が段違いやわ。こんなにたくさん魔物を用意してくれた兄さんらに感謝やね。」
涼しい表情で、この地獄のような【気】の奔流の中を歩くシャルルの姿がそこにはあった。
「ガッハッハッハッハ!さすがは俺のお気に入りよ!なぜそんなに余裕なのだシャルル!」
「バートルはん、ひとついうなら買い被りすぎやで。この刺激にみんなよりは慣れとるだけや。それより、来るで。次の波が。」
なれる?これに?慣れている?だと?
シャルルよ、、一体どんな修行をしてきたというのだ。
しかしそんな疑問も一旦は後回しにせざるを得なくなった。
ルシーが次々と魔物にトドメをさしていき、先程以上の【気】が荒れ狂い始めた。
途中で何度も気を失いかけた気がするが、俺は休むことなく【気】を取り込み続けた。お気に入りのシャルルの強い在り方に、勇気をもらったのかもしれない。
そうして俺はランク4になった。
世界が明確に違って見える。
これが伝説のランク3をも超越した到達点、、。
最高の気分だった。
これほどの【気】、使いこなすには途方もない訓練が必要だろう。
でもそれが俺には嬉しかった。
まだまだ先は長いと知ることが出来たから。




