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新生活

2人と出会ってから驚きの連続だ。


そして次の驚きは早々にもたらされた。



どこからともなく現れた2人組によって。


片方は【ドワーフ】の女の子だ。【天界】にも【ドワーフ】は何人か住んでいるし、会ったこともある。


もう片方は、、【ゴブリン】だろうか、?

ちょっと聞いていたのとあまりに違うので自信は無い。


そんなことより驚くべきはその強さだ。【天界】でも最上位に並ぶ強さ。いったいどういうことだろうと目を凝らしてみるがやはり勘違いなどでは無い。


「あの子達、強いでしょ?【ドワーフ】の子がクリート、【ゴブリン】の子がサイエンって言うんだ。この地下の全ては、あの子達が作ってくれてるんだよ。」



え!?どう言うこと、いま何て言ったの?


それはつまり、たった2人でこのような空間を作り上げたということ?


訳がわからない。常識が、ガラガラと音を立てて崩れ去っていくのを感じた。



そして私の常識を破壊した張本人たちがこちらにやってきた。



「わーすごい、【天使】に【悪魔】だ!てか可愛すぎるんだけど。ちょっと見たことないレベルだわ」


「ふむ、もしや【天界】から来たのかな。仲間ということなら歓迎するし、疑問があるなら何でも答えるよ。その床の造りとかあの建物の役割とか、地下なのに明るい理由、とかさ。あとはこのクリートの魅力についてとかね。おっとそれはたっぷり時間に余裕がある時にしてくれよ、クリートの魅力について語るにはいくら時間があってもたり」



「もー、サイエン、いきなり捲し立てないのー。嬉しくなっちゃうし、、。」


「ああクリート、なんて可愛いんだ。その表情も美しいよ。」



あれー。また私の可愛さが通じないタイプの人きちゃったんだけど?


いったいどうなってるんだろう。もしかして【天界】の人たちだけがチョロいだけだったのだろうか?

うーん、今は考えてもわからない。



それから私たちは、さらに下へ案内された。なんと、今私たちがいたところは第1層に過ぎず、現在すでに第6層まで掘り進めてあるらしい。


そして階層ごとにそれぞれ異なる特色があり、案外されるたびに私とお姉ちゃんを驚かせた。


中でも第5層は、お姉ちゃんが興奮のあまり踊り出したほどだ。


そこには芳醇な土があたり一面広がっていた。


お姉ちゃんいわく、最高の農業をさせるために生まれてきた土、とのこと。


農業と料理のことになると性格が変わるあのお姉ちゃんが言うのだからよっぽどだろう。


「ああ、その通りさ。ここは農業するための階層だよ。イブさんはこの土の凄さを理解してくれたようだね、話がわかるじゃないか。これは僕が編み出した理論でね、もともとこの魔境の土はエネルギーを多分に含み素晴らしかったのだがそれをさらに改良する方法を閃いたのさ、そして僕の考えたその絶妙な土の成分の配合を成し遂げたのが僕のお嫁さん、クリートってわけ。それを実行している時のクリートは一段と輝いていてね、目が自然と惹き寄せら」


「もーサイエン、ちゅーしたくなっちゃうからその辺にしといてよね!」


「おっとこれは失礼。隙さえあれば君のことを自慢したくなってしまうんだ。」


「もう、、サイエンったら。」



そんなイチャイチャなどお構いなしにお姉ちゃんはいきなり頭を下げた。


「お願いします。私をここに置いてください。いろんな作物を育てたいんです。必ず役に立ちますから!」


私はそれをみて嬉しくなった。昔の、自由に農業や料理を楽しんでいた時のお姉ちゃんが戻ってきたような気がしたから。


「私からも、お願いします。お姉ちゃんは、農業と料理に関しては右に出るものがいません。熱意も誰にも負けません。だからお願いします。」



「エンジュちゃん、、ありがとう、、。」



「ちょっと2人とも、頭を上げてよね。私たちはみんな仲間なの。対等なんだよ。だからそんなに頭を下げたりしないの。それに、もちろんオッケーだよ。なんならさっき、そうするようにって言われたし。イブという子は第5層で活躍してくれるだろうって。」



「や、やった!やったー!ありがとうございます!わたし頑張ります!」


本当に良かった。お姉ちゃんがこんなにも喜んでいる顔を見れて。



「そんなに喜んでくれるなら僕たちも作り甲斐があるというものだよ。そうと決まればさっそくこの階層の説明をするね。まずこの建物を見てほしい。ここはこの階層のおおよそのことをコントロールできるようになっているのさ。例えばこのボタンを押すと。」



私とお姉ちゃんはまたしても驚かされることになる。


雨が、、降り出した?

地下なのに、?



「この仕組みを解説すると長くなるけど、簡単にいうとエネルギーを水に変える装置を組み込んでいてね、おっと一旦その話はこの辺にして、次の説明に行こうか。」



こうして様々な説明をしてもらい、張り巡らされた工夫と見たこともない技術、その完成度に私たちは終始びっくりさせられた。



その建物には巨大な厨房もお風呂も寝室もトイレも完備されていて、【天界】のどんな高級宿よりも便利で綺麗で広かった。



私とお姉ちゃんはしばらくこの建物で暮らさせてもらうことになった。



急展開すぎてちょっと現実味がイマイチ湧いてこないが、誰も想像できないだろう人生大逆転劇が今、自分たちの身に起こってることだけは確かだった。

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