表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/100

転機

そんな私たちに転機が訪れたのは、とある2人組が【天界】にやってきた時のことだった。



雑談をやめ、案内人としての仕事を果たすべく配置についた。



いつものように、姉がまずは挨拶をする。

そのはずだったのだが。


「ようこそしらっしゃいま、、ま!?し!え、神様でございますか??」



いくらお姉ちゃんとはいえ、あまりによくわからないミスだ。神様?まあいいや、私がフォローしよう。



そう思って挨拶の言葉を口にしながら顔を上げたのだが。


本当に神様がいたのだから驚きだ。



それはまさに、これまで見てきた全てがくだらなく見えるほどに、全てを超越していた。それが同時に2人。


まだ15歳にもなっていないだろう見た目の2人は、まるで全てを悟っているかのような、壮年の時を感じさせる雰囲気を放っていた。


1番異常なのはその強さだ。【天界】を統べる【天王】でさえこの2人に比べたら取るに足らない存在と思えた。



まさに神。


目を凝らせば、何か眩い光のようなものを全身に纏っているような気もする。この光景こそ、神々しいという言葉の語源かもしれない。



もうすでに神様に失礼を働いてしまい、半ばやけになった私は、最後の時間を自分らしくお姉ちゃんと楽しむために、あえて失礼な態度を続けた。


神様を前に、神様を放置して姉妹で会話を続ける。


今すぐ天罰で消されてもおかしく無い。いや、実際に目の前の2人にはそれが出来る。


私はほとんど諦めた気持ちでいた。



しかし私の予想はいい方向に真逆に外れることになる。



「僕たちは神様でもなんでもないよ。それに、消すなんてとんでもない。むしろ2人に興味が湧いてるよ。敬語とかやめてさ、ざっくばらんにお話ししよう。」



私は心底驚いたが、それでもこれまでのノリを貫き通した。


「「やさしい、、。」」


姉と声を被せる。



その後、言う必要も無いようなことまで神様の目の前で話してしまったが、神様達は全く気にしていないようだった。それどころか頷きながら話を聞いてくれた。



「僕たちの仲間になってよ。安全なところに案内するからさ。」



その言葉は文字通り、神からの啓示に聞こえた。これを逃したらもうあとは無い。


私たちに与えられた、最後のチャンスだ。



それでも私は試してしまった。


この神様のことを。


私に夢中になるのか、惚れる可能性があるのかどうかを。



結局私のせいで機嫌を損ね、地上でも追放されたりしたら、私たちは絶対に生きていけない。


捕まえられて奴隷にされて、お姉ちゃんとも離れ離れになって一生を終えるだろう。




だから、試してしまった。


そしてその結果に、私は漠然とすることになる。



ルシーというらしいその女の子の神様は、まるで動じていなかった。私が女の武器をこっそりと見せつけ、他にも様々な工夫を施したというのに。



そのルシーの目には、圧倒的な信頼があった。いや、これは信頼ではない。確信だ。自分が絶対的な存在で、誰も間に入ることなどできるはずもないという、彼女の中での確固たる事実だ。


私は思わず呟いた。


「へぇ、これは、ほんものだ。」




私は確信した。この2人についていけば、人生が大きく変わる。それどころか、まるっきり新しいものになるだろうと。


こんなにワクワクした気持ちになるのはいつ以来だろう。



もちろん不安もないわけでは無い。だけど私にはお姉ちゃんがいる。

最悪、死ぬことになったとしても、2人で死ねるなら別いいとさえ思って生きている。


だから大丈夫だ。


堂々とこの2人についていこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ