07『職業』
そういえば、アラン君の秘策ってどんなのかな。
「ノノカちゃん第3巻『ノノカと試練の塔』で、アライヤンがノノカちゃんの正体を暴くために使った手段、覚えてます?」
えーと確か、変身ヒロインの変身前の情報が分かっちゃう『鑑定』魔法、だったよね。
でもそれって、えっちっち魔法としてロックされたんでは。
「実は、ロックされてないんですよ」
「あの魔法で分かるのは『名前』と『種族』のみなので、検閲から見逃してもらえたみたいです」
「つまり、もし『探索魔導具』の探索能力よりもこの魔法が強力だったら『ケルミラ』も発見出来るんじゃないかなって」
うん、それなら試してみる価値は十分あるよね。
それじゃ『召喚魔王アライヤン』さん、よろしく。
「えーと、いきますよ」
「『アラアラ ウリウリ 丸見えっち!』」
どんな感じかな。
「皆さんの頭の上に『名前』と『種族』が表示されてますね」
「いや、もうひとつ、これって『職業』かな」
「ロイさんには『村長』って表示が」
へえ、便利だね。
「シナギさんには『浪人』って出てますよ」
「俺、用心棒って定職だと思ってたんだけどな」
いや、就職浪人じゃ無くて、武芸者的な意味での『浪人』だと思うよ。
「僕はなんて表示されてますか」
「あー、カミス君は……聞かない方が良いと思うよ」
「気になりますよぅ」
アラン君がカミス君の耳元でこしょこしょと、
「ひどいですよぅ、それって」
そんなにショックなんだ、カミス君の『職業』
何て表示されてたのかな。
後でアラン君から、こっそり教えてもらおう。
そういえば、アラン君の『職業』は何なんだろう。
宿に帰って鏡で自分を見たら分かるのかな。
うん、今晩のお楽しみって事で。
「では、探索開始しますので、皆さんも怪しげな場所に気付いたら教えてくださいね」
「あと、カウントダウンしてる数字も見えますので、たぶん魔法の効果の残り時間です」
「日没くらいまでなら持ちそうなので、じっくり探しましょう」
うん、アラン君も準備万端。
そうだ、今のアラン君の積極的な提案に、ポイント付与したいんだけど、どうかな。
「異議無しっ」×2
ほい、アラン君にポイント追加っと。
これで俺以外はみんな1ポイントずつ。
俺も頑張んなきゃ。
それじゃ、クエスト開始。