04『ケルミシュ』
最初の目的地『ケルミシュ』に到着。
小さな村だけど、活気があって面白いところだね。
「名物の魔物料理はもちろん、あの森にしかいない珍しい魔物で一攫千金を狙う冒険者たちが集まる村なんですって」
詳しいね、カミス君。
「今回の旅が楽しみで、いろいろ調べてきちゃいました」
それで珍しい魔物って、どんなのかな。
「えーと、擬態するスライム系の魔物で、慣れるといろんな姿になってくれるとか」
「すごく臆病で滅多にお目にかかれないらしくて、もし捕獲出来たらいくらでも言い値で買い取るっていうお金持ちがたくさんいるらしいですよ」
へえ、その情報によれば、意思疎通可能で攻撃的じゃ無いって事だね。
「ここ最近は見つかっていないそうで、もしかしたら絶滅したかもなんて言われてるそうですけど、もちろんこの村の人たちはそんな事は思っていないでしょうね」
うん、村の活性化の元だからね。
どうしよう、せっかくだから森の中に探しに行ってみようか。
みんなはどうだい。
「賛成っ」×3
何だか息ピッタリだね。
流石は男旅四人衆。
では、とりあえず今日の宿を探そうか。
そして見つけた小さな宿。
スマキは魔導馬なので餌代とかの必要が無いから、宿の料金が安く済むのも良いところだね。
男四人にちょうど良い広さの部屋、
大浴場は無いけど、トイレやシャワーなんかの設備も思ってたより清潔で快適。
流石は小さいながらも栄えてる村、だよね。
ところで、食事は部屋で食べる、で良かったのかな。
「食事に給仕のお姉さんが専属で付いてくれるなんて、ずいぶんサービスが良いんですね」
そうだね、アラン君。
ご指名も出来るそうなんで、お任せしても良いかな。
「今回の旅的には、シナギさんにお任せした方が」
なるほど、流石はアラン君、
その気配りが、奥さま四人の秘訣、かな。
「いえいえ、逆ですって」
「妻たちの教育の賜物、ですよ」
頑張れ、アラン君。
というわけで、シナギさん、よろしく。
「承りました」
うん、相変わらずの生真面目さ。
さて、ひと息ついたところでもあるし、
せっかくだからみんなで賭けをしてみないか。
シナギさんがどんな娘さんを選んでくるのか、
当てた人にはポイント1点追加で。
この旅の間にこんな感じでポイントを貯めていって、
優勝者には何かご褒美アリ、みたいな感じで。
どうかな。
「いいですね」
「楽しそうです」
よし、それじゃ俺から。
えーと、一途なシナギさんなら、
もちろん、しっかり者で尽くしてくれるミナモさんタイプ一択って事で。
それでは、アラン君。
「俺の予想では、最近一緒にいる機会が多くてお互い憎からず思っている雰囲気の」
「包容力があるお姉さん的なヴェルネッサさんタイプですね」
なるほど、アラン君の予想はヴェルネッサさんタイプ、と。
では、カミス君。
「僕としては、シナギさんと『ぶなしめじ』の絆に敬意を表したいので」
「以前アリシエラさんから聞いた擬人化情報から察するに」
「ちょっと引っ込み思案で大人しい娘さんって感じのプリナさんタイプですかね」
ほほう、カミス君の予想はプリナさんタイプ、と。
じゃあ、もし三人の予想が外れたらシナギさんに1点追加って事で。
それでは、乞うご期待、かな。
そして賭けは……
シナギさんのひとり勝ち、でした。
給仕の娘さんは、
ずばり、イヴラシュカさんタイプ、かな。
とにかく明るくて甲斐甲斐しいお世話っぷり、
やたらとシナギさんに親切なところもそっくりだね。
「えーと、ご指名する、と言うよりは、ご指名されたみたいになっちゃいました……」
うん、シナギさんのモテっぷりを舐めてた俺たちの完敗、だね。
食事はとても美味しかったです。
給仕の娘さんのおかげで、場の雰囲気もとても楽しいものでしたが、
えーと、シナギさん、いろいろとお疲れさまでした。
何だか申し訳ない。
「いえいえ、ポイントを貯めてご褒美ゲット、ですよ」
やる気満々で良かったよ。
後でみんなでご褒美の内容、決めとかなきゃな。
それでは、明日はレア魔物捜索って事で、
みんな、おやすみ。