03 絆
深い森林地帯を迂回する様に街道を進む。
森の中から、たびたび魔物が顔を出してくるけど、
まるで、男なんかに興味ねえ、とでも言いたげに、
すぐに姿を隠してしまう。
今のところ戦闘は無し、
せっかく男衆のみなんだから、少しは暴れたいかな。
そういえば、ゼシカさんと離ればなれのアラン君は、今回どんな武器を用意してきたんだろう。
「実はアリシエラさんから試験中の槍を借りてきました」
ほう。
「ひとつの武器に出来るだけ様々な用途を付与する、がコンセプトだそうです」
ほほう。
「これなんですけど、愛用していたバトルモップの技術を応用した、遠中近万能の槍、だそうです」
引き金とかは付いてないようだけど。
「音声入力システムによって、登録された使用者の呼びかけ次第で様々な効果が発動するとか」
ちゃんとテストしてきたのかな。
「取り扱い説明書は熟読してきたんですけど、何せ内蔵されたアレコレが多種多様過ぎて、全部を試せないほどで」
例えばどんな?
「えーと、迂闊に喋っちゃうと効果が発動しちゃうので、あやふやに、なんですけど」
「『召喚魔王アライヤン』が作中で使った各種魔法は、ほぼ全て網羅していますよっ、だそうです」
ちょっと待って、ほぼ全てって事は、
『特攻勇者ノノカ 第7巻 ノノカと運命の出会い』で、
アライヤンが『魔女っ娘お姉さん』ヘルミスカさんに使っちゃった、
女の子の大事なアレコレが全部分かっちゃう、例の素敵なえっちっち魔法も……
「その手のえっちっち魔法は、残念ながら女性陣有志一同の検閲に引っかかりまして全部ロックされちゃったそうで」
「って、ロイさんやけに詳しいですね」
あー、面白いよね、あの本。
「そうですね、『第7巻』は特にサービスシーン満載で、作者が女性とは思えないほどでしたよね」
うん、ちょっとやり過ぎちゃってて、子供たちにはどうかと思うほどだったよね。
「その件なんですけど、アレってどうやらアドバイザーのネルコさんの暴走だったらしくて、今後はしっかりモノカさんたちから監修されるそうですよ」
それは残念、じゃなくて、安心だね。
そういえば、シナギさんはそういうのは読まないのかな。
「実は『第7巻』だけ、ミナモから取り上げられまして……」
……それは本当に残念だね。
良かったら、いつでも読みに来てよ。
うちは俺の書斎もあるから。
「ありがとうございます、ロイさんっ」
「男旅、来て良かったですっ」
みんなも、これからは今まで以上に、男同士でがっつり協力する方向でいこうか。
「はいっ」×3
男たちの絆も深まる、良い旅なのです。