14 不快
派手な装いにも、いろいろある。
服装は自己主張なのだから、派手だろうが地味だろうが、自由。
でもな、わざわざ人に不快感を与える服装を選ぶヤツは、邪悪と呼んでも良いだろ。
着こなしも色使いも、気持ち悪いのひと言。
歩き方まで、不快だぞ、アイツ。
近付いてくんな。
「止まって良かったわ」
「あれ以上威力を上げたら、獲物を傷付けるかもしれなかったもの」
マジかよ。
いや、女言葉がどうこうってんじゃ無いんだ。
別に男が女言葉使おうが、女が男言葉を使おうが、自由だよ。
でもな、男だろうと女だろうと何だろうと、
不快を不快と言って何が悪い。
差別じゃ無い、区別だ。
「厄介なのは……ふたり」
「坊やとおじさまは後回し、ね」
舐めるような目付きで、俺たちを見まわしたヤツが、
アラン君とシナギさんを両手で指差した。
コイツ、かなり強力な『鑑定』持ちだ。
アラン君の槍とシナギさんの『ぶなしめじ』の脅威を、ひと目で見抜いた。
頭くるよな、カミス君。
俺たちは員数外、だとさ。
突然、アラン君とシナギさんが崩れ落ちた。
ヤツの攻撃動作は……指差し!
次に、俺を指差したヤツ、
念のため張っておいた『収納』結界に、飛び込んできたのは、
針!
指差されたカミス君が、崩れ落ちた。
「やるわね」
やらねえよ、気色悪い。
ヤツとの間合いは、
少し、遠いな。
さっきから両手で俺を指差して、バンバン針を飛ばしてくる。
魔法針じゃ無くて物理的な針だから、いつかは尽きるだろ。
「面倒ね」
こっちのセリフだっての。
ヤツは歩いて距離を詰めてきた。
余裕のある歩きっぷりってやつだな。
ケツ振りながら歩くなよ、本当気色悪い。
背中に背負ってた大剣を抜いて、
「いくわよっ」
来るなよっ。
ギンッ
俺の新素材片手剣と打ち合える大剣、
材質が気になる。
「やるわね、おじさま」
だから、やらねぇっての。
自身の『鑑定』に絶対の自信を持ってるんだろうな。
俺の固有スキルが『収納』だって、見えてんだろ。
もちろんステータスも丸見え。
つまりは、俺を舐めてる。
きっと相当な手練れなんだろうけど、
残っているのがショボいおっさんひとりだって、
本気出さなかった事を後悔しな。
余裕かましてるゲス野郎の大剣を、両手ごと『収納』して、
喰った。
「痛っ」
良かったな、痛みがあるって事は、まだ生きてるってことだぜ。
ヤツの両足、膝から上のところまでを『収納』で喰う。
『収納』から新型魔導水鉄砲『マスミ改』を取り出して、
「くっつけ」
音声選択で選んだのは、クロ先生特製の『瞬間止血接着剤』
ぎゃあぎゃあわめいてるヤツの、両腕と両足に『瞬接』を撃った。
止血完了。
うるせえから、ついでに口も撃ったよ。




