2章 43話 カティアとの再開
「この指輪は銅貨39以上の価値ある妖精が作った代物だ」
結局、ナディの指輪を売ることは出来ずに僕は女々しい気持ちで
奴隷商人の前にやってきた。そう現物支給のトレードを申し込んだのである。
「この貧相な指輪がねぇ、まあいいでしょ。
お客様の言葉を信じるのも我々商人の仕事ですから。
ただし、カティアの首輪にある爆弾は解除出来ませんから
悪しからず、お客様」
「約束が違う。僕はナンバー32さんを買ったんだぞ。
なんでそんな物騒な物がまだカティアに付いているんだよ」
「もしあなたがこの指輪の価値を偽った場合、
ペナルティを与えないとこちら側が泣き寝入りするしか
方法がありませんよね? 分かりますか? お客様」
「どこがお客様の言葉を信じるだよ、まったく。
そのお客様を完全に疑いまっくているじゃないか?」
「本来は1度奴隷になった者は入れ墨を入れて生涯奴隷と生きるの世の
習わしなのです。ですが近年時代の変化で入れ墨を嫌うお客様が増えまして
首輪へと進化していったのです。あなたもそしてそのカティアって娘も
奴隷から抜け出しても決して逃れない運命なのです」
「……ふ、ふざけるなよ」
「ふざけているのはお客様の方です。他の奴隷達ををご覧下さいませ」
視線を動かすと牢屋の中でもだえ苦しんでいる獣人が複数見える。
「獣人の首輪が赤く光っていますね。あれが斬首の護符の合図。
ですがあなたの首輪は青に光っています。それが元奴隷の証。
ご理解出来ましたかな? お客様」
「分かったよ。この指輪の価値が本当かどうかの裏付けが取れれば、
カティアの首輪の色も赤から青に自然と変わるってことなんだろ」
首輪の色でロージーさん達は奴隷と元奴隷の判断していたんだ。
あの時は必死過ぎてナンバー32さんの首輪の色がどうとか見れなかったけど
きっと今の僕と同じように青く輝いていたんだろうな?
「さすがですね、お客様。では話が早い。
カティア様の元までご案内しますね。さあさあこちらです」
奴隷商人は建物の奥へと進む。
「もしカティアを酷い目に遭わせていたら、絶対にお前を許さないからな」
「おーこわ。私めも商人の端くれです。
カティア様には特別牢にて優雅におくつろぎになって頂きましたから
ご安心の程を」
「……そうだといいけど」
僕は牢屋の中を余り見ないように頭を下げて耳を塞いで、
奴隷商人の後ろを付いていく。
それでも泣き叫く悲鳴だけは嫌でも聞こえてくる。
何度目にしても牢屋の悲惨な光景は見るに堪えない。
出来ることなら捕まって苦しんでいるみんなを助けて上げたい。
僕が本当に勇者だったら奴隷商人の建物を鎮圧して今すぐにでも解放したい。
でも僕にはその力もない。
ナンバー32さん1人さえ救えなかった僕は偽勇者なんだ。
だから責めて僕と関わって、言葉を交わしてくれたカティアだけでも助けたい。
それは僕のエゴだと自分でも理解している。
でもまた一緒にカティアと笑い合いただそれだけの気持ちだから、
「カティア、遅れてごめん。迎えに来たよ」
VIP待遇だか知らないが確かに隔離された牢屋中には
大きなベットもあった。木馬とか縄とかも床に落ちていて。
……これってまさか男女が夜の営みをするエッチな牢屋なんじゃ。
「大丈夫だったか? カティア。変な真似はされていないか?」
「なに顔を赤くしているんですか? タコですか?」
「せっかくのご対面ですからこの牢屋で一晩泊まっていくのは
以下かでしょうか? 今ならオプションで、スライム責めやムチなども
完璧に備えていますよ、お客様」
「何だか面白さそうですね~。
せっかくだし泊まっていきしましょうよ。レオンハルトっ」
カティアの無邪気な笑顔が眩し過ぎる。
カティアさんは本来のここの使い道分かって発言しているのかな?
「帰ろう。そして先ずはロージーさんの所に戻ろう」
「何でそうなるのですか? ノリが悪いですね~。
そもそもお客様は神様でゴッドで偉いはずなのに
もっと色んなところを経験して冒険しましょうよ」
「僕は無一文で今はお金がないんだ。
カティアは天才だからそれぐらい簡単に分かるよな?」
「こ、これだから悪魔は嫌なのです。
こんな陰気で暗い場所さっさと立ち去りましょう」
神様を善とすなら対比が悪魔だってことだからなのか?
まあ、その悪魔の中には僕もカティアも含まれているんだけど。
……それを理解して口にしているカティアって、
やっぱりただのおバカさんなんじゃないだろうか?
「お客様のお帰りです、当店の御料誠にありがとうございました」
それにしてもやっていることは最低な商売なのに接客だけが
妙に浮いていて、わりとその辺の店よりもしっかりと
しているんだよなって……。
「おーい、1人でちょこちょこ先に行くなって」
ちょうど曲がり角に差し掛かったみたいで僕の視覚から完全に消えて、
「もしかして怖いんですか? レオンハルトも弱虫ですね?」
カティアの声だけが奇妙に聞こえてくる。
「それは……」
怖いってよりもまるで過去の僕を見ているようで胸が
張り裂けそうな気分になるんだ。
でもカティアの前では頼りなる男を演じないと不安にさせてしまうから、
胸を大きく張って強がらないといけない。
「実は何を隠そうわたしも怖かったのです」
カティアが足をビクビクさせて、僕を待ってくれていた。
「物騒な場所は男の子がエスコートして先頭を歩かないとですね?
聞いていますか? レオンハルトっ」
これからもカティアとは上手くやって行ける気がする瞬間だった。
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