2章 41話 ギルドへ
「場違いのクエストに挑戦して死人が出るなんて
本当にあいつらバカな元奴隷だよな?
確か? ハンターランクを偽装したら罰金があるんだっけ?」
「違う、違う。あのボロい服を着たヤツはアイシアの弟で
元々仲間人殺しで有名だって話だぞ」
もうブライセンさんの噂が広まっているんだな。
学校の狭いコミュニケーションだから拡散力が半端ないって思っていたけど
このバカでかい大都市マガディでも同じ現象に遭遇するなんて……。
しかもネットもテレビもない環境でのことだ。
果てしなく世界は拡がっているはずなのにどうしてこんなにも
小さく感じるんだろうか?
「無残に仲間を殺して、そんなに楽しいのかよ?」
「死んだヤツに保険金でもかけていたのか?」
何も状況を知らないヤツは学校のクラスメイトと一緒で
好きに言わせておけばいい。
遺体をかついで歩いている僕が全て悪い。無力だった僕が全て悪いんだ。
大事な友達を途中で投げ出して海にでも放り投げて捨てる訳ないだろうって。
冒険者ギルドのロージーさんならきっときっと事情を
分かってくれるはずなんだ。さあ、胸を張って歩こう。
………………
…………
……
「いらっしゃいませって……あ、あなたまさかそのヒトを殺したの?
しかも元奴隷になっているし、まったくどうなっているのよ、
直ぐに私に説明しなさい」
ああ、僕が1番信頼していたロージーさんも
やっぱりそう思ってしまうのが現実だろうか?
「見事クエストに失敗してしまいました。このヒト僕が殺したのも同然です。
ですからこの命の恩人を安らかな場所で眠らせて欲しいのです」
ギルドの邪魔にならないように角にナンバー32さんをゆっくりと降ろす。
「ちょっとまさか……一緒にいたカティアちゃんまで殺したの?」
ロージーさんの口元が揺れている。
娘のように毎晩可愛がってきたカティアと昨日あった僕とは
全然対応が違うのは当たり前か?
「いいえ、まだカティアは生きています。
急いでこれからカティアを救いにいますので、これにて失礼します。
すいませんがナンバー32さんのことはよろしくお願いします」
とにかく早くお金を作らないとカティアの身が心配だ。
「おめぇ、聞いてればカティアって言う子を置き去りにして
1人でノコノコと逃げてきた訳か?
仲間まで殺しやがって、このクズ野郎がっ」
僕とロージーさんの話を股疑義していたのだろうか?
酔っぱらいの大男が突如僕に殴り返ってきて、
「ぐは」
なんでまた無抵抗な僕は殴られているんだ。今から前借りでバイトして
お金を貸せながないといけないのにまた体がボロボロに
逆戻りしていって……誰も助けられなくなってしまう。
「頼みますから、お金、お金を僕に恵んではくれませんか?」
僕のプライドなど安いもんだ。頭などいつでも地面にこすりつけれる。
こんなことでカティアを助けられるならなおさらだ。
「俺様に慰謝料を払えってことか?
ふざけるのもいいかげんにしろよ、このヒト殺しっ」
「げっふ」
また一方的なサンドバック状態。こんなに殴られているのに
一向にレベルも防御力の上限も上がらずもろに痛みを感じるなんて……。
ゲームとは違いこの異世界はなんて理不尽な世界なんだ。
「もうギルド内で暴力はやめてちょうだい」
「……ロージーさん」
「元勇者であるアイシアの弟って聞いたから期待してみれば
正体はふぬけの腰抜けの男ときたもんだ。どうせアイシアも女の武器を
使って魔王をメロメロにしてから姑息に討伐したんじゃねいか?
そうだ、そうに違いない。このクズがっ、いつまでも調子に乗るなよっ」
「今はアイシアお姉ちゃんは関係ないだろっ」
「何だよ、その目は。本当のことを言われてカッカしているのか。このガキ。
上等だ、もう一度お前を心底からボコボコにしてやるから覚悟しとけよ」
「もうだから、ギルド内で暴力はやめてちょうだい。
今日はトキヒさんの飲んだお代に全てタダにするからもうケンカはダメよ。
玲音も落ち着いて……もうトキヒさんのことを睨まないの。いい2人とも」
「ロージーさんがそこまで言うなら、しゃあねぇ、な」
「……お前など一瞬に殺してやる」
「お、怖い。命拾いしたな坊主。お姉ちゃんのおっぱいでも
しゃぶらせて貰って精々おとなしく山でひっそりと暮らすんだな。あっはは」
「逃げるなよ、クソ野郎っ」
「クソ野郎は全てお前のことじゃねぇのか? くははっ」
ロージーさんにトキヒと呼ばれた男は高笑いしながらギルドから消えていく。
「また挑発しないでよね。もう、大丈夫だった。玲音」
冷静、もっと頭を落ちつかせるんだ。興奮してもカティアは助からない。
もうロージーさんに黙っている必要もない。
ただ僕はカティアを一刻も早く助けたいんだ。
「……カティアを助けるためにはどうしてもお金が必要なんです。
ロージーさん、お願いしますから僕にお金を貸して下さい」
「まあ、それでトキヒさんにお金をねだっていたのね」
「はい。その通りです」
「さすがにギルドの規約でお金は貸すことはできないの。
でも安心して、前借りできるお仕事をいくつか紹介して上げるから。
あのけんかを見る限りモンスター退治には玲音にはまだ早そうだしね」
「ありがとうございます。ロージーさん。
あなたの恩は一生忘れません」
お読み頂きありがとうございます。感謝感激雨あられです。
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